おしまい。
終わっちゃいましたね。
ですね。
まれが世界一になる続編っていうのを見てみたいですね。
いいですね。
でも次のあさがきたも、もう、すでにちょっと見たっていう人が、局内にはいて、ものすごくおもしろいと評判になっていますので、どうぞ皆さん、また見てください。
よろしくお願いします。
さあ、1週間のニュースを振り返りますが、その前にまずは、日本時間のきょう未明に記者会見が行われた、米中首脳会談についてお伝えします。
焦点のサイバーセキュリティーについて、サイバー攻撃で企業の情報を盗む行為をしないことで、合意しました。
一方、中国が南シナ海で続けている埋め立ての問題については、双方の立場は平行線のままでした。
オバマ大統領と習近平主席は25日、ホワイトハウスで首脳会談を行い、およそ2時間話し合いました。
会談後の共同記者会見で、焦点のサイバーセキュリティーについて、オバマ大統領は。
そして両国が、サイバー犯罪の対策について、新たに閣僚級による対話の枠組みを作ることで一致し、年末までに、最初の会合を開催することを明らかにしました。
これについて、習主席は、次のように述べて、協力姿勢をアピールしました。
一方、東シナ海や南シナ海での中国の海洋進出について、オバマ大統領は、航行と飛行の自由があることを強調し、埋め立てや軍事化に重大な懸念を持っていることを伝えたと述べると同時に、軍用機の偶発的な衝突を回避するために、具体的な行動規範を盛り込んだ合意文書を取り交わしたことを明らかにしました。
これに対し、習主席は、みずからの領土主権と、合法で正当な海洋権益を守る権利があると、これまでの主張を繰り返し、双方の立場は平行線のままでした。
続いてはこちらです。
ラグビーのワールドカップ。
日本がですね、優勝候補の一角、南アフリカとの一戦で逆転勝利を収めました。
しかも、試合終了直前の逆転トライ。
そのトライっていうのが、ちょっとよく分からないんですけど。
ちょっと難しいですよね。
本当に簡単にラグビーのルールというのを、説明します。
ちょっと出ますでしょうか。
15人対15人で戦うんですね。
ボールは前にパスしてはいけません。
後ろの選手にパスをしながら走っていって、敵の陣地、ゴールラインのこちら側。
ゴールラインを越える?
ボールを置いて、トライをするっていうのが、一番目指すところ。
それがトライ?
そのほかにも。
それで得点になるんですね。
得点になります。
それ以外にもボールを蹴って、ポールとポールの間に通す、こういった得点方法などもあります。
40分・40分の前半、後半を経て、最終的に得点が多かったチームが勝ち。
すみません、ものすごく短く説明すると、ラグビーはこういうことになります。
基礎知識を踏まえたところで、いきましょうか。
こちらをちょっと見てください。
この方、ご存じでしょうか。
J・K・ローリングさんといえば、ハリー・ポッターの作者。
そうなんです。
このローリングさんが、ツイッターで、このような小説は書けないと、今回の戦いについて、投稿し。
日本戦を見てらした?
劇的な勝利を祝福しました。
続くスコットランド戦では、惜しくも敗れてしまったんですが、日本代表の戦い、世界に注目されています。
胸に桜のエンブレムをつけた日本代表。
初戦の相手、南アフリカは、ワールドカップ優勝2回、世界ランキング3位の強豪です。
さあ、日本の最初の戦いです。
開始8分、最初のチャンスはペナルティーゴール。
キッカーは15番の五郎丸。
蹴る前には、毎回、この動作。
集中力を高め、プレッシャーに打ち勝つことができるといいます。
決まりました。
日本先制。
前半30分。
今度は力で押し込みます。
どうだ?インゴール、入った、トライ!
これがトライですね。
百戦錬磨のデュプレアが入ってきています。
ハイボール、よく取った。
強豪相手に一歩も引きません。
粘る日本に対して、南アフリカ。
突き放しにかかります。
日本、一時は7点差をつけられました。
その後、差を縮めた日本。
3点を追って、試合は終盤に。
ゴール前で南アフリカが反則。
ここでペナルティーゴールを決めれば、同点になります。
しかし、あくまでトライでの逆転を目指しました。
トライのほうが点が高い?
はい。
広いスペースにボールを運ぶ。
マフィ、外2人、数的には余った。
いけー!いけ!いったー!トラーイ!
これで逆転。
日本代表、ワールドカップの大舞台で、24年ぶりの勝利をもぎ取りました。
24年ぶり。
海外メディアも日本の勝利を大きく伝えました。
今回の快挙。
将来、日本代表を目指す高校生たちにも、刺激を与えたようです。
こんなところで?
訪れたのは、横浜市にある桐蔭学園高校のラグビー部。
代表メンバーの一人、松島幸太朗選手を輩出した名門です。
先輩たちの快挙に部員たちは。
藤原秀之さんです。
大会中も松島選手と連絡を取り続けていて、南アフリカ戦のあと、こんなメッセージが送られてきたといいます。
松島選手に、藤原さんはこう返信しました。
第2戦の相手も、強豪、スコットランドです。
試合の立ち上がり、リードを許しますが、前半15分。
そのままいく、そのままいく。
流れ込んできて、トライ!
日本、いったんは逆転に成功します。
ですが、洪半。
当たっちゃだめなんですか?
なかなか得点できません。
さらに、これ、見ててください。
隙をつかれて。
あー、ボール取られちゃった。
インターセプト。
立て続けにトライを許してしまいます。
連勝はなりませんでした。
若いラガーマンたちも、期待を寄せています。
プレッシャーのかかる大舞台で快挙を成し遂げた日本代表なんですが、その陰には、彼らを精神面から支えてきたメンタルコーチという方の存在がありました。
試合後のスタジアム。
選手たちを笑顔で見つめるこちらの女性。
この女性が?
日本代表のメンタルコーチを務めている、荒木香織さんです。
こんにちは。
こんにちは。
お世話になります。
南アフリカ戦のあと、育児や仕事のため、帰国した荒木さんのもとを訪ねました。
荒木さんは、常に選手たちを観察。
平常心で大舞台に臨めるよう、アドバイスを繰り返してきました。
しかし、初戦の南アフリカ戦の前は、かつてないほどのプレッシャーを感じていた選手もいたといいます。
あの五郎丸選手も、南アフリカ戦の前、緊張や興奮で気持ちが高ぶり過ぎてしまうかもしれないと、周囲に漏らしていたそうです。
これよく見ると、泣いています。
スコットランドには敗れましたが、荒木さんは、次の試合に向けて、不安は感じていないといいます。
五郎丸選手も、スコットランド戦のあと、ツイッターでこう気持ちを切り替えていました。
後ろを見る暇があるくらいなら、われわれは前を向く。
という、次の試合は?
改めて日本が入っている、グループBの成績を見ていきますが、日本は1勝1敗で。
3位につけている?
