おかしな刑事 2015.09.24


(鴨志田新一)母さん嬉しいね。
また春が来たよ。
お前の好きなサクラソウだ。
(チャイム)はい!
(姉小路行人)あ〜っ!全く僕は何をやっているんだ!それも7年間も…。
7年だよ?オヤジ聞いてる?聞いてますよさっきから。
今度で8回目。
フフ…笑っちゃうね。
ううっ…。
お客さん飲み過ぎですよ。
もうそろそろ…。
うるさいよ!僕を誰だと思ってるんだ!知りません。
知りません?そこの屋敷の主だよ。
まさか…。
「まさか」と言ったな?はいはい。
そこのお屋敷のご主人様です。
そうそれでいいんだよ。
僕はねオヤジ去年も落ちて今年も落ちそうなんだよ。
ああ…どこからですか?どこからじゃないよ。
司法試験だ。
そりゃ大変だ。
痛かったでしょうに…。
(姉小路)司法試験に落ちて怪我をしたって話をしてるんじゃないの。
(岡崎真実)やだ行人君ったら。
家の前で飲んでんのもう…。
行人君何やってんの?ああ〜…。
「ああ〜」じゃない…。
お知り合いですか?ええまあ…。
申し訳ないんですけど連れて帰ってもらえます?いやお代は結構ですから。
これじゃあ他のお客さん来ませんから…。
ああ〜わかりました。
すいません。
ほら行人君帰るわよ。
そんな変な飲み方しないの。
ほら行くわよ。
お酒残ってるよ。
タクシーでも呼びますか?あいえ。
家ここですから。
ほら行人君しっかり歩いてよ!もう…。
ちょっと行人君しっかりしてよ。
まっすぐ歩け…。
もうちょっともうちょっと…。
ダ〜メ!もうちょっと…もうちょっと飲みましょうよ。
飲むぞ〜!
(三浦由紀子)何がおかしいんですか?いや特別に意味は…。
おやめくださいなそういう意味のない事は。
世の中意味のある事ばっかりじゃ疲れますよねえ叔母さん。
わたくしあなたの叔母さんじゃありません。
ああよーく存じております。
それにしても遅いですね2人は。
先ほどのあなたの説明を整理しますと…。
はい…。
つまり早い話が居候という事でしょうか?いやそれは解釈の違いで…。
家賃も払わずに住んでいる事を居候っていうんです。
あの子の母親つまりわたくしの姉に代わって申し上げますが早々に出て行ってもらえます?はあはあなるほど。
「なるほど」というのは答えになっておりません。
(姉小路)ちょっと真実さんどこへ行ったんですか?あっ帰って来たみたいです。
おかえり!もうどうしようもないのあの人。
酔っ払っちゃって手がつけられないの。
行人君の家系ってどういう…。
あらお客様?うん。
こちらはね…。
行人の叔母です。
ああどうも。
あら?以前お会いした叔母さんとは?おそらくわたくしの妹です。
ああ…また別の叔母様。
岡崎と申します。
え?誰か来てんの?
(由紀子)行人!あれ?この人知ってる。
えーっとね…。
しっかりしなさいあなた。
こんな生活をしているから何度も試験に落ちるのよ。
あっなんだ横浜の叔母さんじゃない。
あのね今こちらとお話をして出て行ってもらう事になりましたから。
え?そうなの?試験まであとひと月しかないけれどこれからは誰にも邪魔をされずに心行くまでお勉強出来ます。
何言ってんの。
逆反対。
僕がお願いしていてもらってるんだよ。
そんな事はもうどうでも…。
どうでもよくないよ。
僕がこんな広い屋敷に1人でいられるわけないだろ。
だったらわたくしがたまに顔を出すわよ。
ああいいいい。
それだったら1人の方が。
あっいやそうじゃなくて…。
とにかくアルゼンチンの日本大使館のご両親にはそう報告しておくわよ。
わかった?そういう事ですから早々にお願いしますね。
あっゴネ得なんて考えないでね。
わたくしの夫は警察にも顔が利くんでございます。
では。
(ため息)酔いがさめちゃったよ…。
あの人が横浜の叔母さん?なあ?君の叔母さんって何人いるんだ?母を入れて…。
母は入れないだろ普通。
4人姉妹ですけど。
という事はもう1人の叔母さんってのが今度乗り込んで来るかもしれんな…。
げえ〜…。
出て行かなくてもいいですからね。
僕がなんとかします。
でも…。
大丈夫。
僕の家です。
そんな事より鴨志田さん今日の晩ご飯なんですか?さっきからなんかいいにおいがしてんのよね。
鍋だよ鍋。
ええ〜ちょっとちょっと…。
なんの鍋ですか?これ。
見たまんま。
だるま鍋?そう。
高崎名物達磨鍋。
ジャーン!
(姉小路)うお〜!うわ〜!もしかして…。
そう。
七転び八起き。
志高く今年こそ行人君には頑張ってもらおうと思ってね。
嬉しいなこんな僕を励ましてくれるなんて。
はいはいどんどん食べて元気を出そう!いや〜美味しそう!これ知ってます。
マグロの中落ちですよね。
いや〜中落ちは最高…。
中落ち…志半ばで落ちる…。
あっ!鴨志田さん…。
それは気づかなかったな…。
ああ…。
ああっ!
(パトカーのサイレン)
(大崎通夫)カモさん。
(刑事たち)ご苦労さまです。
身元は?
(工藤潔)免許証を所持していました。
石堂浩56歳。
(刑事たち)ご苦労さまです。
(和田一朗)職業がわかりました。
画商です。
画商?ああ絵を扱う。
はい。
(木村新)花びらですね。
なんの花かわかる?さあ…。
すぐ調べてみます。
ちょっと見せて。
ああサクラソウだな。
カモさん花の種類わかるんですか?なんだ?お前ら。
似合わないって言いたそうだな。
(刑事たち)はい。
(坂下純次)ん〜…。
石堂浩か…。
(星田耕介)知ってるの?いや全然。
ええ!?あっ!署長!いつの間に!
(星田)かなり前からいたけど君がなんか重大な事を考えてるような顔をしてたからしばらく見てたんだよ。
気がつきませんでしたどうも。
この人その世界じゃ有名らしいね。
らしいですな〜。
わたくしはもう絵画には全く…。
だろうね。
(ノック)どうぞ。
ご苦労さまです。
岡崎警視今日はどのような…?所轄を信頼していないわけじゃありませんよ。
刑事局長の指示で来ました。
刑事局長の?警察庁も協力を惜しまないという事です。
ありがとうございます!殺害された石堂さんは日本の美術界の重鎮ですからご存知だとは思いますけど…。
ええ。
それはよーく存知上げております。
君!で捜査の状況は?はい。
現在現場並びにガイシャの周辺の聞き込みを行っております。
そうですか。
これは?
