ムガル帝国に代わってイギリス国王が皇帝を兼ねる…中田敦彦です。
田中日奈子です。
今日は世界の人口について考えていこうと思います。
さあ日奈ちゃん突然ですが世界の人口は増えてると思いますか?それとも減ってると思いますか?え〜っと…今結構少子高齢化とよくいわれてるんで減ってるんじゃないかなって思いますけど。
なるほど。
減ってるんじゃないかという予想。
実は増えてます。
えっ増えてるんですか?はい現在およそ72億人。
え〜そんなにいるんですか!?1950年には25億人だったのでこの60年間で3倍近くになってるんです。
そんなに増えてるんですか。
めちゃくちゃ増えてますよね。
じゃあこの地図を見てみて下さい。
これは世界の国や地域の人口増加率を示してます。
赤が3.0%以上の増加。
以下オレンジ黄色緑。
減るのは青になってますね。
アフリカの方とかすごい真っ赤ですね。
真っ赤ですね。
アフリカ大陸は人口がぐんぐん増えてますね。
ヨーロッパは緑が多いです。
で日本やロシアは青系。
欧米の先進国のほとんどが増加率1.7%未満。
逆に日本やロシアは減少しちゃってるんですね。
あんまり増えるのも困ると思うんですけどでも減ったら減ったでその国も困っちゃうんじゃ…?そうですよね。
世界の国々はいろんな人口の問題があるみたいですよ。
どんな問題があるのかちょっと見てみましょう。
現在…2050年には95億人に達すると予測されています。
人口増加の続く発展途上国では…地球上の空間と資源は無限ではありません。
水や食料エネルギーの供給には限りがあるため増加する人間を無制限に養う事はできないのです。
一方先進国はどうでしょうか?こちらの問題は…医療が進歩し人々が長寿になると高齢化が進みます。
また結婚しなかったり子供が1人以下の家庭が増える事で少子化も起こります。
両者が同時に進行するのが少子高齢化です。
世界で最も少子高齢化が進んでいる国それは日本です。
世界の高齢化率を見てみると日本は1980年代から急上昇し2000年を過ぎるとほかの先進国を追い抜いてしまいます。
この高齢化のスピードは世界に例がなくそのため高齢社会への対応が遅れているといわれています。
認知症の増加。
頻発する孤独死。
子育てにもつきまとう経済的不安。
先進国の人口問題はこんな悪循環に陥っているのです。
日本が世界一の少子高齢化の国っていうのでちょっとびっくりしました。
不安になっちゃうよね。
先生に聞いてみましょう。
内藤正典先生です。
よろしくお願い致します。
(内藤)よろしくお願いします。
ある国の人口が増加するあるいは先ほど出てましたが少子高齢化する。
それによって何が起きるかっていうと1つの国の人口の構成というか年齢別の構成のバランスが変わっちゃうんですよ。
これを見ながら説明してみます。
ここからは3つの国の人口ピラミッドを例に考えます。
ガーナみたいな所は乳児死亡率も高いのでお子さんを産む数も多い。
だけど医療制度なんかの事があって上に行くに従ってきれいに減っていく。
中間的にはアメリカのような形で実は日本も20〜30年前はこっちに近かった訳です。
もっと言うと50〜60年前はこっちに近かった。
そうだったんだ。
つまり…死亡率が下がる事によって変わっていくんですね。
日本を見てみましょう。
この真ん中の所と下一番年齢層の低い所とを見ると低い方が痩せてしまっている。
という事はあと10年たつとどうなります?真ん中の一番働き盛りの人たちが減ってしまうんですね。
で実は日本が抱えている問題少子高齢化って言いましたがもう一つの面というのは…つまりものが作れなくなってくる訳ですからそうすると製造業はどうしても海外に移転しなければならなくなる。
そういった問題にどんな対策が取られてきたのか海外の少子高齢化への取り組みを見てみましょう。
1950年代から高齢化の始まったドイツ。
第2次世界大戦で多くの働き手を失ったのがその原因でした。
「このままでは復興ができなくなってしまう」。
そこでドイツはある画期的な方法で労働力を確保する事に成功したのです。
それはほかの国からの移民を受け入れる事でした。
中でもトルコからは大勢の労働者がやって来ました。
鉱山や自動車工場で働く彼らは経済の奇跡と呼ばれたドイツの復興を支えたのです。
トルコ人のほとんどはイスラム教徒でした。
移民の募集が停止されたあとも彼らは母国から家族や親戚を呼び寄せました。
今では人口の5%400万人がイスラム教徒の移民で占められています。
しかし1980年代オイルショックから不況に陥ったドイツでは急激に失業率が高まりました。