3位につけています。
日本代表が目標としている決勝トーナメント進出というのは、上位2チームに入ることが条件です。
残すはサモア戦とアメリカ戦なんですが、日本としては、なんとか2連勝して、決勝トーナメント進出を決めたいところなんですね。
スコットランドは、中3日でしたけれども、次の試合は、少し間隔が空きます。
中9日。
サモア戦は来月の3日ですし。
来月3日?
ちょうど来週の土曜日になりますね。
アメリカ戦は12日に行われる予定です。
注目ですね。
さあ次です。
次は関東・東北豪雨。
茨城県常総市で、鬼怒川の堤防が決壊してから、2週間がたちました。
おととい、仮設堤防の工事が完了しました。
復旧に向けた取り組みが進められているんですが、被災した方々の不安は減らず、むしろ日に日に増しているんです。
大型連休中、多くのボランティアが訪れた常総市。
5日間で延べ1万4000人が活動したとのことです。
おとといには、休校が続いていた小中学校も、授業を再開。
常総市はきのう、およそ3万4000人に出していた避難指示や勧告を、すべて解除しました。
しかし、暮らしの再建に向けて、多くの課題が解消されていません。
その一つが、住まい。
きのう時点でも、900人以上が避難所生活を余儀なくされています。
常総市の隣、つくばみらい市で避難生活を送っている斉藤正さんです。
いつになったら、以前のような暮らしに戻れるのか、不安を募らせています。
ここから本当に、世の中変わっちゃいました。
40年住み慣れた自宅は、床上1メートル以上、水につかりました。
ここ、ほら、もう、こんな状態なんですよ、今は。
浮き上がった床。
閉まらなくなったドア。
修理には、800万円から1000万円がかかるといいます。
300万円の保険金が入る見込みですが、到底足りません。
そして今、住民たちを悩ませているのが、大量の廃棄物です。
水につかった家財道具などが山積みに。
こちらの公園、16日に撮影したときは、まだ地面が見えていました。
しかし今週、公園は廃棄物で埋め尽くされていました。
廃棄物専用の仮置き場が設けられていますが、場所が遠いことや、廃棄物を運び込む車の渋滞が激しいことなどから、町なかに捨てられるケースが後を絶たないのです。
公園の近くに住む人は、ほこりや臭いで、マスクが欠かせません。
あれだけのごみは片づけるのも大変でしょうね。
そうなんですよね。
常総市はほかの自治体からの応援も得て、指定外の場所に捨てられた廃棄物の撤去を進めているんですけれども、人手に限りがあるなどして、すべて撤去するのは時間がかかりそうだということです。
今月は振り返りますと、この関東・東北豪雨以外にも、さまざまな災害がありました。
ちょっとこちらをご覧ください。
地震も今月でしたね。
最大震度5弱の地震に、火山の噴火。
阿蘇。
さらに津波注意報が出て、太平洋の沿岸に津波が押し寄せるなど、自然災害と隣り合わせに生きていることを、痛感させられる日々が続いています。
そうした中、東京都が行っている、ある取り組みが、話題となっています。
それがこちらです。
来ました、来ました。
東京防災と書かれた、この冊子。
住んでいる地域の防災マップ、こういったものなどとともに、今月から都内のすべての世帯に無料で配布されています。
読みました?
実は大切なものだなと思ったので、枕元に置いて、もうじき読もうと思っています。
これから読もうと思っているということですが、これ、どういうものかといいますと、冊子は、300ページ余りあります。
これまでの防災用のパンフレットなどと比べますと、踏み込んだ内容が書かれているという印象です。
どういう内容か、こちらで見ていきます。
開きますと、目に飛び込んでくるのは、今やろう、ということばです。
これ、30年以内に70%の確率で首都直下地震が発生すると予測される今、正しい知識を得て、一人一人が備えることを訴えています。
例えば、自宅にいるときに地震が起きたら、どんなことが起きるのか。
さらに、コンビニエンスストアですとか、地下街などにいたら、何に注意が必要なのか。
地震だけでなく、集中豪雨ですとか噴火、テロ、武力攻撃など、幅広い分野についてイラストや文章で、このように分かりやすく解説されています。
そうした事態で生き抜くための智恵、工夫もあります。
私がへえと思ったのは、これなんですけれども。
乾電池を?
大きさが合わない乾電池を、大きさを合わせる。
そんなことできるんですか?
はい。
方法というのが書かれています。
こういう知恵、工夫もあります。
こうした知識を身に着けたうえで、避難所ですとか、避難経路を家族で決めて書き込むページというのもあります。
これ、内容はインターネット上でも公開されていまして、東京以外の地域の皆さんも、見ることができるんです。
この企画に込められたねらいはなんなのか。
東京都の担当者に話を聞いてきました。
訪れたのは、冊子の製作を担当した防災管理課の船川勝義課長です。
船川さんは、東京防災をこんなふうに使ってほしいと、話していました。
船川勝義さんですね。
きっかけは、舛添知事が、ある本を見かけたことでした。
スイスでは、すべての家庭に配られたといいます。
食糧の備蓄やもしものときの行動について書かれています。
大災害が起きたとき、行政だけでは対応に限界がある。
2年がかりで製作したのが、この東京防災です。
都内では、早速、この冊子を教育に活用しています。
この日は、舛添知事みずから授業に加わり、冊子の使い方を子どもたちに説明しました。
この冊子、印刷と配送にかかる費用だけでも、およそ20億4000万円に上ります。
今の船川勝義課長なんですが、ただね、防災力を高めてくださいと理念を語るだけではなかなか行動してもらえない。
ですから、具体的な方法を紹介することで、行動に移してほしいと話されていました。
この取り組みというのは、ほかの地域からも注目されていまして、問い合わせが相次いでいるそうです。
東京都はこの反響の大きさを受けて、冊子を有料でほかの地域の人にも販売することなども、検討しているということでした。
このあと、深読みのコーナーでは、命を守る取り組みの落とし穴について考えます。
ぜひ、こちらもご覧ください。
次ですが、6年ぶりの9月の5連休が重なったこの1週間、小野さん、どう過ごしました?
私は秩父でバーベキューしました。
気持ちよかったですよ。
バーベキュー?
気持ちよかったですよ。
気持ちよかった?
おいしかった?