(坂下)ガイシャの上着のポケットの中に…。
花の種類はわかったの?いやあの今鑑識の方で…。
サクラソウじゃないかしら。
やっぱりですか!私もそうではないかと…。
君なんかさっきから…。
鴨志田さんは聞き込み?あっそれがあの現場から忽然と消えたという報告が入っております。
どういう事だね?それは。
いやもうあの男はよく消えるんですよ。
勝手な行動は慎むようにと私が君に何百遍も言ってるだろ!申し訳ありません!やっぱりここだったのね。
おお!忽然と消えたっていうからさ。
はあ〜きれいね!ガイシャのポケットにあったサクラソウどうやらここにはないな…。
こんなに色々咲いてて?お前な10や20じゃないんだよサクラソウの種類は。
約300だ。
鴨志田さん花の事そんなに詳しかったっけ?まあな。
ちょっとビックリ…。
300種類…。
そのくらいの事事前に調べておけよ。
すみません。
遺留品のサクラソウの名前はわかる?いやそれはわからん。
今調べさせてます。
あそう。
ん?ん?これなんか似てるけど…微妙に違うか。
ああこれは母さんが好きだった有明だ。
へえ〜。
そういえば仏壇にあったお花サクラソウか。
母さんを初めてデートに誘ったのはここなんだよ。
それでサクラソウの事だけ詳しいのね。
鴨志田さんにもそんな純情な頃があったんだ。
うるさいよ。
帰るぞ。
あれ?あの人もしかして…。
なんだ?へえ〜…。
え?ちょっと…。
ほう…うまいもんですね。
ちょっと当たり前でしょ!プロなんだから。
すみません。
松田春子さんですよね?
(松田春子)はい。
有名な人?失礼な事言わないの!日本画家の花形よ。
なんにも知らないんだから…。
大変失礼を致しました。
へえ〜サクラソウがお好きなんですね。
鴨志田さん…。
すいませんスケッチの邪魔をして。
構いませんよ。
なんと言うんでしょうか。
愛らしく美しくそして強かに咲くサクラソウ。
それ今作ったの?んなわけないだろ。
母さんがよく言ってたんだよ。
でしょうね〜。
確かこの間出版された画集にもサクラソウが…。
お前こそ邪魔なんだよ。
行こう。
ごめんなさい。
失礼します。
さあさあさあ…。
(川村千秋)鴨志田さんに岡崎警視!という事は何か事件ですか?まあね。
あっそっか!サクラソウの取材?そのつもりで来たんですけど松田春子さんがいらっしゃったので急遽「今注目の女流日本画家とサクラソウ」に変更!じゃあアポなしの突撃取材?はい。
(携帯電話)アハハ…まず無理ね。
はい鴨志田。
カモさんどこにいるんですか?一体。
もう課長が…。
カンカンなんだろ?目に浮かぶよ。
よく言いますよ。
署長も怒ってますよ。
はいはい。
で何かわかったのか?いやそれが目撃者は現れませんしあのサクラソウの種類も今のところまだ…。
じゃあなんのための電話なんだよ!だか…!だから早く戻って来てくださいって言ってるんですよ。
今度こそ謹慎処分ですよ。
ああわかったわかった。
じゃあ切るぞ。
何かあったのか?案の定アポなし取材に気分を害したみたい。
鴨志田さんのその顔でなんとかなりませんか?この顔だからこそダメって事もあるぞ。
(菅野隆博)やっぱりここだったのか。
え?何か?石堂さんが殺されたんだよ。
石堂さんが?嘘でしょ?いや私も信じられなかった。
まさか殺されるとはね。
おそらく君も警察に色々聞かれるだろうけどもしっかりしないといけないよ。
ね。
とにかく行こう。
ちょっと待ってください。
ちょっとお話よろしいでしょうか?なんで私が?さあ行こう。
いいわ。
私が伺いましょう。
んん〜…。
石堂さんは私の恩人です。
あの人がいなかったら今の私は…。
知り合ったのはいつ頃でしょうか?中学生の時です。
展覧会で私の絵を見てそれ以来ずっと支援してくださいました。
芸大に入れたのも…最初の個展を開けたのも石堂さんのおかげです。
ご両親は喜ばれたでしょうね。
いえ父と母は私が小学生の時に亡くなってますので…。
あっそうでしたか…。
石堂さんは言わば親代わりですか?ええそのとおりです。
石堂さんご家族は…?奥さんが数年前に亡くなってお子さんはいません。
じゃあお1人で?ええ…。
そうですか。
では最後に1つ。
石堂さんに恨みを持つような人はいましたか?さあわかりません。
はいありがとうございました。
あの…。
まだ何か?先ほど車で駆けつけた方は?画商の菅野さんです。
それでは失礼します。
あの美貌じゃ絵に関心のない人もファンになってしまうわね。
うん…。
いつまで見てんのよ。
いいだろ見てたって。
石堂さんは絵画の売り買いだけではなく美術に関する著作も多数あります。
また日本の画家の個展を海外でプロデュースしたり活動の範囲は幅広く数年前までは画廊の経営もしていました。
次昨日の足取りは?はい。
午前中はトレーニングジムで汗を流し午後1時上野で食事を兼ねた打ち合わせに出席し3時に退席その後の足取りは掴めてません。
(坂下)ん〜…次。
私生活ですが5年前に奥さんと死別現在世田谷で一人暮らし。
近所の評判は悪くありません。
ゴミもきちんと分けて出してるそうです。
細かいな!そういう事でトラブルになるんですよ。
おおそうか…。
女性関係は?いや今のところそういう女性は…。
いないわけがないだろう。
顔だって結構渋いし仕事も出来るし金がある。
おまけに独身だ。
モテないわけがないじゃないか。
はい…。
「犯罪の陰に女あり」だよ。
(星田)古いね〜。
古いってなんだ!古いって!署長…!今時ねそんな事は誰も言わんよ。
失礼致しました。
捜査に予断は禁物!捜査の鉄則だよ君!おっしゃるとおりでございます!ところでサクラソウの種類はわかったのか?工藤!まだわかりません。
あ…鴨志田君!現場から忽然と消えた鴨志田君!何か収穫はなかったのかね?今のところ特段。
特段って…古いな言い方が!古い人が古い言葉を使うのは当たり前だろう。
そうですね…。
あ〜いいにおい!鴨志田さん僕の心が読めるんですね。
なんの事?今日僕カレー食べたいなと思ってたんです。
まさにドンピシャ!ああそうなの。
よかったね。
真実さん遅いですね。
先に食べましょうか?まだダメ。
もっとコトコト煮込む事でさらに美味しくなるの。
ただいま!うわぁ〜いいにおい!おかえりなさい。
あっもしかしてこれ僕に?残念でした。
これは鴨志田さんに。
えっ私に?春子さんの画集見たかったでしょ?おっサンキュー。
これかき回しといて。
え?ゆっくりだぞ。
へぇーこういう絵なんだ。
(姉小路)どういう絵なんです?うるさいぞ。
テーマは花と死。
なるほどね。