「トルコ人の方が恵まれているのではないか」。
次第にそんな声が聞かれるようになっていきます。
更に決定的な事件が起こります。
イスラム過激派のテロリストの犯行と思われました。
こうしてヨーロッパのさまざまな国でイスラム教徒に対する迫害が広まっていきました。
ドイツも例外ではありませんでした。
少子高齢化対策としてなくてはならない移民政策。
しかし異なる文化を持つ者をどうやって受け入れるかさまざまな議論が交わされています。
助け合わなきゃいけないけど文化がまず違いますからね。
先生違う文化を持つ者同士は難しい事も多いんですかね?ドイツの人たちって夜お休みの前の日なんかでも割と静かに過ごすんです家では。
ところがトルコの人ってお友達を集めて楽しく過ごそうとするんですね。
そうするとうるさいって言われるでしょ。
最初の摩擦ってそういう事から始まるの。
細かいように見えますけどね。
そう。
その価値観のもとには…けれども景気が悪くなっちゃうと自分たちが失業しちゃうでしょ。
だけど外国から来た移民労働者が働いてたりすると「何でだ?」って怒りますよね。
好景気の時は仲良くしてられるんですけどね。
これ残念ながら今アメリカでもヨーロッパ諸国でも大きな問題になっている事なんです。
続いてこちらの地図。
矢印は近年の外国人の主な国際移動を表し国の色分けは平均賃金が高い方から赤オレンジ黄色緑となっています。
アメリカヨーロッパ日本そしてオーストラリア。
こういう所は矢印の目的地行き先の方になってますよね。
実は日本はまだヨーロッパの国などと違って…しかしさっきの人口のグラフで勉強しましたよね。
日本もこれからどうなっていきます?減ってきてますね。
働き手の所がなくなっちゃう。
そうなってくるとどうしても外から働く人を受け入れなければなりません。
ですから最近は…日本の受け入れ事情ここで見てみましょう。
1980年代以降日本の入国管理政策は徐々に修正され外国人労働者を積極的に受け入れるようになりました。
今では…こちらは牛タン料理のチェーン店。
積極的に外国人アルバイトを採用しており中には…彼らに接客などの指導を行う研修室もあります。
「こちらのお席でよろしいでしょうか?」。
「です」「ます」をつけると相手に敬意を表す…。
お気付きですか?指導するのも中国人スタッフ。
キャリアを積んで正社員に抜てきされたスタッフが日本のマナーを伝えているのです。
失礼致します。
土鍋のシチューをご注文のお客様。
はい。
失礼致します。
土鍋熱いのでご注意下さい。
ベトナムには日本の建設会社の手である施設が造られていました。
実はこれ日本にやって来る実習生のための国際職業訓練校。
ベテラン社員が日本語や仕事の手順を一から教えています。
ホイさんどうしますか?トリプルGが…更にこんな職業にも。
日本にやって来た外国人の皆さんの活躍を見てみようという事で神奈川県の横須賀市にある特別養護老人ホームにやって来ました。
(田中)
2005年にオープンしたこちらの老人ホーム。
現在100名のお年寄りが入居されているんですがその介護スタッフの中に外国からやって来た方がいらっしゃるそうなんです。
一体どこにいるのかな?
いました!インドネシアからやって来たウィダヤティさんです。
看護師の勉強をして来日。
3年間の研修を経て今年見事に介護福祉士の国家試験に合格しました
ウィダ。
現在このユニットで10人のお年寄りの世話をしています
(田中)アハハひど〜い。
ウィダさん優しいですか?ねっ?うん。
短期間でこんなに仲良し。
おばあちゃんの気持ちが分かるんですね。
さてもうすぐお昼御飯。
手際よく食事を準備していますがよく見るとそうめんだったりおかゆだったりとそれぞれメニューが違いますね。
入居者の皆さんの…
更におかずを細かく切ってあげるこの気配り。
料理を出したらそれで終わりじゃありません。
自分で食べられない方のお世話もします
はい頂きます。
どうでしょう?おいしい。
よかったね〜。
(ウィダヤティ)また後でね。
(職員)行ってらっしゃい。
(ウィダヤティ)ちょっと下に下ります。
ウィダヤティさん突然部屋を出ていきました。
そして小部屋に入ると体を覆う衣装を身に着けて…
なんとお祈りを始めました。
イスラム教徒のウィダヤティさん一日5回聖地メッカに向かってお祈りをしなくちゃならないんです
(田中)大変ですねそこの部分は。
やりくりするのが。
(田中)そうですね。
幼い頃からお年寄りと触れ合う機会が多かったというウィダヤティさん
相変わらず美人だね。
ハハハ!ハハハハ!どこのお嬢様?
