カイメンの骨格、細胞が自由に組み立て 京大グループ解明
スポンジ状の形をした多細胞生物のカイメンが骨格を作るメカニズムを、京都大理学研究科の船山典子准教授のグループが解明した。脊椎動物や昆虫と大きく異なり、骨格の材料を細胞が自由に運んで組み上げる全く新たな仕組みだった。
カイメンは海や湖などの底に張り付いて生息。微細なガラス質の骨片が柱と梁(はり)のように張り巡らされて骨格が形成されているが、その形成過程は謎だった。グループは、淡水性のカワカイメンが骨格を形成する様子をリアルタイムで詳細に観察することに成功した。
カワカイメンは、材料を作る細胞がまず骨片を形成することが知られている。シャーレ内で行った観察では、形成された骨片を運搬役の細胞が体全体を覆う上皮組織まで運んで突き刺すことを確認した。さらに骨片が柱のように立って下部がシャーレの底に固定されると別の骨片が運ばれてきて上部に次々とつなげられ、骨格が組み上がっていくことも分かった。
脊椎動物や昆虫では、あらかじめ決まったパターンに沿って骨格が出来上がる。一方、カイメンは無規則に骨格が運ばれ、固定されていく自己組織化で骨格が作られていた。
船山准教授は「特定の場所に張り付いて移動ができないカイメンは、その場所の状況に応じて骨格を柔軟に作っていかないといけない。自己組織化という独自の仕組みは、カイメンの特性に適しているのではないか」と話している。
米科学誌カレントバイオロジーでこのほど発表した。
【 2015年09月28日 11時43分 】