最近海外でも高く評価されてるそうよ。
遅いよ。
科捜研せっついてきたの。
ああ。
でわかったのか?井筒。
井筒か…。
まさか鴨志田さん春子さんを?あらゆる可能性は排除出来ない。
悲しい仕事ね。

(ノック)どうぞ。
お邪魔します。
失礼します。
お邪魔します。
あっ!これはあそこでスケッチしていたサクラソウですよね?鴨志田さんお客様。
あっ!昨日田島ヶ原で。
私東王子署の鴨志田と申します。
わたくしは…。
おい!失礼ですが…。
菅野と申します。
石堂さんには大変お世話になっておりました。
ああこれはこれは…。
私絵の方は全く門外漢でしてこれから勉強しなければと思っております。
ほう…何をお知りになりたいんですか?えーですからまず何をお聞きしたらと…。
ハハハハッ。
ハハハハッ。
それは困りましたね。
じゃあ春子さん私はこれで。
どうも。
あっすいません。
画家と画商の関係なんですが…。
それはシンプルな関係ですよ。
才能に溢れた画家を発掘して育て上げる。
まあ映画の俳優とプロデューサーのような関係ですかね。
なるほど。
絵を売ったり買ったりだけではないという事ですね。
もちろん。
こちらの松田春子さんの才能をいち早く注目したのが石堂さんなんで。
はぁー…。
じゃあ私は…。
もう1つ。
菅野さんが今日こちらにいらっしゃったのは差し支えなければ…。
察しがつきませんか?石堂さん殺されたんですよ。
つまり今後の…。
すみません。
お忙しいところお引止めして。
1日も早く犯人を逮捕してください。
それからくれぐれも彼女の制作の邪魔…。
(携帯電話)あっちょっと失礼。
(携帯電話)もしもし。
(フランス語)へぇー色んな絵筆があるんですね。
仕事を続けてもよろしいでしょうか?はいニ〜三お聞きしたら。
なんでしょう?これは関係者には必ず聞く事なので勘弁してください。
おとといの夜10時から12時の間どちらにいらっしゃいました?家にいました。
お1人で?ええ。
そうですか。
あ…これは十六夜ですね。
ええ。
よくご存じで。
そしてこれが有明。
花にお詳しいんですね。
サクラソウだけですけどね。
(咳払い)井筒はありませんか?ありません。
石堂さんは花をお好きでしたか?さあ…特に好きだったかどうかは。
(ノック)どうぞ。
東王子署の者ですが松田春子さんですね?ええ。
あっ…。
カモさん!岡崎警視!お前ら何しに来たんだ?そういうカモさんこそどうして岡崎警視と?ああ偶然。
何かわかったの?はい。
石堂さんと…松田春子さんがもめていたという人がいましたので。
本当ですか?個展の時期について少し口論したのは事実です。
失礼。
これはどうして欠けたんですか?おい!どうして?落とした時に欠けたんです。
あの…これ一応関係者全員に聞いているんですが…。
さっき聞いた。
1人で家にいたそうだ。
アリバイなしですね。
署までご同行願えますか?待て。
この鉢が凶器?どんな事も見逃すな疑えって言ったのカモさんでしょう。
行きましょうか。
あくまでも任意ですが。
待ちなさい。
(2人)はい!いい?確かに色は似てるけどこれは有明。
こっちは井筒。
ね?そう井筒。
サクラソウは約300種類あるの。
そうそう。
え?さすが警視御見それしました。
常に勉強忘れないように。
(2人)はい!大勢で押しかけて申し訳ありませんでした。
いいえ。
カモさん…。
いいんですか?いいんです。
(2人)はい!では我々は…。
ご苦労さま。
(2人)はっ!やっぱり違うわね本物の芸術家は。
まだ疑ってる?なんとも言えんな。
ねえさっきはどうして私の事を?警察庁の人間が聞き込みをしたらおかしいだろう。
相手が余計な詮索をする。
なるほどね。
そうね。
(中村光太郎)行こう。
ああちょっと。
マスコミの方ですか?今彼女制作中だから会ってくれないと思いますよ。
そういうあなた方はどういう…?ああ。
東王子署の者です。
あ…石堂さんの事で。
わたくしこういう者です。
ああ。
美術関係の記者さんですか。
つまり親しい間柄。
ええまあ…。
こちらも?いや彼女は画家の高森静香さんです。
春子さんとは芸大の同期なんです。
そうですか。
それは失礼しました。
もしかして…。
ん?さっきの男の人春子さんの彼氏じゃない?なんでそう思うんだよ。
女の勘よ。
ほう…女の勘ね。
何よバカにして!あ…なるほどね。
んー…。
課長さん!課長さん!あっ…あ?おーなんだ千秋君じゃないか。
どうしたんだ?居眠りしてていいんですか〜?いや誰が居眠りだよ。
違う違う。
目をつぶって頭の中で事件の事を整理してたんじゃないか。
課長さんもお疲れなんですね。
そうなんだよ。
いやだから寝てないって言うんだよ!大体さ勝手に入ってきてもらっちゃ困るんだけどなぁ…。
はい。
少しでも疲れが癒やされればと思って。
おおなんだこれはサクラソウじゃないのか?実をいうとさ今回の事件もなこの…。
いやいやいやなんでもないんだ。
いやいやありがとうな千秋君。
じゃあ真ん中辺に置きますね。
(坂下)いいんだいいんだ。
花がわかるような連中じゃないんだから。
こっちにな。
犯人の手掛かりはまだ…。
おおまあ…それはまあそれとしてさどうだ?今夜食事でも。
ウフフッ課長さんそんな事してる暇は…。
大丈夫大丈夫。
私1人いなくたってどうって事はないんだから。
どうだ?何してるんですか?課長。
ああ…。
もしもしもし?
(和田)鳴ってませんよ。
あ…鳴ってなかったか。
おかしいな…。
じゃあ失礼しました。
ああ…じゃあな。
どうも〜。
どうも。
いやあなたが中村さんと一番親しいって聞いたもんだから。
(小野寺)いや僕じゃなくてもこの業界の人間ならみんな知ってますよ。
松田春子さんと中村の関係は。
じゃああの2人は…。
もう1年ぐらいになるのかな付き合って。
まあまじめな者同士お似合いなんじゃないかな。
いわゆるアツアツのカップルという感じじゃなくて信頼関係で結ばれてるっていうか。
僕みたいな凡人には理解出来ませんけど。
ああ…はい。
その後の進展は?
(坂下)「申し訳ございません。
これといってまだ…」遺留品のサクラソウ井筒が咲いてる場所で殺害された可能性が高いと思われます。
はい。
田島ヶ原サクラソウ自生地はもう調査済みです。
他を当たってください。
了解しました。
失礼致します!そういう事だ。
早速当たってくれ。
(工藤)あ…課長。
ああそうか!このなあ井筒というサクラソウの咲いている場所をあらゆる手を尽くして探し出せ!
(一同)はい!
(坂下)行って来い!よし行って来い行って来い!
