【寄稿】判例情報の公開で韓国人の司法不信を払拭しよう

 判例が全て公表されれば、どの裁判所のどの裁判官がどんな判決を下したのかが誰でも確認できる。また、どの弁護士がどの当事者の代理としてどんな判決を受けたのかについて、さまざまな角度から分析できる。裁判所に前官礼遇はないとただ言い張るのではなく、判例を公表すれば真実が明らかになるのだ。裁判所に「有銭無罪」「有権無罪」はないとただ抗弁するのではなく、判例でそれを示せばよい。

 企業は株主と消費者の監視を受け、責任を果たすため、財務情報を含めたさまざまな情報を公開している。また、韓国政府は公共データを全て公開し、OECD加盟国のうち情報公開指数1位を達成した。ところが、韓国の司法府は判例の大半を公表せず、必要な場合に限り国会に部分的な統計資料を提供しているだけだ。司法府が一方的に作成し、提供する統計資料だけでは国民の信頼を得られない。

 判例情報の完全な公開と透明な司法行政は、法治主義の中核であるだけでなく、法律サービスの先進化を実現するための鍵でもある。判例情報や当事者の準備書面などあらゆる情報をリアルタイムで公開している米国を見れば、情報公開が透明性と信頼度を高めると同時に、統計分析など関連のサービス産業を活性化させる経済的利益ももたらすことが分かる。

 データが人々の暮らしを左右するようになった今、判例情報を公開しないのは「ビッグデータ」時代に逆行する重大な職務怠慢に当たる。韓国国民の司法制度への信頼度が主要国のうちで最下位レベルにとどまっているのは、単なる法曹人に対する認識の問題ではない。前官礼遇など司法に対する後進国型の不信の原因を取り除く根本的な対策を立てることが急務であり、その対策は判例情報の公開と透明な司法行政からスタートすべきだ。

チョン・サンジョ教授(ソウル大法科大学)
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