ハートネットTV WEB連動チエノバ「知って欲しい!境界性パーソナリティ障害」 2015.09.24


生字幕放送でお伝えします
こんばんは。
「ハートネットTV」。
WEB連動企画チエノバです。
皆さんから番組のホームページに届く年間1万件以上の声を知恵に変えていこうという番組です。
きょうも生放送でお届けします。
ツイッターの声も募集しています。
ハッシュタグカタカナで「チエノバ」をつけてどんどんお寄せください。
お待ちしています。
コメンテーターは荻上チキさんです。
きょうのラインナップ紹介しましょう。
「チキノめ」です。
チキさん独自の目で福祉の今を切り取ります。
そして、きょうのメインテーマは精神疾患の一つ境界性パーソナリティ障害です。
感情や行動が不安定でうまく人とつきあえなかったり自分を傷つけてしまったり本当にたくさんの声がカキコミ板に寄せられました。
ゲストをお迎えして一緒に考えていきたいと思います。
新コーナーからまいりましょう。
「チキノめ」です。
今回の「チキノめ」では不登校の子どもが今、どうなっているのかについて話したいと思います。
早速、突然なんですがクボジュンさんにクイズを出したいと思います。
どうですか?
こうであってほしくないという気持ちを込めてC。
正解は、Cの12万人ということなんです。
とても多いですよね。
しかも毎年10万人を超えてしまうという状況が続いてしまってるのが現在の日本の不登校の状況ということになっています。
では、そんな不登校の子どもたちなんですけど、ふだんはどういったところで学習しているのかですが例えば、フリースクールに通ったり、それからホームスクーリングなどをしたりしています。
フリースクールというのは不登校の子どもたちを対象に学習の支援や体験活動などを行う場所。
NPOや民間団体などが、そうした場所を提供して、そこに通うということをしています。
一方で、ホームスクーリング初めて聞く方もいらっしゃるかもしれませんがその名のとおり、家庭を中心に学習をするということになるわけですね。
家で勉強したりあるいは、家に誰かに来てもらったりすると。
あるいは、ほかにホームスクーリングをしてる人とつながったりして一緒に遠足に行ったり何か体験したりということがあります。
これまでの国の不登校対策といえば基本的には子どもたちの学校復帰というのが大前提になっていたわけですね。
学校に来てもらおうと。
その方針が今、変わろうとしているんです。
今、超党派の議員連盟でこの不登校の現状に対して向き合おうという動きが出てきておりましてフリースクールやホームスクーリングなどを義務教育として認めていきましょうというような方向に法案が議論されています。
ホームスクーリングってこれ、家で義務教育ということは親が先生をするっていうことですか?
親がすることもありますし先ほど言ったように誰かに来てもらう。
あるいは通信教育などを含めて教育を行う、そういった計画を親が、保護者が自治体に提出をして自治体から許可が下りたりすればそれは義務教育として認められるという方向で議論がされています。
これなんですけど法案を作るにあたってそもそも不登校の児童たちに関するいろいろな調査が行われました。
フリースクールに対しても場所が足りてないんじゃないか。
それから経済的支援が必要なんじゃないかとかそういったことが調査で分かってきています。
まだまだ数が足りていない周知が足りていない教室を借りるにもお金がかかるので家庭だけではなくて支援団体も経済的な課題があるということが分かってきてるんですね。
一方で、ホームスクーリングに関してはまだまだ調査が行われていないんです。
なので、こういった支援が必要なんじゃないかと具体的な議論がまだまだ行えない中で法案の議論がスタートしているという状況なのでここに関してはしっかりとこれから調査を行っていく。
不登校といえばホームスクーリングは誰でも経験するものなんですね。
フリースクールに通う方でも学校に通いなおす方でも一時期は家庭で学習する時期というのがあるわけです。
その子たちにその家庭にどういった支援が必要なのかという調査を抜きに不登校支援というのは考えられないのでしっかりと調査が必要だという認識を皆さんに持ってほしいなと思います。