(坂下)よし行って来い!鴨志…。
あれ?鴨志田君は?ただいま。
あ〜おかえりなさい。
鴨志田さんきれいな人ですねぇ〜。
なあ今日の夕食当番君じゃなかったっけ?え…あっすっかり忘れてました。
頼むよ。
もう今日はクタクタなんだからさ。
実物はもっときれいだよ。
本当ですか?晩飯。
はいすぐ作ります!行人君おなかすいた〜!はいはいすぐ作ります。
おい。
ん?女の勘当たってたよ。
え?春子さんとあの美術雑誌の記者。
やっぱり!付き合いは1年前からだそうだ。
へぇー。
私は石堂さんの事調べてみたんだけど。
おっなんかわかったか?これは単なる噂よ。
ああ。
ガセネタの可能性も…。
わかったから早く言え。
石堂さんと春子さん以前付き合ってたって言うの。
まさか!だからこれは…。
いくつ違うんだよ。
私もそう思うけど…。
絶対あり得ません!いらっしゃいませ。

(シャッター音)こんにちは。
あっ刑事さん。
昨日はどうも。
今日はお仕事ですか?はい。
松田春子さんの特集でね。
彼女の特集は何度やっても売れるんですよ。
ああ。
きれいに咲いてますね。
ええここはサクラソウの宝庫ですからね。
じゃあサクラソウは詳しいんだ。
井筒ってどこかに咲いてました?えっと咲いてましたよ。
どこだったかな…。
あーこれは違うか。
こっちは中津だな。
あーありましたありました。
ここですよ。
ああほんとだ。
(小野寺)一つ一つ個性がありますよねサクラソウには。
その…。
はい?先週の一般公開日初日には…。
もちろん来ましたよ。
結構人が出てましたね。
今お話しの松田春子さんも確か…。
ええ来てました。
ファンが大勢いますからね。
彼女目立たないように帽子かぶってましたけど私はすぐにわかりました。
なんでも主催者の人に絵を頼まれたみたいで。
画商の石堂浩さん来てませんでしたか?
(小野寺)ああ来てましたね。
まるで彼女ガードするみたいにぴったり寄り添って。
(石堂浩)おお咲きましたね。
ほう…寄り添ってね。
やっぱりあの2人怪しいのかな…。
もうかなり前の噂になりますけどね。
でも火のないところに煙は立たないって言いますからね。
では確かに…。
(菅野)お願い致します。
ありがとうございました。
失礼します。
あっどうも。
なんか…暑いっすね。
今日はそう暑くはないでしょう。
今日はあれですか?依頼された絵を…。
鴨志田さん私の事疑ってるんですか?いやとんでもない。
でもあとをつけてきたんでしょ?いやいや浮間のサクラソウの花壇に行ったついでにこちらに寄ってみたらまあ偶然…。
刑事さん彼女は何もしていません。
いいですか石堂さんは彼女にとって…。
その事は鴨志田さんにはお話ししました。
だって…でも現にこうやって君につきまとってるじゃないか。
いや別につきまとってるわけじゃ…。
ではせっかくですから1つよろしいでしょうか?はい。
石堂さんとは私生活においてお付き合いがあったというのは…。
なんですかその質問は!いやこれはあくまでも噂ですが。
そんなくだらない噂を信じるんですか?刑事さん。
一応ご本人に確認を。
答える必要はないですよ春子さん。
行こう。
はっきり申し上げます。
石堂さんを尊敬していましたがそういう関係ではありませんでした。
はい。
わかりました。
刑事さんこれ以上失礼な事があると私にも考えがあります。
ほう…。
私はね政治家や官僚の知人が大勢いるんです。
もちろん警察庁にもね。
いいんですか?ヒラ刑事さん。
(扉を開ける音)鴨志田さんは春子さんを疑ってここに来たわけじゃありません。
あなたは?警察庁の岡崎です。
鴨志田刑事は石堂さんの上着のポケットに入っていたサクラソウの出どころを捜査中のはずです。
そうですね?はい岡崎警視。
まあ一応礼を言っとくか。
何よ一応って。
さっき鴨志田さんキレかかってたわよ。
冗談言うな。
何年ヒラ刑事やってると思ってるんだ。
あんな事でいちいちキレてたら仕事は出来ない。
はいはい。
「はい」は1回でいい。
それにしてもお前私があそこにいるのよくわかったな。
田島ヶ原じゃなかったら浮間。
それぐらい私だって読めます。
でもあそこは犯行現場じゃないわね。
どうしてそう思う?だって犯行推定時刻は夜10時から12時でしょ。
そんな時間にあそこでって考えられない。
そうだな。
いくら聞き込みしても怨恨の線は出てこない。
だとすると利害関係?石堂さんが死んで得をするのは?お前はもういい。
戻って警察庁の仕事しろ。
またそれ?足で稼ぐ仕事はヒラ刑事に任せとけ。
じゃあ。
どこ行くの?あっそ。
わかったわよ〜!田島ヶ原で?間違いないか?そうです間違いありません。
よーし任意同行だ!進展があったみたいだね。
はい!線でつないだという事は…?はい。
3日前の夜6時半頃この2人が田島ヶ原で掴み合いになっていたという目撃情報を得ました。
よーし。
いいですか?いらっしゃいませ。

(菅野)よくお会いしますねぇ。
また偶然ですか?私はこういう絵好きですね。
癒やされます。
今回のテーマはその癒やしです。
箱根を舞台に選んだのは何か理由でもあるんですか?箱根は高森静香の古里なんです。
あっなるほど。
ほんと青の使い方が今までより格段によくなりましたよ。
(高森静香)ありがとうございます。
で私に用ですか?それとも高森静香に?いえどちらでもありません。
俗に言うたまたまです。
まあ聞きたい事があればどうぞ事務所の方へ。
絵をご覧になってるお客様のご迷惑になりますから。
どうぞわたくしの事はお構いなく。
あっどうも。
いいですねぇ。
いや本当に。
ありがとうございます。
私みたいな素人はそれしか言えない。
そのひと言で十分です。
お生まれは箱根のどちらなんです?仙石原です。
ああ仙石原。
いいとこですよね。
たまにはお帰りになる?ええ。
月の半分は向こうです。
そうですか。
そりゃあいい。
(大崎)カモさん?おう。
さすが早いっすね。
なんの事?またまた。
情報が入りましたか?情報って?えっ?中村光太郎さんですね?はい…。
石堂さんともめていた事は認めるんだね?原因はなんですか?中村さん。
(大崎)「あなた犯行時のアリバイもはっきりしていない」「何もかも正直に話した方がいいと思うよ」「私は何もしていません」でも掴み合いになってあんたが石堂さんを殴るのを目撃されてるんだよ。
(机をたたく音)どうなんですか!?3日前…。
(工藤)3日前?田島ヶ原の臨時即売場で…。
どうぞ。
どうも。
ああ石堂さんおかげさまでバカ売れですよ。
今をときめく松田春子の絵ですからね。
松田春子の新作も渡そうか?
(業者)えっ…いいんですか?
