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 インドネシア政府が、同国初の高速鉄道を中国に発注する方針を決めた。決め手は、巨額の資金調達での柔軟性だった。各国で「新幹線方式」を官民で売り込む日本の直面する壁が、改めて浮き彫りになった。

 「手元には日本と中国の提案がある。インドネシア政府は計画に国家予算を一切使わない。日本はインドネシアの政府保証を求めているから自動的に落選だ」

 担当閣僚の一人、リニ国営企業相は29日、ジャカルタで報道陣に語った。

 日中が競った首都ジャカルタ―バンドン間(140キロ)の高速鉄道計画は、政府が4日に計画をいったん白紙化。「インフラ予算は(首都のある)ジャワ島以外に使うので財政負担はできない」と説明し、時速200キロ程度の「中速鉄道」計画にするとしていた。

 日本案は、64兆ルピア(約5400億円)の総事業費の大半を円借款でまかなうのでインドネシアの政府保証が必要だった。中国案は、建設費をすべて政府保証ゼロの融資でまかなう計画だったが、中国側と合弁を組んで高速鉄道を運営予定のインドネシア国営企業が、合弁に必要な資本金の増額を国家予算に頼らねばならない内容だった。