気持ちよかったのもおいしかった。
気持ちよかったのもよかった。
というのも、天気に恵まれて、観光地では大勢の人でにぎわったということです。
横浜市の水族館では、セイウチが芸術の秋にちなんだパフォーマンスを披露。
こちらは金沢市。
日本三名園の一つ、兼六園は、北陸新幹線の効果もあって、平均の入場者数が、5月の大型連休を上回る日もありました。
連休の最終日には、こんな声も。
今回の連休の期間中、各交通機関は、春の大型連休に匹敵する混雑が続きました。
全国の高速道路では、30キロ以上の激しい渋滞が24回、10キロ以上の渋滞は253回発生しました。
フォルクスワーゲンの信用が揺らいでいます。
ドイツの大手自動車メーカー、フォルクスワーゲンが、排ガス規制を逃れるため、アメリカで販売したディーゼル車およそ50万台に、不正なソフトウエアを搭載していたことが、明らかになりました。
このソフトウエアは、速度やエンジンの回転数などから、試験が行われていることを検知します。
その間だけ、窒素酸化物などを浄化する機能を、フルに作動させていたということです。
しかし、その状態では、走行性能が低下するため、実際に道路を走るときは、浄化機能を低くする設定がなされていました。
国を代表する企業が起こした不正に、ドイツ国民は。
さらに不正は、販売される新車のおよそ半分をディーゼル車が占めるとされる、ヨーロッパでも行われていたことが明らかになりました。
EU・ヨーロッパ連合は、各国に対し、ほかにも不正がなかったか、来月初めに報告するよう求めています。
この不正なソフトウエアを搭載した車両は、世界でおよそ1100万台に上るとされ、ブラジルやインド、オーストラリアなども調査に乗り出すなど、影響は世界中に広がっています。
聖地への巡礼が、大惨事となりました。
イスラム教の聖地、メッカの郊外で、ハッジと呼ばれる大巡礼のために訪れていた巡礼者が、折り重なるように倒れました。
サウジアラビアの当局によりますと、これまでに717人が死亡し、805人がけがをしたということです。
今月22日から始まったハッジは、イスラム教徒の信仰で、一生に一度は行うべきだとされ、世界中からおよそ200万人がメッカを訪れていました。
巡礼者が折り重なるように倒れる事故は、過去にたびたび起きていて、1990年には1400人以上、2006年には300人以上が死亡しました。
続いて、深読みのコーナー。
今年各地で相次いでいる自然災害。
その時、あなたは本当に逃げられますか?
こちらでは救助作業が行われています。
今、また1人2階から住民が救助されます。
ヘリコプターだけで1000人以上。
消防や自衛隊などによって実に4000人を超える住民が救助された茨城・常総市の豪雨災害。
この救出劇から2週間あまり。
九死に一生を得た人の証言から意外なことが分かってきました。
今回の豪雨では特別警報や避難指示などさまざまな情報が事前に出ていたにもかかわらず多くの人が逃げられなかったのです。
災害から命を守るために私たちは、どう判断し行動したらいいのか。
きょうは、避難、逃げることにとことんこだわって深読みします。
きょうもメール、ツイートでのご参加、お待ちしております。
今回の災害で、ヘリで救助された40代男性の声をご紹介します。
この声を聞いて、あっ、私もこうなるような気がするとお思いになった、あなた、そして自分の所だけは大丈夫と思っていらっしゃるあなた、まずはこちらをご覧ください。
中山アナウンサーのプレゼンです。
おはようございます。
きのう避難指示が解除されたわけなんですけれども、今も多くの方が避難所にいらっしゃる常総市なんですが、その常総市の例を見るとですね、私たちの命を守るためのヒントが見えてまいりました。
常総市は、どんなことが起きていたのかから、鬼怒川が流れておりまして、あの日の朝にかけて、それまで数日間、栃木県で記録的な大雨、降り続いていたんです。
あの決壊の日の朝なんですが、6時過ぎに、越水、これ、川の水があふれてくることをいいます。
その後、昼過ぎに決壊が起きました。
一気にですね、これは堤防が崩れて、川の水がその流れのまんま、一気に市内に流れ込んできました。
濁流が流れ込んできたというわけです。
これは決壊というのは、土手の部分が崩れてしまって、そのまんま、その水位のまま、がーっと来ることをいうんです。
越水は、ちゃぷちゃぷって越えてくるような?
ちゃぷちゃぷでもないが、上から越えてくるということをいうんです。
こうして大きな被害が出たわけなんですけれども、この被害に至るまでには、実は事前に、さまざまな情報が出ていました。
こちら、振り返りますと、まず前日の夕方には大雨警報、気象庁から発表されていた。
その当日の、もう朝、深夜っていうか、未明。
午前0時15分。
鬼怒川の水、もうあふれるぐらいまできています。
いつ氾濫してもおかしくないですよという、国土交通省からも発表があった。
情報はテレビやラジオ、インターネットなどで皆さんに伝えられていったわけです。
また常総市は、事前に2009年に作ったこのハザードマップを、住民に配っていました。
これ、100年に一度の大雨が降ったときに、どれぐらい浸水するかという予測。
色のついた所、囲われた部分が、浸水しますというものを作ってたと。
このハザードマップに基づいて、1時過ぎに避難所を開設。
その後、2時過ぎからは避難指示を発表してきました。
で、避難の指示があって、さらにその後、気象庁がついにこれを発表します。
大雨特別警報。
これはあれですね。
数十年に一度の災害が起きるおそれがあります。
直ちに命を守る行動を取ってくださいっていう。
アナウンサーも、全力で、これは呼びかけるっていうもの。
2年前にできましたけれども、非常にこれ出るのが少ない、数少ない。
でもこれ、これが出たら、本当に緊急事態です。
もう、いつ大きな災害が起きてもおかしくないですよっていうもの。
それが、朝の7時45分にもう、出てるわけですよね。
出てたんです。
テレビやラジオやインターネットでも、当然、知られてたわけですよね。
放送されていたんですよ。
こうした情報というのは、さらには防災行政無線とか、広報車などでも町を回って伝えられていって、川に近づかないでください。
避難指示対象の方は、避難所に行ってくださいっていうことを呼びかけていた。
つまりはいろんな情報で、住民の皆さんに、逃げろ!ということは呼びかけられていたんです。
そうして、決壊が起きて。
被害からいきますと、こんなような浸水範囲となった。
ハザードマップと、ほぼ一致。
上のほう、ちょっと。
ハザードマップにない所が。
でもほぼ一致ですね。
そうだったんですよ。
この青い部分が浸水。
予想されてたってことですよね。
そう。
で、これって、範囲としては南北10キロ以上にわたる、広大な範囲になったんですけども、ここで、取り残された人たちを救うために、各地からこれがやって来ました。
VTRにもありましたけれども、自衛隊などのヘリコプターですね。
これ、数にすると40機以上やって来て、もう救出作戦。
ボートなども使って、3000人態勢で救助を行っていったんです。
情報が出てた。
その後、連携もうまくいって、救出された人たち、無事、4000人以上っていうことになっていたんです、が、がです。
改めて考えてみるとですよ。
この救出された人たちって、どんな人たちかといえば、逃げ遅れた人たちなんですね。
逃げられなかった人たちなわけでございます。
この逃げられなかった人の中には、避難指示が聞こえなかったとか、出てなかったっていうことを言ってらっしゃる方がいて、出てなかった方っていうのは、この一部、決壊地域の周辺の人たちであったんです。
でも、実は、この救出された人たち、逃げ遅れた人たちの多くが、決壊した所よりも、南側、南側の住宅地に住む人たちであった。
半数以上が。
その人たちには避難指示が出てた。
出てた?
そう。
逃げなかった人たち。
逃げなかった?