(石堂)もちろん。
松田春子の絵の運用は全て私に一任されている。
(中村の声)そんな事春子が許すはずがない。
そのあと私は石堂さんと会いました。
先生ひどいじゃないですか。
春子の絵で金もうけを考えるなんて。
春子は承知したんですか?彼女が私に逆らえると思ってるのか?じゃああの噂も…。
くだらん。
君が思ってるような事は断じてない。
先生僕は春子から聞いてるんですよ。
何をだね?あなたは彼女を女としても見ていた。
だから彼女は君になんて言ったんだ?度々迫られているって…。
バカバカしい。
僕も春子も先生を尊敬し信頼もしてます。
その信頼を裏切るようなまねは…。
おいいい加減にしろ。
お前みたいな若造が俺に説教か?春子が今日あるのは誰のおかげなんだ?それはわかってますが先生は公私混同してます。
黙れ!恋人面しやがって。
いいか?彼女にとってお前は二の次三の次だ。
いや芸術が春子にとって全てなんだ。
お前は黙って春子の宣伝だけしてりゃいいんだ!ふざけるな!
(工藤)殴ったのはその1発だけですか?はい。
ついカッとなって…。
それから?先生はお前を美術界から追放してやると言って通りの方へ。
追放?それは穏やかじゃないねぇ。
あんたとしても。
えっ…僕は殺していません。
(中村)「本当です」このまま帰す?カモさんあいつまだ十分疑わしいっすよ。
うん。
君はどう思う?いやせめてあと1日…。
だよなぁ。
課長容疑者と断定するんですか?いやそうは言ってないよ。
材料が少なすぎます。
しかし動機ははっきりしてるじゃないですか。
しかも殴った事は認めています。
傷害罪だ。
どうだ?私も真っ白だとは言いません。
どうですかね?しばらく泳がせてみては。
うーん…泳がせるねぇ…。
課長危険すぎますよ!
(有賀智明)そうっすよ!うーん…考えてるんだろ今。
二の次三の次か…。
ありがとう。
どうぞ。
ああ〜もうダメ…。
やめてください!やっと気合が入ってきたわねぇ。
ウフフ…。
(姉小路)この神秘的な美しさ…。
えっ?あっ叔母さん。
何が七転び八起きよ。
こんないやらしい写真集見ててあなたこんな事してる場合?違いますよほら!今日という今日はもうお父様とお母様に…。
よく見てください叔母様!絵です。
画集です。
フン。
大切に扱ってくださいよ。
サイン入りですからね。
(由紀子)へえ〜。
なんだか不思議な絵ねぇ。
ただいまー。
あっ。
こんばんは。
では失礼します。
なんなの?いえあの…。
おい捜査の状況を聞かなくていいのか?ちゃんと報告は上がってます。
何?え?あっこれはこれは…。
「これはこれは」のあとはなんです?いや相変わらず…。
(2人)失礼します。
(扉を閉める音)
(ため息)行人さん大丈夫なの?あの人たち。
大丈夫かどうかは僕には…。
あなたあんな人たちがそばにいてよく平気ねぇ。
はいそれも含めて検討してみます。
叔母さん悪いけどこれから民法第62条を覚えなきゃいけないんで帰ってくれます?ん?
(店員)はいおまちどお。
鴨志田さん中村さんっていう記者釈放しちゃったけど大丈夫?おい。
あ…。
それより気になるのは2人の関係だ。
恋人同士じゃないの?あそっか。
三角関係よね。
石堂さんを入れた。
わからん。
あの…どうにも気になるんですがね。
ん?あんた方の関係。
どういう関係に見えます?実の親子にも見えるけど名前で呼んでるのは変だよね。
そう変なんです。
大崎さん!
(大崎)どうだった?目撃情報はありませんでした。
手当たり次第当たってみたんですが…。
ああ…。
また始まった。
ああ。
何やってんすか?
(星田)釈放したのは君の判断かね?ああいえわたくしはあの…逃亡その他の恐れがあると…。
署長。
私の判断です。
何っ!?
(星田)ご苦労さまです。
(星田)坂下君。
石堂…。
(咳払い)石堂…あれ?あれ?
(咳払い)落ち着きたまえ。
すいませんすいません…。
石堂浩中村光太郎はともに美術の世界に身を置きかなり親しかった点そして2人の遺体にはサクラソウの花びらが残されていた点これらを考慮致しますと現段階では同一犯の犯行と見てよいのではないかと。
(大崎)警視!ねえ鴨志田刑事は?
(大崎)ご存じありませんか?ええ。
先ほど…。
(大崎)中村を釈放した責任を取って自ら謹慎を申し出ました。
そうなの?あ何かわかったら私の携帯に。
(店員)いらっしゃいませ。
やっぱり。
おう。
自宅謹慎じゃなかったの?団子ぐらいいいだろう。
でも驚いた。
自分から申し出るなんて。
お前も食べるか?今こそベテランの出番じゃないの?手を引いたとは言ってません。
え?ごちそうさん。
なるほどね。
また1人で行動する気ね?手がかりはあるの?すいません私にもお団子。
(店員)はい。
私もおかわり。
まだ食べるの?当たり前。
(携帯電話)鳴ってるぞ。
え?あっ…。
(携帯電話)はい岡崎です。
なんかわかった?え?ほんとに?はいご苦労さま。
どうした?中村さんの胸ポケットに入っていたサクラソウの種類が…。
ああ。
十六夜。
これは十六夜ですね。
ええ。
よくご存じで。
鴨志田さんはどう思う?私はどうしても春子さんが犯人だとは思えない。
根拠は?それは…はっきりした理由はないけど。
それじゃダメなんだよ。
お前署にいてくれるか?これから彼女の取り調べが始まるはずだ。
鴨志田さんは?俺は行くところがある。
昨日は午後にサイン会がありまして夕方帰ってきてからは自宅を一歩も出てません。
(工藤)ずっとお1人で?はい。
(工藤)それを証明する事は?出来ません。
絵を描いてる時はその事だけに集中していますから。
あなたのアトリエと中村さんが殺害された場所非常に近いですよね?それが何か?彼あなたのところに来たんじゃないんですか?
