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 アフガニスタン北部にある同国第5の都市クンドゥズを28日未明、反政府勢力タリバーンが襲い、同日夕までに市内のほぼ全域を掌握した。クンドゥズは同名の州の州都で、タジキスタン国境に近い北部屈指の交通の要衝。2001年に新生アフガン政府が発足して以来、州都が陥落したのは初めて。かつてない軍事的敗北に衝撃を受けている。

 州当局者らによると、タリバーンは少なくとも数百人とみられ、3方向から市内に侵入。治安部隊を銃撃戦で圧倒し、州議会や裁判所、州知事公舎などを次々占拠し、刑務所に収監されていた仲間ら約600人を脱獄させた。地元テレビは「路上に多数の遺体が放置されている」という住民の声を伝えた。中心部の交差点や国連事務所にタリバーン政権時代の旗が掲げられた映像も流した。

 地元パジワク通信の記者は朝日新聞の電話取材に「知事公舎で取材中、治安部隊から直ちに避難するよう命じられた。副知事ら幹部と一緒に空港へ向かって逃げている」と話した。国連も現地駐在職員全員を市外に退避させた。

 政府側の支配地域は郊外の空港周辺に限られ、支援部隊の到着を待って奪還を試みる方針だ。ただ、住民の大半はタリバーン支配下で家の中などに閉じ込められており、空軍力などを使った大規模な作戦を行いにくい状態だという。

 アフガン北部は比較的治安が良かったが、パキスタンを追われたウズベク人武装勢力が昨年ごろから地元のタリバーンと合流し、各地で治安部隊との衝突が広がっている。(イスラマバード=武石英史郎)