その逃げなかった人たち、なんで逃げなかった?
逃げない?
今回、避難所に行って、まさにこちらの住民の人たちに、お話を伺ってきました。
2週間がたって、いろんな思いを教えてくれたんです。
すると、もう皆さんがですね、こういうとき持つかもしれないという、あるいろんな深い問題が見えてまいりました。
こんな思いです。
今回も大丈夫でしょうと、これ、お年寄りの方だったんですね。
鬼怒川って、ずっと氾濫してないし、氾濫したって、60年ぐらい前にあったけど、あのときって、まだ堤防もしっかりしてなかったころだからね。
だから、今回も大丈夫だろうと思ったっていうんです。
ほかにもこんな。
ここは大丈夫。
氾濫するっていったって、雨、ずっと強かったのは上流、はるか向こうの栃木県。
これ、家から、私の所、100キロ以上離れています。
違う県だし、まあ、ここは大丈夫と思ったと。
さらには。
決壊現場から4キロほど南の方。
私は大丈夫。
だって、堤防からすごく遠いし。
4キロですもんね。
離れてるから。
まさかここまではっていうことですよね。
大丈夫と。
さらにこれ。
まだ大丈夫。
避難指示は出てるけど、まあ、水が来てから逃げればいいかな。
だって、まだ全然水来てないもん。
まだ大丈夫って思ったということなんです。
こうした心に潜む思いのことを、今回、われわれはこのように、表現させていただこうかと。
これ、幻の土のう。
土のうって、家の前に置くと、浸水被害から免れるというものですが、まさにですね、私は被害に遭わない。
私は大丈夫だろうということで、これが守ってくれるっていう、この大丈夫っていう思い。
思いですから。
実際に土のうを積んだわけではないのに?
これは幻の土のうとして、積み上がっていったと。
その心に潜む思いっていうのを、このように災害心理学の世界では言われております。
正常性バイアス。
バイアスってなんですか?
バイアスっていうのは。
偏見っていうことばですね。
偏見をカタカナにすると、こうなったという。
このバイアス、正常性バイアスの中で、私は大丈夫、私は大丈夫、まだ大丈夫ってことで、土のうが積み上がったんですが、決壊が起きて、そうすると、もう、全くこの土のうは守ってくれることなく、落ちていった。
まさに幻であったということになるんです。
避難されている被災者の声です。
1階が水につかって、土を抱えるようにして、朝まで過ごすことになってしまった。
命の危険を感じました。
力を使い果たして、死ぬと思った。
いざというときに逃げないっていうこころ、まさにこの幻の土のう、皆さんも持つかもしれない中で、さあ、どのようにしたら、皆さん、逃げますか?
確かにね。
うちの近所にそういう警報、大雨特別警報が出ても、私は大丈夫、ここは大丈夫、今回は大丈夫、まだ大丈夫って、絶対そう思っちゃいますよね。
実際、うちの実家が本当、堤防があるんですけど、本当に水が、ぎりぎりぐらいまで来たんですよ。
そのときにも誰もやっぱり逃げなかったですもんね。
これ、なんで、正常性バイアスでしたっけ。
大丈夫って思うような心が、私たちには備わってるんですかね。
なんで、私たち生き物として、逃げなきゃいけないときは、逃げなきゃいけないのはずなのに、どうして逆の行動を取ってしまうような。
この正常性バイアスってことばなんですが、これは人間の本能なんですね。
平穏でいたい。
危ないって思いたくない。
だって、本能は生きるためにあるものじゃないですか?
危ないんだったら逃げろっていうのが、本能じゃないんですか。
なんですけれども、危ない、危険だっていうと、次のことを考えなきゃいけないじゃないですか。
どこに逃げようか、どうやって逃げようか。
でも、大丈夫だって思うと、何もしなくていいんですよ。
いやいやいやいや。
でも、そんなの、ないほうがいいです。
私たち、どちらかというと、あしたもあさっても、1か月後も、1年後も、普通に生きて、生活してると思ってるから、人生を送れるんですよね。
あした死ぬ、1時間後に死ぬなんて思ってないから、だから、急になんか、危険なことが襲ってきても、それで自分が死んじゃうんだろうとか、自分が大けがをしちゃうだろうっていうふうに、ぱっと分からないんです。
だから、そういうふうな場面になっても、逃げたり、自分の身を守る行動をしないで、被害に遭ってしまうっていうのが、この正常性バイアスなんですね。
なんかぴんと来ないですね。
危なかったら逃げろが、どうしても、備わってるものだと思っているので。
大抵の生き物は危ないと思ったら逃げるんじゃないんですか?
だから、危ないっていう感覚が、自分のものでないから、ひと事になっちゃってるわけ。
だから、結局ね、全部、自己中なんだよね。
えっ?
だって、自分は大丈夫だって、全部、自分中心の世界で考えてるから、堤防が切れるっていうことは、ほかの世界でしょ。
だから家の前の堤防っていうのは、自分とは関係ないっていう形になっちゃうわけね。
だから昔は心配だったら、見に行ったんですよ。
それもやらないって。
結局、自分以外のことは考えたくないって、しかも、不幸が起こるというようなことは、ウェルカムじゃないんで、避けるっていうか。
特に今回は、まさか決壊しないだろうとか、まさかここまで、こんな4キロも5キロも、10キロも離れた所も浸水していますからね。
まさか来ないだろうと。
市役所まで、市役所の人も、市役所が浸水するなんてって、そういうふうに思っていたわけです。
うちの近所は、下町なので、隅田川ですとか、荒川がすぐ近くに流れているんですよ。
あすこは絶対に決壊しないって思ってるんですけれども、そう思っちゃいけないっていうことなんですね。
荒川なんて、1930年に人間が作った川だから、しかも、荒れるっていう名前付いてるでしょ。
鬼怒川だってそうですよ。
鬼が怒るって、あんな嫌な名前が付いた川っていうのは、危ないわけ。
荒川は荒れる川なんですか?