(春子)いいえ。
あなたのアトリエにあったサクラソウと同じサクラソウの花びらが中村さんの胸ポケットに入ってました。
私には光太郎を殺す理由がありません。
あなた石堂さんを殺したでしょ。
石堂さんはあなたの絵を勝手に商売に使おうとしてた。
その事で石堂さんともめ…。
やめてくださいそんな作り話。
中村さんはあなたが石堂さんを殺したのを知っていた。
「いい加減にしてください!」「あなたは中村さんとどういうお付き合いだったんですか?」「どうしてそんな事お聞きになりたいんですか?」「答えられないんですか?」「普通の恋人同士とは少し違ったかもしれません」
(大崎)「どこがどういうふうに?」彼は私のよき理解者でした。
私が絵に没頭してるとそっとしておいてくれたし…。
何日も連絡を取らないでいると食事を差し入れしてくれたり。
詳しく知りたいんです。
前にもうちで特集やった事ありますけど。
じゃあそれもぜひ。
はい。
もう…鑑識の結果はまだかね?電話してみます。
うん。
部屋からルミノール反応が出れば…。
(扉を開ける音)ああどうだった?ルミノール反応は出ませんでした。
ああ〜クソッ…。
じゃあもう一度現場周辺を徹底的に洗ってみるか。
彼女を犯人扱いするのはまだ早いんじゃないかしら。
岡崎警視お言葉ではございますが私が思いますに今回の事件はこの3人…。
石堂中村松田春子この3人の痴情のもつれであります。
いやいやいやいや…もつれといいましてもこれはもうただのもつれじゃございませんよ。
この複雑に…こんな感じみたいなもつれでございまして…。
坂下さん。
はい。
このサクラソウどうしたの?それはでございますね…。
北区ケーブルテレビの千秋ちゃんが課長にと。
おいおい…。
ふ〜ん。
あいや…困るんですよねえ。
そういう事されても。
私も一応妻子持ちでございますからね。
確かに問題があると思いますけど。
ありますかね…。
松田春子の拘留は?再検討させて頂きます。
ねえあの捜査方針でいいのかなあ?今回はさすがの鴨志田刑事もお手上げ?彼女の事を色々調べてみたんだよ。
どうやって?あれから聞き込みしたの?うん。
でわかった事が一つある。
何?あるインタビューに彼女が答えてるんだ。
8歳の時に両親を交通事故で失い以来誰とも口を利かずただただ絵を描いて過ごした少女時代だというんだな。
その後石堂浩に才能を見出され脚光を浴びるんだが彼女にとって絵を描く事は生きる事そのものなんだ。
それを邪魔する者は誰であろうと許さない。
じゃあ鴨志田さんも2人を殺したのは春子さんだと…?いやそうは言ってない。
鴨志田さんなんて事を…!だから最後まで聞きなさいよ。
殺された2人は彼女を育て支援してきた人間だ。
そんな2人を彼女が殺すわけがない。
ああ…!びっくりさせないでくださいよ。
お前さっきから手かいてるけど虫にでも刺されたのか?虫に刺された覚えはないんだけどなあ…。
ちょっと見せてください。
ああこれは虫に刺されたんじゃなくて何かにかぶれたみたいですね。
え〜!?かぶれるようなものに触ったかなあ…?あ…お前サクラソウに触ったか?サクラソウ?ああ。
あの花にはプリミンという成分が含まれててな人によっちゃかぶれるんだよ。
あっ!触った。
坂下さんのデスクのサクラソウに。
よかったですね原因がわかって。
あれ?待てよ…。
あら…誰だ…?え?何?えっと…あ〜思い出せない。
どうしたの?いやいや…ええと誰だ…?あ…!たまにはお帰りになる?ええ。
あの時だ。
じゃあ頼む。
わかった。
(チャイム)
(静香)「はい」あすいません。
東王子署の鴨志田と申します。
「何か…?」はい少々お話を伺いたくて…。
「はい」あすいません。
どうぞお入りください。
あお邪魔します。
ほう…ここでは絵をお描きにならないんですか?はい。
アトリエは仙石原にあります。
どうぞ。
いえすぐにお暇しますんで。
ああ…。
中村さんの事件についてならもう刑事さんにお話ししましたけど。
そうですか。
おそらく不躾な事を聞かれたんでしょうね。
アリバイだとか。
ええ。
まあそれが我々の仕事なんで勘弁してください。
確かその時間は…。
菅野さんと会っていました。
ああそうでしたね。
先日あなたの個展を拝見しました。
風景がお好きなんですね。
花はお描きにならない…?最近は描いてませんがそれが何か…?いやいやいや…。
そう私が聞きたかったのは春子さんの絵についてです。
まあここだけの話なんですが私はあなたの絵の方が親しみやすくて好きですね。
ありがとうございます。
春子さんの絵はちょっと気味が悪いというか…。
あなたはどう思われます?彼女は見る人がどう思うかは関係なくて…自分のために描いていると私は思いますけど。
ああなるほど。
鴨志田さん。
彼女手なんともなかったでしょ?ああ。
昨日その先の皮膚科でかぶれの治療を受けてたみたい。
そうか…。
部屋の中にサクラソウは?ない。
という事は…。
でも彼女の動機は何?まあそう焦るな。
それにまだクロだとは言ってない。
お前に一つ頼みがあるんだ。
皮膚科を入れると2つ目ね。
お前にしか頼めない事なんだよ。
何?菅野という画商を覚えてるよな?もちろん。
政財界に顔の利く人でしょ?それともう一つ言ってたろ?警察庁?そう。
大体そういう名前を出す奴は何か裏があるんだ。
今回の事件とも関係が…?それはまだわからん。
菅野は高森静香の強力な支援者だ。
それに石堂さんとは画商としても張り合ってた。
鴨志田さん…!だから急ぐなって。
とにかく警察庁の…。
誰と接触したか?そう。
その線から何かがわかるかもしれん。
俺が直接菅野に当たる。
了解。
(田中孝典)画商の菅野?はい。
ご存じですか?君が担当している事件とその菅野なる人物が何か関係してるのか?それはまだわかりませんが警察庁に知り合いがいると言っていたのがちょっと気になりまして。
おそらくその手の人間は一度会っただけでも知り合いと言いかねない。
はい。
どうやら私の直感が功を奏したみたいだね。
え?そもそもなぜ君を一殺人事件に送り込んだと思う?清川昭三知ってるね?はい。
衆議院議員の清川昭三さんですか?これは極秘にしてほしいんだが…。
はい。
建設族の清川昭三には大手ゼネコンとの収賄の疑惑があって今こちらで捜査してるところなんだ。
そうなんですか。
その収賄に絵画が使われているという確かな情報があって我々は大物画商に目をつけていた。
そんな矢先に石堂浩が殺された。
それで…。
菅野も十分に怪しい。
君は引き続き東王子署に。
あっ!なんだ!?あいいえ。
わかりました。
絵の造詣が深い清川代議士の意外な一面!真実さんこれいけますよ!そうでしょう?事務所にも名画が飾られてるそうよ。
私清川代議士の事務所に取材に行ってきます。
貴重な情報ありがとうございます。
頑張ってね。
(石川)ええそうなんです。
(石川)先生の絵に関しての造詣はとても深く…。
その事を多くの日本国民に知ってもらおうと…。
それはぜひ…。
ただ先生はあいにく留守にしておりまして。
事務所にも絵が飾られていると聞きまして。
(石川)ええ。
これなんかはここ数年先生が注目している日本の洋画家の絵です。
すばらしい絵ですね。
ビデオに撮らせてもらってもいいですか?
