韓国政府は生みの親の権利と婚外子に対して果たすべき法的責任を重くしたが、これは望ましい傾向だ。しかし政府による啓蒙(けいもう)活動にもかかわらず、シングルマザーなど片親の家庭、国内養子縁組などに対する社会的偏見は相変わらず根強い。今も数千人の子供たちが愛にあふれた家庭で育てられることを望んでいるが、かといって孤児院や里親を際限なく増やすわけにはいかない。とりわけ障害児については国内養子縁組全体の1%にも満たず、これは衝撃的な数値だ。1996年から2006年までに成立した障害児の国内養子縁組はわずか163件だ。これに対して同じ期間、障害児の海外養子縁組は8469人だった。
シングルマザーが子供を育てられるよう支援し、国内養子縁組を増やすことと、海外養子縁組は平行して行うことができる。子供の立場で考えるなら、あらゆる選択肢が必要であり、海外養子縁組を制限すること自体が目標になってはならない。1980年代に「孤児輸出国」という汚名を着せられたことを理由に、海外でのイメージ改善ばかりが優先されることも警戒すべきだ。海外で成長した子供たちは、かつて韓国において行われた海外養子縁組促進政策を批判する活動を世界的に行っており、生みの親を探しやすくするよう求めると同時に、今後生まれてくる子供たちに対しては韓国で育てるよう求めている。しかし子供たちにとって最も必要なのは最終的には家庭だ。今も海外では数千人の親たちが韓国の子供たちとの養子縁組を望んでいる。本当に子供と家族のためになるのであれば、海外養子縁組も歓迎すべきことではないだろうか。