そうなんですよ。
荒谷川とかね。
天竜川だってそうですよ。
竜が落ちてくるように、土砂が出てくるから天竜川なんでね。
そういう古い地名って、そういうメッセージを、私たちに教えてくれてるわけ。
つまり、あの川の名前が、メッセージなんですか。
メッセージですよ。
鬼が起こるぐらいの川なんだよ。
はあ。
今回、その4000人の方、逃げ遅れて、ほとんどの人が助かりました、救助されましたけど、これ、ヘリコプターが飛べたからなんですよね。
決壊もお昼に起きてたから、こうであっただけで、これが夜中だったり、雨が降って激しく風も吹いてるときだったら、ヘリコプター飛んでないわけです。
飛べなかった。
なるほど、なるほど。
もっと被害が大きかったかもしれないってことは、この災害、もっと教訓にしなきゃいけないことですね。
しかも堤防の高さがね、4メートルだからね、それがやっぱりラッキーだったんですよ。
普通、あれだけの大きな川だともっと堤防高いんですよ。
そうすると、一気にやって来たら、全部流される。
そうか、高ければ高いほど。
そう、だからご自分の家の近くの堤防がね、どれぐらいの高さかというのは、とてもいい指標なんですよ。
あれが4メートルだったから、しかもこれ、あふれてから切れるまで、時間かかったでしょう。
もっと高かったら、あふれたとたんに、ばさっといくわけ。
だから、そういうね、ラッキーがね、重なってるっていうことは、考えなきゃいけない。
なるほど、なるほど。
だって真夜中に切れてたら、ヘリコプターだって飛べないじゃないですか。
本当ですよね。
普通は真夜中に切れるんですよ。
だって雨は真夜中、一番激しいんで。
だから逃げ遅れると、命落とすわけ。
今回、無風で雨がやんで、日中でしょ。
だからヘリコプターが40機近く行けたけれども、真夜中で雨降ってたら、助けられない。
まして風ふいてたら、だめって。
だから非常にね、ラッキーさがね、犠牲者が少ないってことにつながってるってことは。
これだけの大きなことになってても、まだラッキーということばは、ちょっとおかしいですけれども。
だからここで学ばないと、次、もっと大きな被害につながるって。
例えば、60年前にも、そういう被害があったって言ってたわけじゃないですか。
なんか、だったらもっと危機管理みたいなものを持つのかなと思うんですけど。
だから年寄りは29年前の小貝川の氾濫がどうだったっていう経験があるから、それと比較してやってるわけ。
そう、小貝川っていう川が、近くで氾濫してたんです、60年前に。
それが並行して流れてて、決壊したんですよ。
そのことはみんな、覚えてるので、あれと一緒だって。
その辺り、川が決壊したことがあった。
そう、そのときの、光景がやっぱり焼きついてる。
逆にそれが焼きついてるにもかかわらず、逃げなかった人もいる。
やっぱり災害って、一生のうちに1度か2度、自分が経験するかしないかぐらいですよね。
だから、いざ災害が起こって、川の水がどっとやって来る間では、危ないと思わないっていうか、まあ大丈夫だろうっていうのが、普通の心理ですよね。
怖いですね。
自分が怖い、自分の中の自分が怖いですね。
昔よりも技術とか、そういうものが発達していて、それが起こらないような防波堤にしてあったりとか、そういう技術が発達してるから、安心だと思ってる部分も、昔は技術がそんななかったからね、不幸にも災害が起こったけれども、今は大丈夫だろうって、安心感がどっかにありますよ。
だから堤防が強くなって、災害の発生する頻度が少なくなったんですよ、昔よりも。
ある程度、守られてるから、いざ起こると、大規模になるけれども、ふだんはあんまり経験しないっていう、そういうふうな状態になってしまったんですよね。
だから昔だったら、例えば水防団がね、活躍してね、土のうを積んだり、いろんなことをやってた。
だけど、どんどん堤防が頑丈になってきて、しかも大雨が降るなんて予測が正確になってきたら、みんなそれで安心しちゃって、もう起こらないって。
そういう、起こらないって思うほうが安心じゃない。
それがずっと繰り返してきているっていうことですよね。
よく気象情報とか、予報でも、今までに経験したことのないような大雨とか、今までなかったようなっていうようなふりがありますよね。
アナウンサーも、やってるんですよ。
大雨特別警報の読み方は、緊迫感を持って読みましょうと。
冷静なトーンで読むと、みんな逃げようとしないからというので、今すぐ、身を守る行動を取って下さい!っていうふうに、語気を強く言うっていう練習を、いつも誰か、アナウンス室の片隅でやってるんです、今でも。
でも、なかなか、伝わってないんだなということも、今回、ちょっと。
でも、今回のアナウンスは、ものすごく、語気が強かったですよね。
そうですよね。
ただね、大雨警報ってね、どういう状態か、みんな知らないんだよね。
大雨警報が出ても、具体的にどう自分にどう関わるか、ぴんと来ないんだよなというツイート来てますね。
出てくる?
まさか自分の所にはという思いがあるようだという声も来てまして、ちょっとここで1つご紹介したいことがあります。
正常性バイアスというものの克服のしかた。
そう、実は。
本当にあるのかっていう。
先ほどお見せした幻の土のうを、取り払って、成果を出している取り組みがあったので、ご紹介いたします。
題しまして、脱正常性バイアス。
ご存じの方いらっしゃるかもしれませんけども、東日本大震災のときに、ほとんどの小中学生が、みずからの力で逃げて助かったという釜石。
釜石の奇跡。
奇跡なんて言われ方してますが、実は奇跡じゃないんです、もう言ってしまえば、しっかりとした準備があって、そこの裏付けがあったからこそできたことといえるんです。
その指導していたのが、こちらの逃げるを専門にしている群馬大学の片田教授でいらっしゃいます。
この方は、指導する中で、子どもたちが正常性バイアスを持たない、なかなか持ちづらい、まだ経験もないしということで、逃げることをとにかく徹底的に教え込んだ。
すると、子どもたちはいざというときに、正常性バイアスが働かなかった。
で、逃げてったと。
子どもが逃げたことで、釜石では、大人も、その必死に逃げる子どもたちを見て、逃げてたってことで、成功例といわれている。
この取り組みを見た、ある地域の方が、釜石を参考に、こんな取り組みをしていました。
メロディーに危機感を感じないんですけど。
そうなんですよ。
逆にエンターテインメントで、こういったことを、子どもたちに伝えているという活動なんです。
とにかくね、楽しんで、逃げることを、子どもたちにまず伝える。
これをしている方っていうのが、こちら。
川島さんという方です。
鎌倉の方なんですか?
そう、鎌倉の方なんです。
鎌倉に住んで、湘南地区に住んでいらっしゃると。
湘南地区の、海から300メートルほどの所に住んでいらっしゃったんですけど、きっかけがあった、この曲を作る。
東日本大震災のときに、自分の地区に、大津波警報が出たと。
でも、自分の子どもも、また周りの大人も全然逃げなかった。
これはまずいなっていうことで、まずは子どもたちにとにかく逃げることを、率先してもらおう。
釜石市の例を参考にということで、この曲を。
これを子どもたちが歌えるようにする?
そう。
歌えるようにするということで、イベントなどでも披露していて、さらに体操も作って、踊ってもらう。
1000人以上がもう子どもたちが踊った。
その子どもたちに、さらにこんなものも作っている。
サイダー、その名もボウ・サイダー。
これをね。
これをどうするんですか?
買ってもらって、家に持って帰ってもらうんですね。
一家に一本、ボウ・サイダーって。
冷蔵庫に入れてもらう。
すると、冷蔵庫を開けるたびに、子どもも大人も、みんな防災について、日常、日頃から考えられるようになると。
このエンターテインメント、まず子どもの正常性バイアスを作らないっていうことにかけて、大人たちにも影響を広げようとしている取り組み。
子どもって、ないんですか?正常性バイアスは。
子ども、賢いですからね。
ちょっとした疑似体験やると、それ、本当だと思っちゃうわけ。
だから。
疑似体験?避難訓練みたいなことですか?
