【コラム】日本の集団的自衛権と韓国人に「不都合な真実」

 だとすれば、現実も政府の説明通りに単純明快に整理できるのだろうか。多くの専門家は、そのようなことはないと指摘している。海中の地雷に相当する機雷は、北朝鮮が力を入れている非対称脅威(国家でない組織を対象とする脅威)の一つだが、これに対応する韓国軍の機雷除去作戦の実力は大幅に低い状況だ。一方、日本の海上自衛隊による機雷除去作戦の能力は世界でもトップクラスとされている。米国はすでに6・25戦争(朝鮮戦争)当時、日本を利用して元山(北朝鮮江原道)などで機雷除去作戦を行おうとした。韓半島での有事の際、機雷除去作戦に自衛隊が動員される可能性が高いのも、そのような理由からだ。弾薬などの補給物資を積んだ米軍の船団を、自衛隊が東海(日本海)や南海(東シナ海)から韓国の了解の外側まで誘導する役割を担うこと検討されている。北朝鮮の潜水艦を探知する対潜作戦にも、米軍の支援を受け、自衛隊の哨戒機が動員される可能性が取り沙汰されている。韓国が16機しか保有していないP3C哨戒機も、日本は80隻余り保有しているからだ。

 日本で安全保障関連法案が成立したことは、多くの韓国国民にとっては刃(やいば)のように感じられるが、軍事や安全保障の関連からは、メリットもデメリットもある「両刃の剣」のようなものだ。政府が国民感情ばかり意識し、あいまいな態度で切り抜けようとするならば、有事の際に北朝鮮が迫り来る中、国論の分裂や韓日両国の対立など「敵前での分裂」という悲劇につながりかねない。今からでも国民には「不都合な真実」をきちんと伝え、日本や米国などとともに、あらゆるケースに備えた具体的な措置を講じるのを急ぐ必要がある。

ユ・ヨンウォン軍事専門記者兼論説委員
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