■韓国では「財閥優遇法」と批判
韓国政府は今年下半期から石油化学、鉄鋼、造船などを中心に供給過剰業種の事業再編を模索している。そのために日本のワンショット法を参考にした「企業活力向上のための特別法」の制定も目指している。同法案は企業のM&Aなど事業構造再編に際し、公正取引法の適用除外、税制・金融面での優遇などを行うことを盛り込んでいる。企業が新規事業に参入する際、不確実性を軽減するため、どんな規制の適用を受けるか監督官庁があらかじめ通告する「グレーゾーン解消制度」の導入も定めている。
7月初めにはセヌリ党の李賢在(イ・ヒョンジェ)国会議員が同様の法案を発議した。しかし、法案は常任委全体会議にも上程されなかった。野党が「財閥優遇法案だ」と反発したためだ。李議員は「韓国よりも厚い支援を行う日本でもワンショット法の恩恵を受けた企業の56%が従業員300人以下の中小企業だ」と反論した。
支援対象、水準は日本よりも限定的だ。日本は世界的な競争力強化のため、事実上全ての企業を支援対象に含めているが、韓国は対象を「過剰供給業種」に限定しており、日本のような政策金融支援もない。
資本市場研究院のパク・ヨンリン金融研究室長は「ワンショット法が万病に効くとは言わないが、それさえなければ石油化学、造船など主力業種で相当数の企業が野垂れ死ぬことになりかねない」と警告した。