そう、それやると、それが普通になってしまう。
大人っていろんな経験を通して見ちゃうので、バイアスかかっちゃうので。
経験が邪魔をする?
普通、大人のまねを子どもがするじゃないですか。
ですから、大人が逃げると、子どもが逃げると思ってたんですけど、子どもたちが逃げる姿を見てて、大人も逃げるっていうのは、なんか逆のような。
やっぱり、学校で習ってることは、正しいと、みんな思ってるから。
だから避難勧告出たら逃げなきゃいけないって、学校で教えてるんですよ。
子どもたちはそうするべきだっていうのに、親はそんなものは当たらないから、逃げなくていいって、そうなっちゃうんですよ。
確かに学校で、地震があったら、机の下に入りなさいって。
だから、子どもたちが入ってるのに、親はこれぐらいだったら大丈夫よって、大人は思ってしまうっていうことですよね。
だから、それが本当に正しいと思って、そのまんま信じてやってましたもんね。
だからね、防災教育で、これから20年ぐらいたったら、効果出てくる。
なぜかって、その子どもたちが大人になったときに、それがうそだなんて言わずに動くようになるから。
本当ですか?私も子どものころは、なんかあったら、すぐに高台に避難するような純粋さが、もしも仮にあったとしても、この年になったら、失っているような気がするんですけど。
だんだん純粋でなくなっているということです。
だからそれが大人になるってことは、効力にも限度があるってことじゃないんですか?
だから、それをね、やっぱり訓練で、やっぱり自分のものにしなきゃいけない。
何もやらず、頭の中で考えてるだけだったら、薄れてくるんで、訓練する。
だから、例えば。
薄れてますね。
特にこの片田先生なんですけども、その釜石で、子どもに教えて、次に実は大人に、地域の大人に教えることになっていた。
その前に東日本大震災起きてしまいましたけど、ただ、この子どもで、まず教えるっていうのは、家庭にその話題が出るってことでは、すごいいいことなんですよね。
なるほど。
地震が起きたら津波が来るかもしれないとか。
洪水が来たら、自分はどうしなきゃいけないっていうのが、親も、お子さんに、お父さん、こういうときはどうするの?って、日常的にですね、防災の話題が家庭で出るっていうのはいいこと。
確かにね。
ツイートでは、避難とかして、何事もなかったときに、大げさだよと言われるのが、正直怖いのかもという声。
そして、逃げない人が多すぎるとか、逃げるべきとか言ってる人いるけど、自分自身が体験したら逃げられる自信あるの?ということもありますし、母の友人は、ニュースが、川が決壊しましたと言うばかりで、川のどこら辺が決壊したのか分からなかったそうです。
そういう情報を流すのも大切だと思いますという声も来ています。
さっきから話題になっている、この正常性バイアスは、子どもにはない。
だから、危機感を持ちやすいだとすると、私たち大人は、もう一回生まれ変わって、やり直してこないとだめっていうような?
いや、生まれ変わらなくても大丈夫。
実はね、大人の人たちの正常性バイアス取っ払おうという取り組みをちょっと。
大人の正常性バイアスを取っ払うこともできる。
…片田さんという方が、釜石の成功例を参考にして、今手がけているのがこちらなんです。
三条市。
例えば新潟県の豪雨災害対応のガイドブックっていうのを作って、中を見るとですね、これ、左上に、逃げどきマップって書いてあるんですけど、これを作って全市民に、配布をしたんですよ。
これ、どういったものか。
逃げどきマップ、こういったものなんです。
いわば、進化したハザードマップ。
ハザードマップ、進化してて、何が、これがポイント。
危険を具体的にイメージできるようにしている。
一般的なハザードマップは、例えばこの深さって、こうやって表示されているんですね。
メートルで表示されております。
どうでしょう?小椋さんなんか、2メートルから2メートルから5メートルって、どんな想像されますか?どのぐらいか?
えー、2階よりも、ちょっと高い所ぐらいですかね。
ちょっと色々考えちゃいますよね。
どれぐらいなのかなって考えちゃいますけど、それをまさにこう具体的に、1階の床下、床上、2階、床上以上っていうことで、あなたの家はこんぐらい浸水しますよってことを明示した。
だからそうすると、危険を具体的にイメージすることができるようになる。
そうなりますよね。
さらにですね、赤い四角が、実は地図上にあって、この部分は決壊したら、ものすごい勢いで水が来る所です。
その辺りに木造の建築物があったらば、それはもう壊れる、流されるっていう危険があります。
危険を具体的にイメージすることができるようにしているんです。
すると、大丈夫、大丈夫って大人たちが思う、その思い、正常性バイアスを、取っ払うことができる、危険をイメージすることでってことで、まずこれを出した。
確かにメートル表示よりは、そちらのほうが、具体的で分かりやすいとは思うんですけど、まだ大丈夫かなって、ちょっと、思っちゃう。
思っちゃいますね。
それをいただいても。
これを言いかえたぐらいで、自分が変われる気がしないんです。
そう。
だからね、ハザードマップ作りに住民が参加しなきゃいけない。
役所が作って、配ってはだめなわけ。
作るときにみんなが自分の近くの川がどうだとかっていう情報を共有しながら、作らないから、ひと事になってしまう。
できたらどうやって使うかということを、堤寧に説明しない。
配って終わりっていうことになってるんで、そうじゃなくて、わがごとにしなくちゃいけないんで。
そのわがことにするっていう点で、片田さんはこの危険をイメージしたうえで、さらにこんなことしてます。
行動もイメージすることで、なんとかわがごとにしようと。
行動もイメージって?
例えば、こちらに家ございますけれども、この辺りの家って、例えばいろんな家があるんですね。
木造だったり、鉄筋コンクリート造りだったりと。
具体的にこうしてくださいってことを、この逃げどきマップの中に提示してあるんです。
木造2階建てのこの辺りに住んでいる方は、いざ、水が来ちゃったら、ここまで来ると。
2階の避難だと危ない。
だから、もう水来る前にとにかく逃げるようにしてください。
鉄筋コンクリート3階建ての方、2階に住んでても、あなたは建物は大丈夫。
3階に避難してください。
3階に避難しても、これもしてくださいね。
とにかく具体的、だってこれ、よく見れば、1階床上以上が浸水24時間続きます。
避難、長引くかもしれない。
だから、常日ごろから、備蓄するようにしてくださいってことで、具体的に何をするのかっていう行動もイメージしてもらうことで、わがことに感じてもらうようにしている。
新潟県の三条市は、市の職員がいろんな家を回ったり、老人会でこの使い方を紹介して、こうなってるんです。
2004年、覚えてらっしゃいますかね、これ、配られる前なんですけど、新潟豪雨災害、大きな犠牲が出たんですが、その後、逃げどきマップを配ったあと、11年の豪雨災害のときは、雨の量、このときの2倍だったんですが、犠牲をかなり減らすことができたといわれてるんです。
助かった市民の声、ご紹介します。
40代男性、川の氾濫は怖かったが、マップを確認して、2階にいれば大丈夫と判断できた。
60代男性、自分の住む家の避難方法が明記されていたので、待機することができた。
こうした逃げどきマップが今、全国5つの市で、今、作られていて。
効果があったっていうことですね?
