朴槿恵(パク・クンヘ)大統領が中国での戦勝節の閲兵式に参加したのは、韓国外交の全防衛的拡散という言葉で説明することができるだろう。外交というもの自体が拡散を意味しており、あちらこちらに進出することをいうためだ。だからといって、原則もなしにやたらと進出することが外交かといえばそうではないだろう。一本の原則を打ち立て、それに合わせて合目的的に進出するのが外交「戦略」だ。
韓国の外交原則に該当するのはもちろんのこと、韓国と米国の間にあるような自由、民主、人権、市場価値といった同盟だ。そしてこの原則を貫きながら、韓国とは違う価値観を有する中国のような国とも互恵的な関係を築いていかなければならない。これが韓国外交の優先順位といえるだろう。ここに混線があってはならないのだ。
こうした基準から見た場合、今回中国で行われた戦勝節の閲兵式は価値的には韓国が抱き込むには無理のある行事だった。それは毛沢東の「第3世界の革命論」と伝統的中華主義を適当に取り込んだ新版「中原帝国」の軍事的「力による一大デモ」だったからだ。分列行進に参加した海外10カ国のうち大多数は、反自由主義で権威主義政権だった。このうちの一国という立場でこれに参加するのは非常に場違いで、後味の悪さだけが残る羽目となった。
にもかかわらず、大韓民国の大統領があえてこの行事への参加に踏み切ったのは、こうした「必要性」に応じた方便的措置にすぎない。北朝鮮と対峙(たいじ)している現実で、韓国が中国と親しく付き合っていかなければならない「必要性」を表現したわけだ。しかし、われわれは果たして抗美援朝(米国に対抗して北朝鮮を支援する)を行ってきた中国をたやすく味方と呼べるようになるだろうか。「北の崔竜海(チェ・リョンヘ、朝鮮労働党書記)が冷遇されて帰っていったではないか」と言うだろう。しかし、事情はそんなに簡単ではない。