今後、この「チキノめ」でもこの問題、取り上げてホームスクーリングの独自調査を行い随時、ホームページに上げていきたいと思っています。
皆さんからの意見や感想もお待ちしております。
以上、「チキノめ」のコーナーでした。
さて、ここからは今月のメインテーマです。
「知ってほしい!境界性パーソナリティ障害」です。
当事者が周りの人たちから寄せられた声を紹介して思いや問題解決のヒントを探っていこうと思います。
ゲストをお迎えします。
咲セリさんです。
咲さんはWEBデザイナーとしてご活躍されながら境界性パーソナリティ障害の当事者として、講演ですとか執筆活動を行っていらっしゃるんですよね。
なので、今回境界性パーソナリティ障害がこうやって取り上げられると聞いて、すごくうれしく思っています。
私は、境界性パーソナリティ障害以外にも精神疾患を2つ抱えているんですけれども3年ぐらい前から境界性パーソナリティ障害の症状がどんどんよくなっていったんです。
そしたらほかの病気はまだ残っているのに生きることがすごく楽になったんです。
今回のこの番組で皆さん、回復の糸口とかをつかんでいただけたらうれしいなと思っています。
その境界性パーソナリティ障害ということばについてです。
英語ですとBorderlinePersonalityDisorder。
この頭文字をとってBPDと呼ばれています。
まずは、BPDの代表的な症状や行動について架空の一人の女性を例に見ていきます。
BPD・境界性パーソナリティ障害の症状は多種多様です。
このVTRでは番組に寄せられたカキコミと専門家からのアドバイスをもとに当事者の皆さんの悩みや起こしてしまいがちな行動について、まとめました。
お風呂、入ったら?当事者のAさんは母親のちょっとしたしぐさに反応して激高することがあります。
あ、怖いんだ。
うん。
家族に対してきついことばを浴びせたり攻撃的な行動を繰り返してしまいます。
怒りのあとは急に反省して落ち込むことが、しばしば。
大丈夫?仕事、行けそう?悪いことをしたと思っていても感情をコントロールすることができません。
恋人との関係もうまく築けません。
Aさんの交際相手は優しく誠実な男性。
楽しかったね。
じゃあ。
じゃあね。
ところが別れたあと自分が振り返ったときに振り向いてくれないと…。
急に不安な思いに駆られます。
無理に楽しいふりをしていたのではないか本当は自分が嫌いなのではないかと疑い始めるAさん。
不安な気持ちを解消するため大量のメールを送ります。
返信がきてもネガティブにしか捉えられず見捨てられたと思い込みます。
夜中に押しかけるなど非常識な行動をとってしまうのです。
職場でも常に不安を抱えています。
仕事ができるAさん。
上司からも信頼されているのですが…。
お疲れさまでした。
すごくいいプレゼンでした。
これからも、よろしくね。
ありがとうございます。
どんなに評価されても自分に自信が持てません。
過去の失敗を思い出しそのうち否定されるのではと怖くなることも。
自分は無価値な人間であると常に思っているAさん。
頻繁に自傷行為を繰り返します。
自分なんて死んだほうがいいという絶望を抱えながらもこんな自分に誰か気付いてほしいというサインを出しているのです。
今の映像で注意していただきたいことがあります。
BPDの症状というのは非常に多様です。
ですから、今の映像に当てはまる、当てはまらないということだけで判断・診断できる病気ではないんですね。
こういった行動を何度も繰り返してしまって本人も周りの人も生きづらさがあるということです。
セリさんはご自身の症状はいつ発症したんですか?
私の場合はたぶん15歳ぐらいのときだったと思います。
なので、この方たちと同じように感情が、一日のうちに何十回も入れ代わってしまって落ち込んだときは自傷行為をしてしまったり自殺未遂をしてしまったりあとは、夫に対して暴力を振るってしまったりしていましたね。
この中では、例えば本当に暴力を振るうということがありましたけどももっとそれ以上のこともあったってことなんですか?