そうなんです。
どんどん広まりは見せている。
今、こうした逃げどきマップというのは、愛知県の岡崎市だとか、あと同じ新潟県なんかにも、いくつかあるんですけども、過去に災害があった所ばかりなんです。
なるほど、なるほど。
その経験を生かして作っているんですけれども、災害がなかった所は作ってないんですね。
なるほど。
どうぞ、どうぞ。
大雨特別警報とか、河川の情報とかいろいろ出るじゃないですか。
けど、出ても、やっぱり私たち、分からないんですよね。
そこに、途中に、やっぱり危機感を感じないと、逃げないわけですよね。
東日本大震災のときに、浸水した地域60万人住んでいて、97%の人がやっぱり逃げてるんですよ。
危機感を感じれば、情報なかったとしても、揺れてますし、危機感があれば逃げるんですよね。
けど、河川の氾濫だと、あふれてくるまで、私たち、分からないわけですから、この危機感を感じることがすごく難しいんですよね。
だから、情報だけで逃がすには、ちゃんとこの情報の意味っていうのを、例えば逃げどきマップなり、地元の町内会で勉強するなり、いろんな機会を持って勉強しないと、こういうふうに危機感を感じるっていうふうにならない。
なので、ここの部分をなんとかしていかないといけないってことですね。
私、1人暮らしでやっぱり横のつながりがあまりないんですよね。
だから、そういう情報とか、あんまり共有することができないんですよ。
だから、例えばそういうことがあって、危機感があっても、1人だと、逃げるっていうのが、選択肢にない。
だから今回の常総市の場合でもね、隣近所で相談したとかっていう事例が全然ないんですよ。
自分と自分の家族だけで判断してるっていう。
ですから、やっぱりね、隣近所で、助け合うっていう共助が必要で、寝たきりのおばあちゃんがいるおうちだったら、周りの人たちが気を遣って、どうしようっていうね。
日ごろから、そういうことをやってないと、やっぱり日頃からやってないことをいざというとき、できないんですよ。
だからやっぱり、そういう助け合いっていう、そういう精神が今、どんどん廃れてしまってるって、これがやっぱり、非常に大きな問題になってるんですよね。
うちは下町で、結構、お隣近所とのつきあいもあるんですけども、それでもその危機感っていうことに関しては、大丈夫だろって気持ちのほうが勝ってしまって。
大丈夫だろうを共有してしまう。
そうなんです。
だから悪い。
常総市では、避難をしている人は結構、お互いに連絡をし合って、危ないんじゃないの。
川の水、これぐらいになってるよっていうのを聞いて、逃げてる人っていうのは、結構多いんですよね。
だから、周りの人から情報を得るっていうのは、大事ですし、今だったらインターネットを使えば、携帯電話を使えば、河川の情報っていうのは出てますし、特別警報っていうのも出てますから、それがどういう意味かって、調べれば絶対分かるんですよね。
だから、自分がひょっとして危ないんじゃないだろうかって思ったら、その時点で、ちゃんと調べて、情報を見るっていうのが、大雨だったら、停電してないかぎりは、そういうの調べられるので、そういったことがたぶん、大事なんだろうと思います。
特に今回はですね、私、決壊した地点の、三坂町地区って所に、実際に行って、決壊して、その前に逃げた人たちのお話聞いたんですけれども、決壊のする前から、川の水が、こんなに来てる、来てるって言うんで、住民の人たちが声をかけ合って、もう逃げよう、もう逃げようって言って、一緒に逃げた。
だから被害少なかったんです。
声を掛け合うってことですね。
特にね、高齢者の方はこの情報時代にね、情報を活用しきれてないでしょ。
だって、高齢者がスマホで情報を取りに行くとかね、インターネット使うなんてやらないじゃない。
そうすると昔の経験だけがまずベースにあって、だから、それをね、周りの若い人たちが助けてあげなきゃいけないわけ。
だから、高齢世帯というのは、とても危ないっていうのは、ずっと言われてるんですけれどもね。
それ、どうするかっていったときには、やっぱりその地域の力って、地域力っていうか、そういう力をね、これから期待しないと、行政がそこまでね、手を回すことは不可能ですよ。
ですから、やっぱり住民どうしがね、助け合うっていうのは、昔はそうだったんですよ。
そうですよね。
でも今はね、非常に便利になって、安全になってきたから、えそんなことは大切じゃないと、みんな思ってるっていうね、その文化をやっぱり変えていかなきゃ逃げないと思うんですよね。
あと、情報の伝え方についても、いくつか来ています。
決壊前の常総市の避難勧告や避難指示の言い方を、もっと強い口調で言うべき。
テレビで逃げろ、死ぬぞっていう命令口調で、はっきり言ってくれれば、さすがに逃げそうです。
アナウンサーが強い口調で、避難指示呼びかけるときに、がばっと立ち上がったら、結構、視覚的にインパクトあるのでは?というご提案まで。
それはどうなの?実際、がばっと立ち上がるっていうのは。
できると思いますね。
ちょっと、がばって。
逃げてください!って。
ってやればね。
情報の情っていう感じはね、情けでしょ。
だからね、伝えるほうはね、一人でも犠牲になったら、困るんだっていう、そういう、情をことばに入れなきゃいけない。
でも今回は、どこの局も、含めて、かなり。
やってました。
それも来てますね。
情報の情けも入れて、伝えていましたよね。
避難勧告や決壊のタイミングは結構、緊迫感あって放送してたよ。
ただ、どう避難してほしいとか放送しないといけないよね。
危機感よりも、情報の分かりやすさが大事。
情報が分かりやすければ、危機感も生まれない。
確かに分かりやすさという点では、それはちょっと少なかったような感じはします。
私、何々市、全域に避難指示が出ていますとか、何十万世帯に避難勧告とかっていうのを見ると、逃げないような気がするんです。
自分でも。
あんなに大勢一度に被害に遭うはずはさすがにないだろうと思ってしまう、この正常性バイアスですかね、働いてしまうような気がするんですけど。
今回だって、100万人以上の避難勧告、避難指示出てますし、やっぱりそんなにたくさん逃げなきゃいけないって言ったら、避難しなくてもいいかなって、やっぱり思っちゃいがちですよね。
そういうふうな問題もありますし。
それはどうしたらいいですか?もっと細かく言ったほうがいいんですかね。
もちろん、情報の出し方としては、細かく出していったほうがいいですし、本当に危ない所だけ出してったほうがいいと思います。
受け止める側も、じゃあ、それだけ市内全域に避難勧告を出しているんだったら、ひょっとして、私の所も危ないんじゃないかなっていうふうに、まず思うことが大事だと思いますけどね。
避難勧告とか避難指示、今回はですね、常総市は地区別に出していったんです。
