オバマ大統領:「露・イランと協力」…シリア政権許容示唆
毎日新聞 2015年09月29日 01時22分(最終更新 09月29日 02時04分)
【ニューヨーク和田浩明】創立70周年を迎えた国連で28日、国連総会の一般討論演説がニューヨークの国連本部で始まった。オバマ米大統領は、シリア内戦の収束に向け「ロシアやイランを含むいかなる国とも協力する用意がある」と明言。アサド大統領に代わる新たな指導者の選出に向けた「管理された移行」が必要だと述べた。ロシア、イランはアサド政権を支援しており、退陣を呼びかけてきた米国として妥協の用意があることを世界に示した形だ。一方、プーチン露大統領は「アサド氏と協力しないのは大間違いだ」と述べた。オバマ氏は同日夕にプーチン氏と首脳会談を行い、具体的な協力策を協議する。
オバマ氏はアサド大統領を「国民を虐殺した独裁者」と厳しい調子で批判。過去の国連による和平調停で移行政権樹立の方向は言及されており、短期的にアサド政権の存続を許容する意向を示唆したと見られる。
オバマ氏は、国連が象徴する国際法や国際秩序の維持の重要性を強調。ウクライナ南部クリミアの編入を行ったロシアや、南シナ海で強硬な領有権主張を行う中国を名指しで非難した。
民主主義の価値観を無視し、軍事力に頼る国は弱体化し最終的には失敗すると主張。外交的取り組みの成功例として、国連安保理常任理事国(米英中仏露)とドイツが協力して7月にまとめたイラン核合意に言及。また、7月に国交回復したキューバについても、人権問題などに関する交渉が進めば、「経済制裁を解除する自信がある」と述べた。
一方、中国の習近平国家主席は「中国人民は70年前の反ファシスト戦争に加わり、3500万人の犠牲を払って歴史的貢献をした」と戦勝国の立場を強調。「中国はどれほど発展しても覇権を唱えない」と述べた。