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28 Sep 2015 17:36

尖閣の世界遺産登録を狙い地図爆買い…ミエミエな中国の“野望”

 【野口裕之の軍事情勢】

 中国人は日本製品を爆買いするが、尖閣諸島(沖縄県石垣市)を中国領だと明示する地図は見つけられぬようだ。日本領なので当然だ。中国が古地図市場が充実する欧州などで、外交官や工作員を使い「もっともらしい地図」を買い漁る《地図戦》は小欄で紹介したが、購入への執念は異常性を増す。「地図」をユネスコ(国連教育科学文化機関)に提出→尖閣を世界遺産登録→領有権を世界に発信する謀略を策定中だと、小欄は観ているためだ。

 となると、残る手段は偽造。模倣品王国の中国なら、さぞ精巧なニセ地図が仕上がるはず。尖閣を日本領と明記した中国政府発行(1969年)の公式地図を日本政府が3月に公表した直後、中国外務省報道官は「帰属を示す百枚、千枚の地図を探し出せる」と自信たっぷりだったが、贋作技術へ寄せる信頼だったのだ。寺田寅彦(1878~1935年)の随筆《地図をながめて》に次の一節がある。

 《一枚から(中略)得らるる有用な知識は到底金銭に換算することのできないほど貴重なものである》

 ■海のシルクロードで準備

 次々に明るみに出る尖閣の日本領有を証明する地図はこれに当たる。対する中国は、日本や領有係争相手国を利する中国内外所蔵の真っ当な地図を密かに焚書にしている。随筆は続く。

 《一枚を絶版にして、天下に撒布されたあらゆる標本を回収しそのただ一枚だけを残して他はことごとく焼いてしまったとしたら、その残った一枚は(中略)場合によっては一万円でも買い手があるであろう》

 随筆を発表した1934年当時の政府予算=22億円を考えれば1万円は大金。中国に燃やし尽くされる前に、大枚をはたいても尖閣領有を証明する地図=文化財を保護する覚悟が、現在の日本政府にも求められる。

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