常総市全域みたいなことじゃなくて、ちゃんとなんとか地区、なんとか地区って出していったんですけれども、ある地区を出してなかったり、ある地区は避難指示で、ある地区は避難勧告で、1段下げてしまったりということで、避難しなかったっていう面もあるんです。
だから制度だけじゃないんですよね、やっぱり。
特に市町村っていうのはね、河川を分かってる人はいないんですよ。
河川課っていうのは、全部、都道府県にしかない。
ですから、そこのところをね、やっぱりあんまり細かくすると、今度は外れるっていう問題が出てきて、オオカミ少年のようになっちゃうんで。
なるほど。
危ない、危ないって言っても。
常総市の場合は、どうしなければいけなかったっていうかね、エリアメールで、一斉に出さなきゃいけなかったんです。
これ、出してないんですよ、やっぱり。
全体に危ないということを言わないと、ピンポイントで正確であればいいけど、出さなきゃいけない所が外れたとかね、出さなかったとか、そういうことが後から分かってきたんですよ。
だから制度じゃなくて、危険をどう伝えるかって、ですから、情報というのは、英語で、インフォメーションとインテリジェンスっていうのがあるんですよね。
日本はそれ、混同しちゃってるわけ。
インテリジェンスっていうのは、そこに知恵が入っているって。
逃げなきゃこうなるよって。
そういう情報も合わせて出さないと、危険水位突破してから逃げてくれじゃね、逃げないって、どうなってるか、近くの橋がどうなってるのかって、そういう身近な話題を入れてね、自分の経験とか体験とつなげていかないと、人は逃げてくれないって。
確かに分かりますね。
逃げてくださいよりも、逃げないとこうなりますとか、ということも付け加えるということですね。
だから、情報をもっと丁寧に、人の心を動かすように出さないと、人は逃げないって。
そこのところをね、やっぱりね、行政の人たち分かってないんで、だからマニュアルどおりにやっちゃうと。
それはわっと言うこともあるけどもね。
もっと助かってほしいという情を、そこに入れていくっていうか、具体的なことを入れていくというか、ここの努力がまだ欠けている。
もう一つあるのは、避難勧告が、必ずしも先に出るとはかぎらない。
去年の広島の土砂災害、おととしの伊豆大島の土砂災害。
いずれも避難勧告出てないんです。
なんでですか?
出し遅れた。
先に起きてしまった。
あー。
先に起きてしまった。
だから必ずしも行政、市役所や町役場とかが、避難指示、逃げてくださいって言ってくれるともかぎらないんです。
じゃあ、どのタイミングを信じていいかが分からないですね。
だから少しずつ危機感を持っていくということだと思うんですね。
例えば、まず大雨特別警報出てるじゃないですか、それは茨城、栃木の単位で、たぶんここらへんが危ないよっていうことなんですよ。
鬼怒川で氾濫危険水位とか、氾濫が発生した、発災情報って言ってるんですけど、もう鬼怒川が危ないって、ピンポイントに絞られてるんですよ。
だったら鬼怒川の人たちはこれで危ないって思わなきゃいけないわけですし、だんだんと絞られてくるんですよね。
けど、それが限界があって、やっぱりうまくいかないと気もありますから、だから、あらかじめ早めに逃げるってことが必要なんです。
そんなに情報の精度が上がったからって、そんなに、万能じゃないので、やっぱり自分たちが、あらかじめ逃げておくっていうのが必要なんです。
心理的なところもあるけど、避難して何事もなくてよかったねっていう、社会風潮を広めないとっていう声が来てますね。
被災地で取材してると、震災経験した人たちって、もう、毎回逃げるんですよね、とにかく。
避難所行って、よかったって帰ってくるんです。
被害なくてよかったなって。
損したっていう人は?
いない、本当いない。
だからやっぱり、空振りの三振を怖がってはいけない。
空振りの三振というのは、被害出ないんで、見逃しの三振やっちゃうと、被害が出るので。
これはね、野球じゃないんで、3割なんて無理なんで、30回に1回とか、50回に1回、当たればいいんでね、命助かるんだから、そこのところの価値観を変えないと、ほかの情報と違って、このいわゆる避難勧告とか避難指示っていうのは、命につながることなんで、そこのところの考え方を、私たち変えないと、他の情報と混ざっちゃって、同じような価値になっちゃってる。
川に監視カメラ付けて、ライブ配信でもすればとか、テレビのニュースでハザードマップを画面に表示しながら、避難を呼びかけたらいいと思いますと、いろいろアイデア頂いております。
テレビを見てても、危ないですよとか、川の推移がって言っても、これも、さっきのひと事のような、大丈夫じゃないのっていうのが働いてしまうような気がするんですけどもね。
どこまでいっても、正常性バイアスとの戦いかもしれませんが、いますぐできることっていうのは、なんか一つでもありますでしょうか?これから始めなさいっていうようなこと。
まず自分たちの、自分の住んでいる地域の危険を知るっていうことだと思います。
火山、水害、地震、いろんな危険性ってありますけれども、すべての地域にあらゆる危険があるわけではないので、例えば川の近くに住んでて、低い土地に住んでいるんだったら、やっぱり一番気をつけなきゃいけないのは水害ですし、木造住宅がたくさんある所だったら、地震のときの火災に気をつけるべきですし、山の近くに住んでいるんだったら、火山かどうかなっていうふうに知ることが大事ですし、まずは自分の近くの。
それは考えないですよね、普通ね。
そうでしょ。
うちも何もないので、地震はありますけど、経験はしましたけど、川があふれるって経験はないだろうって。
川から何キロ離れてたっけ?うちって、まず考えてみたことないですね。
安全と思ってる所も、昔に帰ればね、結構やられてるわけ。
2015/09/26(土) 08:15〜09:30
NHK総合1・神戸
週刊 ニュース深読み「あいつぐ自然災害 あなたは逃げられますか?」[字]
関東・東北豪雨から2週間。茨城県常総市では4000人以上が自衛隊などによって救助され、九死に一生を得た。今回なぜ多くの人が逃げられなかったのか、深読みする。
詳細情報
番組内容
堤防決壊、町が濁流に襲われるなど大きな被害をもたらした関東・東北豪雨から2週間。茨城県常総市では4000人以上の人が自衛隊や消防によって救助され、九死に一生を得た。専門家によると、これはいくつか好条件があったからだと指摘されている。今回、事前に様々な情報があったにも関わらず、なぜ多くの人が逃げなかったのか、逃げられなかったのか? 自然災害があいつぐ中、命を守るための“逃げる”を徹底的に深読みする。
出演者
【ゲスト】林家正蔵,小椋久美子,【解説】関西大学教授…河田恵昭,東京大学大学院特任准教授…関谷直也,NHK解説委員…二宮徹,【キャスター】小野文惠,高井正智,【気象キャスター】南利幸ほか
ジャンル :
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