【社説】ソウル大教授が指摘する「メード・イン・コリア」の危機

 米国やドイツ、日本などの製造強国は先端技術で対応する。アップルやグーグル、テスラモーターズなど米大手企業はすでにスマートフォン、自動運転車、電気自動車、3Dプリンターなど新たな製造技術の革新拠点としての役割を果たしている。オバマ大統領が主唱してきた「製造業ルネサンス」が現実のものになっているのだ。また、ドイツは13年から製造業とITを連携させた「インダストリー4.0(第4次産業革命)」に取り組んでおり、日本はすでに高付加価値の部品・素材産業で独自の地位を築いている。

 先進国がすでに開発した汎用製品を改良し、組み立てているだけでは中国に勝つことはできない。韓国には平凡な技術者はあふれているが、トップレベルの人材は不足している。大学はパラダイムを変化させる研究に取り組むでもなく、空虚な日常を送っている。研究所は巨額の研究費を食うカバになりつつある。停滞しているとき、限界にぶち当たったときに見られる状況だ。

 韓国に足りない「創造的な概念設計」スキルは、カネを出して買えるものではない。政府が強引に習得させられるものでもない。試行錯誤を繰り返して経験と知識を蓄積し、それをさらに熟成させてようやく手に入れられるものだ。韓国はもはや、それをしていかなければならない段階に来ている。過去の「韓国型成長方程式」が通じなくなっているという厳然たる事実を皆が早く、きちんと理解し、学校や研究所、企業の現場、政府が根本から変わっていかねばならない。言葉だけでなく本当に、変化と革新を歓迎し、失敗を成功の糧として受け入れる風土を定着させるべきだ。20年後、30年後を見据えるべきであり、国民は忍耐強く試行錯誤を甘受しなければならない。「漢江の奇跡(1970年代の高度経済成長)」は終わった。だが、奇跡を生んだDNAは私たちにそのまま残っている。

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