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【ビジネス解読】
中国に“籠絡”されたボーイングとエアバス 技術流出覚悟の現地生産は吉か凶か?
こうした関係を象徴するかのように、エアバスは6月30日、330型機を最大75機中国に販売する契約を結んだと発表した。ウォールストリート・ジャーナルは、17年から後継機種が登場するため、現行機の需要が低迷しているなどとして、「この契約はエアバスにとって重要だ」と分析。エアバスの民間航空機部門のファブリス・ブレジ最高経営責任者(CEO)は「この注文は当社の330ファミリーへの新たな信任票となる」と述べた。
ボーイングの誤算
ボーイングとエアバスが、相次いで中国の“軍門”に下った背景には、中国の航空機市場の成長を取り込みたい狙いがある。ボーイングによると、中国市場は今後20年間で計6330機、約9500億ドル(約114兆1800億円)を見込んでいる。ボーイングとしては、中国の意向を無視できなくなったというわけだ。
ただ、ボーイングにとって誤算となる事情も出てきた。年内の初飛行というスケジュールの延期が懸念されていた開発中のC919について、9月17日付の中国人民網は「年末に試験飛行、2017年に発売」と報じた。
中国のジェット機の自主開発は、高速鉄道、有人宇宙飛行と並び威信をかける一大国家プロジェクト。C919の完成が順調に進んだ場合、競合する737型機を抱えるボーイングにとって逆風となりかねない。
それでなくても中国は、日本メーカーからまねた新幹線や自動車の先端技術を「独自開発だ」と主張し、世界のマーケットで競合してきた“パクリ大国”。航空機でも同じ運命をたどる可能性もあり、先行きが注目される。(S)