経済協力開発機構(OECD)が先ごろ発表した報告書で、韓国国民の司法制度に対する信頼度が国際社会の中で非常に低いことが明らかになった。OECD加盟国のうち最下位レベルで、メキシコやロシアよりも低くコロンビアと同水準という調査結果は衝撃的で、恥ずかしくもある。司法への信頼は法治主義の実現の根幹であり、先進国になるための前提条件であることから、この結果を深刻に受け止め、根本原因と解決策を探る契機とせねばならない。
韓国の裁判所は日本よりも多様な紛争を数多く処理し、より優れた判決を出しており、韓国司法府のエリートたちの優秀さは世界的にも認められている。だがOECDの報告書により、韓国国民の間では今でも司法への不信感が根強いことがあらためて浮き彫りになった。韓国国民は、元大法官(最高裁判事に相当)の弁護士が訴訟の書類に印鑑を押して数千万ウォン(数百万円)という多額の報酬を得ていることを前官礼遇(前任者を厚遇する慣行)のせいだと考えるが、大法院(最高裁に相当)は裁判官が法に従い公正に裁判をしていると抗弁する。
実際には、前官礼遇など司法の現況を正確に知るための判例データが公表されていないため、誰も真実を知ることができず、自分の感じた印象ばかりを話しているのだ。情報公開は信頼を得るために欠かせないが、判例が公開されていないため司法への信頼もはなから期待し難いのかもしれない。ひたすら司法府の善処を願い、前官礼遇がないことを望む純真な国民だけが、具体的な判例も真実も知らないまま、もどかしく重苦しい気持ちを抱えているばかりだ。