「私は就任以来、『女性が輝く社会』を政策の大きな柱に据え、先月、女性活躍推進のための新たな法律を成立させた。これにより、男女がともに仕事や家事・育児を担うことが当たり前となる世の中を作り、世界に先駆けて少子高齢化社会の課題に対処しつつ、経済成長をも実現していく」
私、若い頃、役所で世界銀行や米州開発銀行の担当をしていた関係上、開発途上の国の経済発展のためには女性の地位向上が必要であることをよく認識しているつもりです。特に、識字率が低い国や女性が不当に差別されている国では、教育水準の低さ故、なかなか経済発展の基盤が整わないからです。
その点、我が国においては、江戸時代から寺小屋などが存在し、読み書きそろばんを子供に教えたので、欧米に追いつくのにそう時間はかからなかったのです。
但し、女性の社会進出という観点から見ると、日本が他の先進諸国よりも相当に遅れているのは、そのとおり。つまり、国会議員の全体の数における女性の割合とか、民間企業や役所の女性幹部の割合とかは相当に低いと言わざるを得ないのです。
では、今後、日本において、女性の社会進出が飛躍的に進み、そして女性の幹部職員の割合が増大すると、日本は今の低成長から脱出し、少しは成長率が上がると期待できるのか?
その前に、勘違いする人がいるかもしれませんので予め断っておきますが、私は、女性の社会進出が進むことに反対するものではないのです。女性でも男性並に、否、それ以上に社会進出したいと考えるのであれば、どうぞご自由に。女性だから家庭を守ることが第一だ、なんて言うつもりは全然ありません。
私が言いたいのは、女性の社会進出が進めば日本の経済成長力が本当に上がる可能性があるのか、と。
安倍総理は、「男女がともに仕事や家事・育児を担うことが当たり前となる世の中を作り」と言っています。確かに男性が、家事や育児を手伝うというか、それより進んで平等に分担するようになれば、その分、女性の負担は軽くなるので、子供が生まれたからと言って女性が職場を離れる必要性は小さくなると思います。
でも、女性が会社で働く時間が増えるということは、男性が家事や育児に費やす時間が増えるということですから、社会全体での労働時間にそう差が出る筈はありません。
それに、女性の社会進出が進めば進むほど、そうした女性の関心は仕事の方に向くわけでしょうから、幾ら男の家事や育児に費やす時間が増えようとも、生まれてくる子供の数が増えるとは思われないのです。むしろ少子化はさらに進むかもしれない、と。
それに、男女の能力を比べてみて、女性が遥かに男性よりも能力があるとは思えません。
もちろん、性差別の意識が未だに強く残っていることによって、有能な女性が企業の幹部になれないケースが今でも多数存在するかもしれません。
では、そのような有能な女性が企業の幹部になることができたとして、そうした組織は今以上に発展することが期待できるのか?
多分、無理でしょう。それは日本型の組織の場合、個人の意思よりも全体の意思が尊重され、従って、幾ら個人に能力があり、また立派な考えを持っていたとしても、それが全体に及ぼす影響は限られているからです。
まあ、私のこんな意見には多くの反発が予想されます。
女性の地位の向上に反対するのか、と。
繰り返しますが、私は、女性の地位向上に反対しているのではないのです。各組織において女性の幹部の比率を高めたいのであれば、どうぞご自由に。でも、それによって企業の業績が伸びるとか、ましてや経済成長率が高まることを期待はできないと言いたいだけなのです。
一つだけ例を挙げると、例えば、小学校の女性教諭の割合は、昔からすると着実に伸びてきた訳ですが、それによって小学校の教育の内容というか実績は伸びたと言えるのでしょうか?
小学校の女性の教頭や校長の数も増えてきていると思うのですが、それで例えば、学校のいじめの問題は改善しているのでしょうか、或いは子供の学力は伸びているのでしょうか?
関係ないでしょ?
それに、役所勤めの経験から言えば、女性の登用が中央から指示されると、その指示を受けた現場は、何が何でも一定数の女性を役付きにすることが必要になるので、今度は能力的にみて十分でない人まで役付きになるケースもあるのです。
最後に、大事なことを述べておきたいと思います。
安倍さんは、専業主婦をどのように評価しているかということです。
専業主婦は例えば企業や役所の女性の幹部職員より劣っているのか?
そんなことは決してない筈です。というか、比較ができないと。どちらも重要な仕事なのですから。だとすれば、女性の社会進出が進むことが我々の進むべき道だなんてどうして断定できるのでしょう?
確かに日本の女性の社会進出は遅れているかもしれません。しかし、だからといって女性の地位が男性に比べて低いという訳ではないのです。というよりも、主婦よりも肩身の狭い思いをしている旦那のなんと多いことか。日本のように主婦が財布を握っているケースは外国では少ないのですから。
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