ホーム >読売新聞 与野党4幹事長・憲法座談会(2003年5月3日朝刊)=抜粋
★赤字は佐藤正久議員が国会で引用した部分
■読売新聞 与野党4幹事長・憲法座談会(2003年5月3日朝刊)=抜粋
〈北朝鮮危機と「自衛権」解釈〉
◆集団的自衛権 行使認め政策判断
飯尾氏 イラク問題にめどが立つと、国際政治の焦点は北朝鮮の脅威にどう対処するか、になる。米朝関係が緊迫すると、「保有するが行使できない」とする政府解釈を含め、集団的自衛権が問題になるのではないか。
山崎氏 集団的自衛権は行使できるはずだという議論は、非常によく理解できる。最近、米共和党の上院議員八人が来日し、小泉首相と会談した時、「日本に対する攻撃は米国に対する攻撃とみなす」と明確に言った。だが、「米国への攻撃は日本に対する攻撃だ」と言葉では言えるが、行動は取れない。北朝鮮が暴走し、在日米軍が前面に出る際、これでいいのかという忸怩(じくじ)たる思いはある。一方で、定着した憲法解釈を時の政権が変えることが許されるか、ということがある。やはり憲法改正で、自衛権は行使でき、自衛権には個別的自衛権と集団的自衛権が含まれると明定することが必要だ。
岡田氏 集団的自衛権は非常に幅広い概念だ。第三国が米国と戦争になった時、日本が出かけて行って武力行使をするのは憲法を逸脱している。米国本土が攻撃された場合も憲法上は問題だ。ただ、日本を防衛するために活動している米軍が攻撃された場合、日本に対する行為と見なし、日本が反撃する余地を残すのは十分合理性がある。今の憲法は、すべての集団的自衛権の行使を認めていないとは言い切っておらず、集団的自衛権の中身を具体的に考えることで十分整合性を持って説明できる。ただ、日本を守るため公海上に展開している米軍艦艇が攻撃された場合という限られたケースなので、むしろ個別的自衛権の範囲を拡張したと考えた方がいい。集団的自衛権という言葉を使わない方がいい。
冬柴氏 国連憲章と憲法九条の最も違う点は(戦力の保持と交戦権を否定した九条)二項だ。これは(国連憲章の)どこにもない。日本はそれほど強い戦争放棄をした。九条を維持する限り、個別的自衛権以上は行使できない。それでは集団的自衛権は(米国だけが行使する)片面ではないかとなるが、そのために日本の区域・施設を無償、あるいは年間数千億円の思いやり予算をつけて提供している。集団的自衛権の行使は、この憲法を前提とする限り無理で、憲法改正も不要だ。
藤井氏 集団的自衛権は国際司法裁判所でも定着したもので、頭から否定するのはどうか。集団的自衛権は主権の行使だが、集団安全保障はある種の国際機関への主権の譲渡で、全然違う。集団的自衛権が国際的に定着している以上は、真っ正面から認めるが、あくまで主権の行使だから、どこまで出ていくかは日本国が決めればいい。