後の全斗煥(チョン・ドゥファン)政権は、国内で孤児を受け入れ養子縁組に応じた家庭には税制面での恩恵を与えるなど、それまでなかった新たな政策を実行に移し、1996年までに海外養子縁組を終わらせるという目標を立てた。しかしこれも目に見えた成果は出なかった。金泳三(キム・ヨンサム)政権はこの終了期限を2015年に延長し、毎年3-5%ずつ減らす段階的な目標を立てた。盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権は海外養子縁組をなくすため、06年にインセンティブ制度を立ち上げた。これはシングルマザーに40万ウォン(現在のレートで約4万4000円、以下同じ)、養子を受け入れた家庭に毎月10万ウォン(約1万1000円)を支給するというものだった。保健福祉部(省に相当)は国内養子縁組を後押しするため独身者との養子縁組も許容し、また養子縁組を認める際の親と子供の年齢差の上限もこれまでの50年から60年にまで伸ばした。一方で海外養子縁組を行う場合は受け入れ側に対して所得制限を厳しく設け、さらには結婚要件まで求めるなどこれまで以上に条件を厳しくした。
ただこれら政府による一連の努力にもかかわらず、国内養子縁組が占める割合は今なお全体のわずか4%にしかならない。育ての親の必要な子供があまりにも多かったため、海外養子縁組の必要性そのものが減少しなかったのだ。しかし2012年に成立した新しい入養法は新生児が輸出されないように定めた。未婚の母親に子供を育てさせると同時に、もし養子に出す場合でも子供と関連する書類を残すことで、後から生みの親を探しやすくしたのだ。2015年になるとこの法律は一部修正された。理由は子供を登録すると母親に社会から冷たい視線が向けられ、また就職などで不利に働くことを恐れ登録をためらうケースが多いとの指摘が相次いだからだ。その結果、15年11月19日から施行される同法では、子供を受け入れる場合や送り出す場合、あるいは離婚などの個人情報を職場の雇用主が見られないようにした。さらに未婚の母親が子供を登録すれば、健康保険や政府からの支援なども受けられるようにした。ちなみにシングルファーザー家庭も1995年と比べて2倍に増えており、特に低所得層に多いようだ。