(石川)もちろんでございます。
やっぱりあったのね。
はい。
清川代議士が絵の造詣が深いっていう真実さんの情報本当でした。
ねえ千秋ちゃん。
この絵のデータ私のパソコンに移させて。
ああはい。
(菅野が話すフランス語)
(フランス語)
(フランス語)ああお待たせしました。
で今日はどういった…?ええ。
中村さんが殺害された日の夜は…。
またその話ですか。
昨日散々お話ししたじゃありませんか。
ああ高森静香さんと…。
そうです。
ここで会っていました。
彼女の個展を年内にパリで開く。
まあその打ち合わせですね。
ああパリで個展を…。
そうです。
はあはあはあ…はあ。
え〜他に用事がなければお引き取り願えませんか。
ああの…。
高森さんの絵というのは大体いくらぐらいするんですかね?例えばこの絵だと…。
お買いになるんですか?まさか。
参考までに。
ちなみにこの作品は売約済みですけどね300万だったかな…。
ほう…。
思ったより高かった。
ああいやいや絵の値段は全くわかりませんので。
もっと高くなりますよ。
それはあなたがより高くするという意味もありますか?ハッハッハ!さあ…それはどうでしょうね。
松田春子さんの絵だとこのくらいの大きさで500万でしたかね。
知ってるじゃないですか。
大したもんですね。
一枚の絵で。
ピカソやゴッホは何十億ですよ。
そりゃそうだ。
ハハハ…。
いやお忙しいところ失礼致しました。
いえいえ。
ああ…私も油絵を始めましょうかね。
おお…トレビアーン。
では。

(坂下)証拠不十分。
なんとか自供に追い込みたかったんですが…。
もう一度捜査を洗い直した方がいいんじゃないのか?坂下君。
はい…。
君の考えをまず聞こうじゃないか。
え?え?じゃないだろ!捜査の指揮を執っているのは君だろう!ああ…鴨志田君。
鴨志田君…。
ああ自宅謹慎か!ああ…!菅野と高森静香が口裏を合わせてるとしたら2人の共犯って事?その可能性は十分ある。
でもその場合の動機は何?やっぱりカギを握ってるのは…。
行こう!え?ちょっと…どこへ?警視!あとは私たちが。
え?いや…私が。
そんな…警視が張り込みだなんて。
ここは我々が。
いいーんです。
ご苦労さま。
(2人)はい!
(ノック)ごめんください。
失礼します。
「花の下にて春死なむ」か。
西行だな…。
行ってみるか。
え…?
(アナウンス)「箱根湯本終点でございます」箱根に来たって事はそれなりの確信があっての事でしょ?確信はない。
ええ…!?高森静香のアトリエに事件を解くカギがあるんじゃないの?なあ今日見た春子さんの絵なんだが…。
なんか鬼気迫るものがあったわね。
あの男女の死体誰だと思う?それは…殺された中村さんと自分でしょ?つまり中村さんへのレクイエム。
私はそう思ったけど。
違うの?いや…。
春子さん自分の心の痛みや悲しみを絵を描く事でこらえてるのよ。
うん…?あここじゃない?ん?ここか…。
(チャイム)
(チャイム)鴨志田さん!ん!おお。
ねえこれ違う?ああ井筒だな。
じゃあ石堂さんはここで殺されたのね。
そりゃまだわからん。
家宅捜索ね次は。
令状とらなきゃ!ちょっと待てよ。
せっかちだねお前は。
誰に似たんだか。
(携帯電話)いやだ…。
はい岡崎です。
清川と菅野はやはりつながってたよ。
こちらに入った情報によると2人は箱根湯本のホテル天成園でも数回会ってる。
箱根湯本のホテル天成園ですね。
了解しました。
行きましょう!ん?どこへ?おい俺そんなに金持ってないぞ。
大丈夫よ。
仕事で来てるんだから。
ここで清川代議士と菅野が密会してたの。
それに…たまには親孝行もしないとね。
へ〜。
あいつの口から親孝行とはね。
ふん…。
お願いします。
ありがとうございます。
こちらお部屋の鍵でございます。
はい。
浴衣とタオルのセットでございます。
ありがとうございます。
おい。
うん?安い部屋でいいんだぞ。
ケチケチしないの。
ああそう。
これ鴨志田さんのバッグ。
おう。
はい。
行きましょう。
(浜田)いらっしゃいませ。
ああどうも。
ただいま当ホテルのホールでものまねショーを行っておりますがいかがでしょうか?へ〜!わ〜面白そうね。
行ってみる?仕事。
わかってます。
ではご案内させて頂きますね。
ああああ…いいです。
よろしいですか?では。
ごゆっくりどうぞ。
わ〜!へ〜すてき!ほう…。
へ〜!ふ〜ん…。
あ…!この絵!うん?菅野は警察庁が追っている清川代議士の収賄に絡んでいた。
それを石堂に気づかれたとしたら…。
そして石堂に脅されていたとしたら…。
菅野は石堂を高森静香のアトリエに呼び出し…。
(携帯電話)誰から?課長だ。
はいもしもし。
鴨志田君か。
私だ。
君今自宅かね?ええそれはもちろん謹慎中ですから…。
ん?なんだ?滝が落ちるような音は。
(滝が落ちる音)滝なわけないじゃないですか。
今台所でお茶碗洗ってたんです。
大変だねぇ君も。
奥さんに死なれ…。
いやいやそんな事はどうでもいいんだ。
君の謹慎を解くからただちに捜査に戻ってくれ。
鴨志田君頼むよ〜!あ…課長。
お願いがあります。
画商の菅野と画家の高森静香に張り付いてください。
では。
もしかして謹慎解けたの?そうだ。
よかったじゃない。
名水だって。
ああ美味しい!飲む?ああくれ。
ああうまい。
ねえ。
へぇ…細胞を若々しく保つか。
お前急につるつるになったよ。
え!?いやほんとに?ああ…遅〜い。
(扉を開ける音)もう…男のくせに何時間もどこ洗ってたのよ?すごい事言うねお前も。
聞き込みをしてたんだよ。
おっ豪華!はいいただきます。
しかしこんな贅沢していいのかね。
だからたまには娘に任せなさいって。
はいはい。
でどうだったの?聞き込み。
うん…ここには春子さんも来てる。
中村光太郎と高森静香と。
ありがとう。
気をつけてね。
きれいだね。
そうね。
3人で玉簾神社にお参りしてる。
玉簾神社って縁結びの神様よね?っていう事は静香さんも思いを寄せてる人がいたのかしら?うん…さあいただくとするか。
うん。
(携帯電話)鴨志田さんだよ。
はいはい。
(携帯電話)大崎だ。
…おう。
カモさん今どこにいるんですか?家の方に電話したら今日は戻らないと。
バレたか…今箱根だ。
まさか…高森静香のアトリエに?行ったよ。
静香はまだ東京か?それが…姿をくらましました。
菅野は?
(大崎)「菅野の行方もわかりません」うん…明日静香のアトリエを家宅捜索してくれ。
一致するサクラソウが咲いてた。
鑑識も同行。
わかりました。
何?2人ともいなくなった。
一緒かしら?わからん。
静香さんが思いを寄せていた人って菅野さんじゃないわよね?いやそれはないとは言えないが…。
ないない。
あの2人はビジネスでつながってるだけよ。
女の勘か?またバカにして…。
でも静香さんにとってプロデューサーでもある菅野さんの存在は大きいと思うの。
春子さんにとっての石堂さんみたいに。
ああ。
その2人が共謀して石堂さんを殺したとして中村さんを殺したのはどういう事?だからそれは…。
石堂さん殺しを中村さんに見抜かれたから?ああ。
そうなのかなぁ?明日ちょっと早く起きて大涌谷に行くぞ。
大涌谷って地獄谷で有名な?春子さんのあの絵がどうも気になってな…。
高所恐怖症筋金入りね。
ロープウエー大丈夫だった?うるさいよ。
フフフ…。
うわ〜。
すごい迫力ね。
やはりここだな。
春子さんの絵のイメージは。
清川代議士の事務所にあった静香さんの絵にも富士山があったわ。
その絵見せてくれるか?うん。
この湖芦ノ湖かしら?いや芦ノ湖からの富士はこんなふうには見えない。
え?
