島康彦
2015年9月30日01時11分
天皇陛下が作詞、皇后さまが作曲を手がけた「歌声の響(ひびき)」という歌がある。40年前、両陛下が初めて沖縄県を訪れた際、ハンセン病療養所の入所者と交流したのを契機に生まれた。宮内庁の協力を得て、CDブックとして11月に発売される。
1975年7月、皇太子ご夫妻時代の両陛下は名護市にあるハンセン病療養所「沖縄愛楽園」を訪れた。ハンセン病への差別や偏見が珍しくなかった時代。両陛下は自ら訪問を望み、目が不自由だったり、指を失ったりした入所者一人一人と触れ合った。
両陛下が帰る際、入所者たちから自然と合唱が起きた。感謝の気持ちを伝える沖縄の船出歌「だんじょかれよし」。涙を浮かべ、手拍子とともに歌う姿に、両陛下は炎天下に立ったままじっと聴き入った。
この光景を、天皇陛下は後に、沖縄周辺の島々に伝わる「琉歌」に詠んだ。琉歌は八・八・八・六の音数律をもつ定型詩で、沖縄の人たちでも簡単に詠めるものではないとされる。
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朝日新聞社会部
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