暴力とかも最初は素手なんですけれどもやっぱり男性なのでそれを止められるじゃないですか。
そしたら、もっとやらなきゃいけないってなって植木鉢をひっくり返して振り回して、家じゅう砂だらけになったりとかネクタイで後ろから首をきゅって絞めたりとか。
チキさんどんどんエスカレートしてしまうというのは…。
難しいですよね。
本人も追い込まれますし。
また周囲の人もそれを例えば障害や症状だと認識するのではなくて人格や性格なんだと判断して評価をして距離をとる、そうすると当事者がますます孤立して追い詰められていく。
さらには家庭で居場所がなくなったりそれから、仕事を失ったりといろんなことがあるわけですね。
まずは、こうした番組を通じてどういったものなのかという知識を広く共有するところからやり始めないといけないなと思いますね。
実際、当事者の方から生きているのがつらいとかどうしていいか分からないというカキコミが多く届いています。
寄せられた声を集めてみました。
共通するようなことばなんですけども感情のコントロールができない見捨てられるのが怖いという声がありますし多くの病院を渡り歩いた。
私はまだ幼い子どもというような自問自答するようなことばもたくさん届いたんです。
こういった中で、まずご紹介する思い、こちらです。
完璧じゃないとつらい。
この完璧でなければというのはすごく分かるんですけどもむなしいという感情にもちょっと通じてるんですけれども私自身は自分のことを生きる価値がない人間だと思い込んでいたんですね。
自分は世界で一番いらない人間だからなんとか人並みになろうとして完璧主義になってしまうんですよね。
なので、仕事とかでたった一つの修正依頼がきたとしても、ただ一つこのことはできてるのにもう全部だめなんだ。
私はこの仕事には向いていないんだと落ち込みを深めてしまうような感じでした。
また、こんなカキコミも届いています。
境界性パーソナリティ障害の要因というのは実にさまざまでお医者さんに聞きますとこれと、はっきりとはいえないんですけども愛着、愛情の不足だったり不安定な状態が影響している場合が多いということです。
さまざまな要因があるということです。
私もやっぱり子どものころになかなか家で愛情を感じれなくてちょっと精神的な虐待のようなことが起こっていて居場所がなかったんですけれどもちょうど15歳のときに…それまでは学校が好きだったので、そこでなんとかバランスをとってたんですね。
ただ、15歳のときに学校でいじめを受けるようになりまして家にも、学校にも居場所がない世界中で私だけ居場所がないと思ったことをきっかけに発症したような気がします。
こんなツイートがきています。
「つらい」ということばを連ねてつらさを伝えたいというようなことばもたくさん、届いています。
それでは、どうやったら回復していくのかということでカキコミではこのBPDの経験者からさまざまなヒントが寄せられました。
このととさんは書くこと。
私も書くことですごく回復につながったんですけれどももう、10年以上前にこういうノートをつけていたんですね。
私は、感情を腹が立つときとか悲しいときとかに外に出すことができなくてためて、ためて爆発してしまっていたんです。
赤いペンで…。
これが人間なんですけれども自分自身をギザギザに傷つけて鎖でぐるぐるに縛りつけて紙の上なんですけどちょっとした自傷行為のようなことをしていました。
ただ、自傷といっても実際に自分を切るのではなくて紙の上で語りかけるようにしてこんなにつらかったんだねということに気付いていく感じでしたね。
そのあと、もう一冊ノートを作られましたよね。
これが5年ぐらい前なんですけれどもこのノートは逆に自分を客観的に見れるように実際に何があったかとかどう受け止めたかとかほかに考え方がなかったかとかそういうふうに書き込んできました。
字がきれいになってますね。
落ち着いて書けるようになりましたよね。
ノートによって役割が違うんですね。
吐き出すノートそれから整理するノート。
自分を褒めたりとかいろんなやり方があるってことなんですね。
ネガティブな気持ちを最初のノートで出すということで自分の気持ちになんか変化ありました?
すっきりしますね。
ためてしまうとどんどん、どんどん黒いものがたまっていってしまって一番、最悪な形で爆発してしまっていたので。
では、ここで専門家の方にお話を伺いたいと思います。
帝京大学医学部附属病院の精神科医・林直樹さんとお電話がつながっています。
林さん、こんばんは。
今、カキコミだったりセリさんのお話からですね回復のためのアイデアいくつかご紹介したんですが林さん、どうお聞きになりました。
大変よいアイデアだと思います。
書くことっていうのは一人反省会をしてるわけですね。
そういったことで、自分らしさを磨くことができるんじゃないかと思います。
感情を吐き出すことっていうのは感情との大事なつきあい方の一つですね。
セリさんの赤いペンのなぐり書きあれも、感情の発散の一つだと思うんですけど大事な成功例の一つだろうと思います。
それから、自分を褒めることこれは自己否定から入る人にはとてもいいやり方だと思いますね。
もう、悪い癖を修正することができると思います。
最初からなかなか客観的に自分を褒めていこうとかそういうのって難しいのではないかと思うのですが。
それは、自分の癖を認識して自己否定が強いそれでもって、自分が自分を苦しめているんだということを納得していただくっていうプロセスが必要ですね。
そのうえで、きっと有効な対応法になると思います。
書くという行為のほかにはどんなことが方法として有効なんですか?
