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町医者だから言いたい!

《1983》 北斗晶さんと乳がん検診

長尾和宏 (ながお・かずひろ)

昨日は、北斗晶さんの乳がんの手術が大きく報道されていました。
何万人という人が、激励メールを送り、彼女を励ましていました。

北斗さんは毎年乳がん検診を受けられていたそうです。
そして昨年までは、異常無し、だったと。

しかし今年の検診では、約2センチの乳がんが発見され、
腋の下のリンパ節への転移も疑われるとのことでした。

昨年の検診時に小さいがんがあったけど、見逃されていたのか、
確かに無かったけど、1年間の間に生じて急速に発育したのか。

毎年受けていたから今回、見つかったのかもしれませんし、
今年は軽い自覚症状があった、という報道もありました。

いずれにせよ、北斗さんが毎年、がん検診を受けていたことに驚きました。
きっと自分のためというより、愛する家族のためにそうしていたはずです。

2月に放映された自分の死に関する番組の中で北斗さんは、自分の遺品を
子供のために整理している、という旨の発言をされたことを覚えています。

プロレスラーやタレントという激しく華やかな場で生きていながらも、
子供のためにどこかでいろんな準備をしていることを知り驚きました。

私は同じスタジオに居たのですが、そのビデオを見ながら感動していました。
まさかその半年後に、本当に彼女にがんが発見されるとは・・・・


ところで、
「乳がんは悔しいがんです!」

これは、ある在宅患者さんの家に貼ってあったポスターのコピーです。
たしかに、乳がんは自分の手で見つけることができるがんなのです。

これまで乳がんの人を300人ぐらい、診てきました。
専門ではないので決して多い数字ではありません。

命が助かった人は、みな早期発見・早期治療でした。
しかし厳しい状態で病院から紹介された乳がんの人も顔も浮かびます。

早期発見・早期治療は意味がないという医者がいますが、
私は経験上、「意味がない」という意味が理解できません。

死ななければ「がんもどき」だと言い、
死ねば「本物のがんだった」と後で言う。

後出しジャンケンは、常に勝ちます。
的中率100%という理論(?)のおかしさに、もう気がついたでしょうか。

乳がんは、若い人の病気です。
日本人の女性は、20人に1人が乳がんになります。

だから一人でも多くの女性に乳がん検診を受けて欲しい。
早く発見された方が、後の経過がいいのは当たり前です。

おりしも来週、10月1日は乳がん啓発の「ピンクリボンデイ」です。
全国各地で、「ピンクリボンフェステイバル」が開催される予定です。
http://www.pinkribbonfestival.jp/

ちなみに当院でも女性の乳腺専門医と女性の放射線技師による
マンモグラフィーを用いた乳がん検診を1年中、やっています。

北斗さんが発する言葉に今後、注目していきましょう。
北斗さん、手術後も大変でしょうが、頑張って下さい!


参考文献) 「長尾先生、近藤誠理論のどこが間違っているのですか?」(ブックマン社)

長尾和宏 (ながお・かずひろ)

長尾クリニック・院長。東京医科大学・客員教授(高齢総合診療科)。1958年、香川県生まれ。1984年に東京医科大学卒業、大阪大学第二内科入局。阪神大震災をきっかけに、兵庫県尼崎市で長尾クリニックを開業、院長をしています。最初は商店街にある10坪程度の小さな診療所でした。現在は、私を含め計7人の医師が365日24時間態勢で外来診療と在宅医療に励んでいます。趣味はゴルフと音楽。
著書に「『平穏死』10の条件」(ブックマン社)、「抗がん剤10の『やめどき』」(ブックマン社)、「胃ろうという選択、しない選択」(セブン&アイ出版)、「ばあちゃん、介護施設を間違えたらもっとボケるで!」(ブックマン社)、「病院でも家でも満足して大往生する101のコツ」(朝日新聞出版)などがあります。ツイッターでもつぶやいています。

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