尖閣の世界遺産登録を狙い地図爆買い…ミエミエな中国の“野望”
ただ、「中国版」は一帯一路の沿道・沿岸に多い途上国への影響力を強めるマキ餌にとどまらず、後に軍事援助に重心を移した本家・米国版を手本にしているのではないか。
実際、一帯一路構想発表2カ月前、早くもこの構想は火薬臭を漂わせながら正体を現す。スリランカ・コロンボ港に入る外国軍艦は協定上、港湾局が管理運営する埠頭に入港する。ところが、中国海軍の潜水艦は中国企業が管理運営をまかされたコンテナターミナルに投錨し、自国軍港の如く振る舞った。別の港では、公開入札もなく管理運営権が中国に渡った。
恐るべきは中国の手口。複数のインド洋沿岸国で巨額投資を行っているが、まずは商業港として完成させ、貿易急増を待つ。被投資国は政治・経済上の中国依存を深め、借款条件緩和などのワナで管理運営権を奪われる。ここまでは現に各国で起きているが、中国が整備した多くの“商業港”に、中国海軍艦艇がワガモノ顔で出入りする風景を見る日もそう遠くない。独裁者と汚職が跋扈する国々を貫く陸上の《経済ベルト》は、もっと早く軍用道路と化すやも知れぬ。防犯標語にもある。
《気をつけよう 甘い言葉と暗い道》(政治部専門委員 野口裕之)