いつでも明るい仕事ぶりが印象的。
でもロケにお邪魔したこの時はイスラムの断食の期間でした。
この断食の1か月間は日中水を飲む事も許されないそうです
周りの方って心配になったりしませんか?そうですね。
最初はすごく心配だったんですけれども。
日本人では全然考えられない事ですけど彼女にとっては子供の頃からずっと続けているという事で今はもうこちらも慣れてきました。
言葉も生活習慣も宗教も違う日本で働くウィダヤティさん。
今ではこの職場になくてはならないスタッフの一人です
(利用者)すみません。
(ウィダヤティ)いいえ。
すみませんね。
今どんな夢を持ってそしていつまで日本で働きたいと考えているんでしょうか
(田中)あ〜そうなんですね。
(田中)帰りたくないんですか。
帰りたくないですまだ。
日本人同士じゃないとうまくいかない部分とかあるんじゃないかなと思ってたんですけどそんな事なかったんですよね。
あっそんな事なかった?それはすばらしい事ですね。
ただ先生日本の業界からは批判の声も出ているらしいですね。
はいそれはですね…それからもう一つ大きな問題は今のところ日本政府はこういうふうに日本に来て働いてくれる人の家族をどうするか考えてないんです。
家族の問題があるんですね。
日本では単身赴任っていうじゃないですか。
大抵お父さんが1人でどこかへ働きに行く。
あれ多くの国では人権に反していると考えます。
もし外国の方たちを受け入れるのであれば…処遇や環境の面まだまだやる事が多そうですね。
人口について考えてきましたけれども。
人口ってただの人間の数だと思ってたけれどもいろんな事が見えてきますね。
本当に今の授業だけで世界を旅した気分になりました。
人口ってその国の未来を映す鏡みたいですよね。
だからそこを見通していく事とそれから…この2つを本当に世界を眺めながらじゃあ日本でどういうふうにしていくのかという事を考えるきっかけにしてほしいと思います。
人口をきっかけに未来と国を考えようと。
先生今日はありがとうございました。
こちらこそありがとうございました。
では次回も世界中のあんな事…。
こんな事…。
(2人)いっぱい知っちゃおう!人口ビラミッドは世界の国の過去や未来を映し出しています。
発展途上国は富士山型経済が発達すると次第に釣り鐘型更につぼ型に変化していきます。
少子高齢化が進む先進国。
ドイツの対策は移民の受け入れ。
それによって労働力の減少を補填する事ができます。
ただし異なる文化を持つ人々との共生は理解し合えるよう努力する事が大切です。
日本は積極的に外国人労働者を受け入れるようになりつつあります。
賃金や家族の問題など彼らの働く環境にも配慮が必要です。
2015/09/25(金) 14:40〜15:00
NHKEテレ1大阪
NHK高校講座 地理「世界の人口問題を考える」[字]
人・モノ・情報が地球規模で行き交う現代。国や地域を越え、多様な社会や文化を理解し合うことが不可欠。“世界の今”を読み解く「地理」は、未来を切り開く力となる。
詳細情報
番組内容
ひとつの国の中でも人口の集中する地域と人口が減る地域がある。世界でも、人口の多い地域と少ない地域がある。そして、人口というのは年を追うごとに、増える国、減る国とさまざまだ。今回は、人口をとおして社会や地域の課題を考えてみよう! 「世界の人口問題を考える」 (1)人口ピラミッドで見る世界の比較 (2)少子高齢化の先進国 (3)豊かな生活を求めて世界を超える人びと
出演者
【講師】同志社大学大学院教授…内藤正典,【出演】中田敦彦,田中日奈子,【語り】安元洋貴
ジャンル :
趣味/教育 – 中学生・高校生
バラエティ – その他
趣味/教育 – 大学生・受験
映像 : 480i(525i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
OriginalNetworkID:32721(0x7FD1)
TransportStreamID:32721(0x7FD1)
ServiceID:2056(0x0808)
EventID:33290(0x820A)