先ほどのまっちゃさんのように完全主義の方でしたら例えば、息抜きをする練習をするとか手抜きをしても、それでいいんだと思う練習をするというそういったアイデアがあると思います。
人によって違うやり方もあるんですね。
今の話にもありましたように当事者本人がやれることがあると。
その一方で、周りの人はどう向き合っていけばいいのか。
家族の方からこんな声が届いています。
ほかにもこういった声たくさん届いたんですよね。
義理のおかあさんがBPDではないかとか妹の症状に悩んでいるという対応が難しいという声も多く寄せられました。
実は今、ご紹介しました夫さんのカキコミに対してコメントが10件以上も届いたんですね。
この第三者の存在セリさん、いかがですか?
私も夫と2人きりでやってたときはもう、どうしていいか分からないし2人で、どんどん傷つけあっていたんですね。
ただ、あるときから夫が私が病院に行けない時に代わりに行ってくれるようになりましてそこで病院の先生からどんなふうに接すればいいのかとか逆に夫の心のケアもしていただけるようになってそこからすごく抜け道が見えてきたように思います。
旦那さんもそこで自分の気持ちを吐き出すことができてたわけですね。
チキさん、そういうの大事ですよね。
個人だけを治療するという発想ではなくて家族とか周辺を含めて改善したり支えていくっていうことができるのであればぜひ、そういう方向でやってほしいですね。
孤立させないということが大事だと思います。
ここで、精神科医の林さんにも聞きたいと思います。
今のやり取りどのようにお聞きになりました。
基本的に回復をするメインエンジンは当事者本人なんですよね。
ですから、周囲のご家族なんかは治ろうとする動きを後押しする、いってみればお手伝いぐらいのそういう位置づけがいいと思います。
うまく協力がいきますと非常に重要な役割を果たすと。
ただ、家族の人も一生懸命なだけに息詰まると苦しみも深いと。
ひどいありさまになってしまうということはしばしばありますね。
そういったときは少し休ませてもらうとか距離をとるみたいなことが必要だと思います。
それから、わとかさんがお話ししてくださいましたように第三者を使うっていうことは非常に有効なやり方です。
そういう役割を果たしたいと思っておりますけども地域には保健所とか児童相談所とかそれから、例えばわとかさんご指摘の訪問看護とかカウンセリングの人とか認知療法からとかさまざまな人が利用できますのでぜひ、助けを求めていただきたいと思います。
それと、周りの人がどのように当事者の方に声がけをしたほうがいいのか。
その声がけの、こういうことばがふさわしいというようなものってありますか?
なんというかちょっと距離を置いていても気持ちはそばにいるんだそういう存在がやはり、本人の勇気をふり起こすことになるだろうと。
回復への勇気ですね。
セリさん、今のことばどういうふうにお聞きになりました?
私も、夫とはちょうどいい距離感を保っていけたと思うんですね。
私があまりひどくなってしまったときも夫までそうなってしまうと共倒れだったのでちょっとここまではできるけれどもここからはできないよっていうときに、だけどあなたを愛していないってことじゃないんだからねってしっかり言ってくれたんですね。
それですごく安心して距離を置けました。
きょうは生放送です。
境界性パーソナリティ障害についてお伝えしてきました。
たくさんツイートが届いています。
一人での解決は難しいと。
そのために医療機関につながりたいんだけどなかなかつながらなくてというってこともあるかと思いますがそうした環境の整備も必要かと思います。
セリさん、当事者として一番伝えたいことありますか?
私もこうやって笑って座っていますけれども3年前まで死にたい、死にたいって思いながら生きてたんですね。
2015/09/24(木) 20:00〜20:30
NHKEテレ1大阪
ハートネットTV WEB連動チエノバ「知って欲しい!境界性パーソナリティ障害」[字]

WEB連動企画「チエノバ」。9月は様々な依存症の原因にもなっていると言われる「境界性パーソナリティ障害」について。当事者や家族、医師などの声を集め、共に考える。

詳細情報
番組内容
「見捨てられるのが不安で、必死にしがみつき相手を困らせる」「自殺企図や自傷行為を繰り返す」「めまぐるしく気分が変動する」「怒りや感情のブレーキが利かない」。このような感情・行動・対人関係の不安定さから、社会生活に著しい苦痛や支障を引き起こしてしまうのが「境界性パーソナリティ障害」だ。番組では、当事者の悩みや家族の悩み、苦しみを和らげる方法について、さまざまな声を集める。そして解決のヒントを探る。
出演者
【ゲスト】荻上チキ,【出演】WEBデザイナー…咲セリ,【司会】山田賢治,久保純子

ジャンル :
福祉 – 障害者
情報/ワイドショー – 健康・医療

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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