(携帯電話)あっ…ちょっとごめん。
はいもしもし。
清川の容疑が固まったよ。
逮捕状も取った。
わかりました。
ところで君はどこにいるんだ?朝から全然姿が見えないが。
はいこちらの事件の関係で今箱根に来ております。
もしかすると菅野もこちらに潜伏してるかも。
…はい了解しました。
清川代議士に収賄容疑で逮捕状が出たわ。
そうか。
やはり菅野は静香の絵を大手ゼネコンとの贈収賄の取引に長年使ってたんだな。
おそらく静香の絵の値段を不当に吊り上げたりしたんだろう。
菅野はどうするつもりなの?2人は一緒にいる。
え…?ちょっと…待ってよ。
どうだ?これからやってみます。
頼むよ。
はい。
先輩。
ん?書斎があります。
わかった。
(有賀)カーテン閉めて。
はい。
(木村)出ました!
(大崎)どこだ?
(木村)ここです。
よし…すぐに血液を照合してください。
はい。
富士五湖のどこに向かったらいい?富士山っていうのはなそれぞれの湖の見る角度によって景観が違うはずなんだ。
なるほど。
この絵と同じ富士山と湖は一体どこなんだ?どうしたんですか?余計な事かもしれませんがその絵ちょっと見せてくれますか?ああどうぞ。
はい。
ああ…これは本栖湖だね。
間違いないです。
そうですか。
本栖湖ですか。
ありがとう助かった。
(携帯電話)はい。
…おうどうした?そうか…見つかったか。
うん…どうやら2人は一緒に逃走してるようだ。
おそらく本栖湖だな。
山梨県警には協力を要請しておく。
お前たちも現地に急行してくれ。
俺たちはもうすでに向かっている。
じゃ。
運転手さんお願いします。
(運転手)はい。
もう終わりね私たち。
パリで個展を開く夢も結局夢で終わったわ…。
でも夢を見させてくれたあなたには感謝しています。
「砂上の楼閣」か…。
え?そんな言葉がピッタリだな…俺たちのやってきた事は。
ここから見える富士山の絵何枚描いたかなぁ…。
(静香)満足出来る絵は1枚もなかったけど。
そんなもんだよ。
画家は死ぬまでに1枚本当に満足いく絵が描けるかどうかだ。
持ってきたか?…ええ。
さあ飲みなさい。
俺もすぐ飲む。
どうした?私にだけ飲ませるつもりだったのね?ここだ。
俺は清川に利用されただけなんだ。
あいつと俺は田舎が同じでね。
あいつは俺が学生時代警察にパクられたのをネタに俺を強請り続けてきた。
だから俺はあいつの言いなりにお前の絵の値段をべらぼうに吊り上げそれをあいつは大手ゼネコンとの賄賂に利用したんだ。
だけどお前さんもいい思いしたじゃないか。
あの松田春子の才能と比較されて…。
俺はねもう一度這い上がるよ。
人を2人も殺した悲しい女流画家の死を見届けてな。
やめて…!やめるんだ菅野!
(パトカーのサイレン)カモさん!おう追え!
(2人)はい!真実!ダメ!春子の絵は完成したんですか?さあ…。
彼女の才能が本当にうらやましかった。
私の絵は菅野が不当に値を吊り上げて賄賂の道具に利用された偽物。
春子は本物です。
春子の絵には見る人の心を揺さぶる力があるんです。
(静香)でも私は負けたくなかった。
どんな手を使ってでも学生時代みたいに彼女のライバルと呼ばれていたかった。
そのために…私の絵の価値を春子と同等それ以上にしてあげるからという菅野の誘いにのってしまった。
私の絵は堕落したんです。
さらに賄賂のカラクリを知って菅野を強請ってきた石堂さんを…。
こんな夜中に呼び出してどうしたの?お待ちしてました。
私1人でやりました。
その事を中村さんに知られてしまったんですね?いいえ彼は何も…。
え…?彼を殺したのは…。
話って何?あなたは…春子があなたの事どう思ってるかわかって付き合ってるの?…もちろん。
彼女にとって絵を描く事が全てだ。
僕はそんな春子が好きだし…尊敬もしてる。
そんなのおかしいでしょ絶対。
おかしいわよ。
私だって…。
あなたは春子さんのアトリエのサクラソウ十六夜の花弁を中村さんのポケットに入れた。
私から何もかも奪っていく春子が憎かった。
だから春子から彼を奪ったんです。
静香さん何をお願いしたのかな?春子さんはその事を知ってたんですね。
さあ…どうでしょう。
(工藤)犯行はいつ頃から?
(静香)去年の暮れ頃菅野さんから話を…。
その時すでにあなたは自分の絵が賄賂に使われていた事知ってたんですね?はい。
それはいつ頃から?1年くらい前から私の絵に高い値段が付き始めて不思議に思い菅野さんに聞いてみたんです。
その時全てを知りました。
春子さんがあなたに見てもらいたいって。
春子…。
いい絵ね…。
人を愛するってなんだか怖い。
まあ愛にもいろいろあるさ。
(りんの音)なあ母さん。
そうね。
(姉小路)叔母さん!
(由紀子)いいえ出てってもらいます!出た!待ってよ!
(姉小路)いやだから…。
(由紀子)どこにいるんですか?僕はあの人たちがいないと困るんです!なんにも困りません。
困るんですよ!
(由紀子)ならわたくしがここに住んであげる。
鴨志田さん待ってよ。
待ってってば!
(由紀子)かくれんぼはダメですよ!今日はいないんですよ。
どこにいるんですか?鴨志田さんいないですよね〜?
(由紀子)鴨志田さんどこにいるんですか〜?ちょっと…ちょっと…おばちゃん怖い。
(由紀子)鴨志田さ〜ん!ああ〜!ちょっと待ってって鴨志田さん!
アームレスリングアジア大会の会場
熱戦が繰り広げられる中2015/09/24(木) 14:00〜15:51
ABCテレビ1
おかしな刑事[再][字]

〜居眠り刑事とエリート警視の父娘捜査 サクラソウは見ていた!死体に付いた花弁と、女流画家の美しい罠!

詳細情報
◇番組内容
伊東四朗が叩き上げの刑事、羽田美智子がエリート警視という凸凹父娘コンビを演じる大人気シリーズの第7弾!サクラソウを愛する女流画家の周辺で、連続殺人が発生!可憐な花を手がかりに、父娘コンビが事件のナゾに迫る。
◇出演者
伊東四朗、羽田美智子、石井正則、田島令子、小沢真珠、小橋めぐみ、浜田学、寺田農、市川勇、小倉久寛

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz

OriginalNetworkID:32723(0x7FD3)
TransportStreamID:32723(0x7FD3)
ServiceID:2072(0x0818)
EventID:38913(0x9801)

カテゴリー: 未分類 | 投稿日: | 投稿者: