言いたいですね。
≫しかも、川島さん1回、出回ると消えないんです。
(機内アナウンス)「皆さまお待たせいたしました。
前方のドアからお降りください。
なおお降りの際はお忘れ物をなさいませんようごゆっくりお支度ください」
(機内アナウンス)
(乗務員)お客さま。
お客さま。
(春香)は…は…。
はっくしょん!痛っ。
あ痛っ!あ痛…。
ああー!あれ?乗りすごした?あっ!ベルト…。
(令子)ちょっと。
何でわたしが半年で終わる穴埋め番組のディレクターやんなきゃいけないわけ!?
(石場)だからまだ半年で終わると決まったわけじゃないからさ。
前の番組の特集だってまだ取材の途中なのよ!
(石場)だからさそれはさスパンで考えるよりもディスタンスで考えたほうが…。
(望美)「はい飛鳥です」
(石場)あっ。
この子。
飛鳥望美。
今度うちの番組でお天気やるから。
(健介)こいつ俺の幼なじみなんです。
ええー?ホント?この子もカニちゃんと同じで天然?天然小学校?俺は天然じゃありませんよ。
いやぁ。
アッハハハ!
(石場)あ痛っ!自分の意思以外で動くと痛ぇ!
(柴田)ほぼ全員があなたを呼び戻すことに反対でした。
あなたの仕事は強引だし型破りすぎると。
やっちゃいますよ。
どうぞやっちゃってください。
責任はわたしが取ります。
あれ?うん?何で中腰なんですか?何事も中途半端が好きなんだよ。
ああ…。
(俊平)大体そろったんだから始めようよ。
(令子)メーンキャスター来てないのにまずいでしょ。
(芽衣)っていうか誰がメーンキャスターなんですか?
(健介)あっそういや聞いてませんね。
(令子)あんたは聞いてても三歩歩いたら忘れちゃうでしょ。
(石場)あのうメーンキャスターはねあのう…。
ふんふんふんだよ。
何言ってるか分かりません。
うんだからメーンキャスターはふふ…。
普通に言えよ。
何でタメ口なんだ!?シャー!
(令子)もういいもういい。
誰でもいいよ。
(石場)あっホント誰でもいい?あっじゃあ発表します。
ええー「ニュースDEゴー!」のメーンキャスターは椿木春香さんです。
(一同)ええーっ!?聞いてないよ!
(石場)そろったねぇ。
誰でもいいって言ったじゃん。
ねっ。
椿木春香って?アハハハ。
俺もねあんまりよく知らないんだけど10年くらい前にうちでニュースをやってた伝説のキャスター。
伝説?伝説。
わたしいつもあの人のことテレビで見てあこがれてたんです。
いつかけ落とそうって。
け落とす!?スクープ第一主義でねぬかみそのたるの中に飲まず食わずで72時間隠れて犯人逮捕につながるスクープ取ったり。
それ漬かっちゃうじゃないですか!
(俊平)それであれやな石場ちゃん。
アジアンマフィアの事務所に一人で乗り込んで拳銃突きつけられながらインタビュー取ったんだよな?ええーっ!?
(石場)だからそれやめろって。
(令子)とにかく仕事一筋でねスクープを取るためだったら何だってすんのよ。
あの椿木春香って女は。
うわぁー。
あれは女じゃない!
(石場)あっ角高さんしゃべった。
あの女は…。
(令子)女捨ててんのよね。
(石場)なっ。
大体番組打ち切りで一度はクビになったのに何で今更!?
(角高)あの女は…。
・
(ノック)
(石場)来た。
(ノック)へっ?わたし?
(石場)うん。
痛っ!
(柴田)あっ!痛…。
(石場)あっ!局長!おう。
大丈夫?アハハハ。
はい。
(スタッフ)大丈夫ですよ。
(春香)大丈夫です?何かね覆っちゃってるうえに色が暗いから…。
(柴田)スタジオを見ておきたいと言われてね。
何となくさわやかじゃないかなって。
うーん。
お願いします。
(スタッフ)はい。
そうですねええ。
じゃあよろしくお願いします。
(スタッフ)はい希望どおりに。
はい。
(石場)お疲れさまです。
どうも。
(石場)今回「ニュースDEゴー!」を担当しますプロデューサーの石場です。
椿木さんがいらしたころとはもうスタッフもガラリと変わってまして。
(角高)久しぶりだな。
(石場)あっ角高孝男さんは新聞社時代に…。
どちらさま?
(石場)あのう救急車でナンパ事件で有名な角高…。
(角高)髪形変えたしな。
(石場)あっこいつらはあのうカニちゃんとイカちゃんです。
自己紹介は後で結構です。
(石場)ですよね。
(石場)その「ニュースDEゴー!」っていうネーミングはわたしの発案なんですよ。
放送まで迫っておりますしねニュースの方向性や企画はこちらで決めさせていただきました。
椿木さんにはもう大船に乗ったつもりでどんぶらこっこっこ…。
ハハハ。
これは忘れましょう。
(石場)「ニュースDEゴー!」をですか。
これじゃ他局が流すニュースと何ら変わらないし番組放送時には古くなってます。
(石場)まっそりゃそうなんですけど「ニュースDE…」誰もが知ってるニュースは二の次三の次で結構です。
この番組では誰も知らないニュースを取り上げましょう。
誰も?知らない?ニュース!?「THENEWS」が狙うのはスクープです。
「THENEWS」っていうのは?いや番組名ですよ。
(石場)あっ番組名は違いますよ。
「ニュースDEゴー!」っていうネーミングはですねかいつまんで説明いたしますとわたしの中学の恩師であります恩田先生の口癖であります「あしたやろうはバカ野郎!」っていうキーワードが核になってるわけであります。
あなたにはわたしのアシスタントになってもらいます。
はい?あっ。
あなたにはわたしのアシスタントになってもらいます。
あっいやわたしはお天気キャスターです。
うん。
でも今日からお天気のことは忘れて。
いや聞いてません。
わたしは…。
まあどの道これから一緒に生活するわけだから。
はい?1アシスタントは24時間わたしと行動を共にし毎朝わたしを起こすこと。
いやちょっと。
何言ってるんですかね?
(石場)まあこの際「ニュースDEゴー!」っていうネーミングはあきらめよう!ねえ?すっきりした!よろしく。
(望美)あっあのう。
あのうホントに困るんです。
椿木さんのアシスタントなんてわたしには荷が重すぎるっていうか…。
っていうか無理です!そうかなぁ?だってわたしなんか何にもできないんですよ。
たまたまお天気お姉さんをやってたって…。
あっ。
報道のこととか全然興味ないですし。
あっ正直わたしは椿木さんと違って結婚相手さえ見つかればこんな仕事辞めようと思ってますんで。
IDIDID…。
ちょっと聞いてますか!?ID。
取締役…。
椿木さん。
とにかくわたしは…。
(雅人)お帰り。
偉くなられたそうで。
報道担当取締役。
つまり上司上司。
伝説のニュースキャスター椿木春香を呼び戻すって意見には反対意見も多くてさぁ。
その中心人物があなたでしょ。
ばれた?ちょっと待ちなさい。
(なぐる音)ええーっ!?ちょっとちょっと椿木さん!ちょっと何やってんですか!?やだやだ!これで8年前の一件はチャラかな?んなわけないでしょ!今度こそあなたには絶対負けないからね。
(ため息)椿木さんが取締役を殴った?
(俊平)何で?何で?
(望美)しーっ。
いやわたしもよく分かんないけど何か8年前が何とかかんとかって言ってた。
えー?すっげー。
(俊平)普通さソッコークビだよな。
やっぱり?
(芽衣)結城取締役はうちの局の親会社のジュニアでゆくゆくはグループのトップに立つっていう人なんですよ。
詳しいねぇ。
(芽衣)セレブ大好きなの。
(俊平・望美)セレブ?セレブ?
(芽衣)よっ。
ジャーン!何?これ。
(芽衣)西園寺真嗣さまのセレブ婚。
へぇー。
西園寺家はね歴代の総理大臣を輩出したり…。
政財界にも大きな力を持ってて。
そうそう。
セレブの中のセレブ一家。
中でも次男の真嗣さまは1,000パーセントの貴公子って呼ばれててセレブを夢見る女の子のあこがれなの。
へぇー。
なのにそんな真嗣さまがあんな女と。
あんな女?この王子さま缶詰工場で働いてる地味な女の子と図書館で出会って結婚することになったんだよ。
ふーん。
図書館行っときゃよかった。
(健介)要するにねこの子は超玉のこしでプリプリウーマンみたいなもんなんだよ。
(芽衣・俊平)プリティウーマン。
取材しようとしたんだけどさ花嫁が派手なことは好みじゃないとかで取材は一切お断りだって。
聡子!?
(芽衣・俊平・健介)えっ?やっぱりこれ聡子だ。
この子ねわたしの女子高んときの同級生なの。
(芽衣)あっそう。
懐かしい。
元気かなぁ。
(春香)へぇーいいじゃないの。
えっ?その同級生のコネ使って取材依頼に行ってらっしゃいよ。
はい?2アシスタントはわたしの手足となって現場の取材やリポートもしてもらいます。
何でわたしが取材とかしなきゃいけないわけ?あっ。
「キャロットハイツ」聡子?
(聡子)望美!久しぶり!久しぶりね。
お天気見てるよいつも。
聡子も雑誌見たよ。
結婚するんだって?おめでとう。
ありがとう。
ホントは望美も招待したいんだけど。
ああいいのいいの。
何かすごい人たちが集まるんだって?あっわたしね今報道の仕事しててさ。
えっ?実は上司に言われてて。
無理だったら全然いいんだけど。
ちょっと…。
ちょっと待って!ちょっとどうしたの!?ちょっと。
えっ何ですか?えっ?いらっしゃい!
(珠子)あっ!いらっしゃいませ!
(健介)おおお疲れ。
歓迎会始まってるよ。
お疲れさまです。
(健介)座って。
ねっ。
お水ちょうだい。
(健介)水?ああ。
(石場)このお店ねカニちゃんの親父さんの店なんですよ。
(珠子)あいよ!報道の皆さんにはいつもひいきにしていただいて。
ねぇー?ねっ珠ちゃん。
ウフフフフ。
ちょっと母ちゃん。
色気ふりまかなくていいから。
手伝って。
(珠子)はいよ。
(令子)後妻です後妻。
カニちゃんのお父さんの。
(三郎)よう。
毎度。
何であんな親父にこんなエロい若妻が。
(珠子)どうぞ。
(角高)はい。
(俊平)つくね?つくねがいい。
何でわたしだけプチトマト?
(健介)えっ!?セレブ婚の加山聡子が容疑者!?そう。
何かかわいそうなことになってるんだよね。
刑事に張り込みまでされてさ。
ヘイユー。
ヘイ!ヘイ!シスター。
加山聡子がどうしたって?えっ?ああ。
彼女のウチに行ってきたんです。
何か聡子の元彼ってのがいてすっごい嫉妬深くてもう随分前に別れたらしいんですけどその人が最近階段から落ちて大ケガしたそうなんです。
誰かに背中を押されたらしくて。
(樋山)うわっ!ああーっ!
(望美)そしたらその元彼犯人は聡子だって刑事に証言したそうなんですよ。
(樋山)この女ですよ
(望美)ひどいと思いません!?だってそんなの聡子の幸せをねたんででたらめ言ったに決まってるじゃないですか。
なのに警察は聡子のこと疑ってるんです。
セレブ婚を前に昔の男が邪魔になって犯行に及んだんじゃないかって。
えっ?
(春香)彼女にアリバイなかったの?あっええ。
たまたまその時間は一人でいたって。
どうかしたんですか?やったわね。
(石場)大したもんだよ。
えっ?何がですか?
(令子)望美ちゃん。
あんたスクープ取ってきたのよ!それも新番組の目玉になるほどの!えっ?
(石場)玉のこしに乗った女が幸せを守るために一転犯罪者として地に落ちる。
セレブの夢を見ようとした女の影。
わたしそのニュース絶対見ます!ちょっと待ってください!彼女はそんな子じゃないんです。
この事件は元彼の狂言なんですから。
それはね君の希望的観測でしょ?警察が動いている以上疑惑の女として取り上げることはできる。
彼女は困ってるんです!もしこんなことが世間に公になったら彼女の結婚は…。
ご破算だね。
そんなぁ!「THENEWS」スタートの目玉は疑惑のセレブ婚。
これで決まりね。
(一同)ヒュー!さあ!困ります。
(石場)さあ飲み直そう。
困ります!困ります!
(令子)乾杯乾杯!
(石場)乾杯乾杯。
はい乾杯!
(一同)乾杯!どうしよう。
(望美)待ってください!椿木さん!椿木さん。
あっちょっ…。
ちょっと。
(春香)ご結婚が決まったのにまだ仕事続けてるんですね。
(聡子)わたしが抜けちゃうとシフトがずれちゃうからできるだけ続けようと思って。
被害者の樋山秀一さんが階段から突き落とされた3月20日夜10時。
あなたはこの場所にいらしたんですね?
(望美)椿木さん。
そんな刑事みたいなこと。
わたしたちは本当のことを知りたいだけです。
あなたが無実ならそれを証明したい。
だからもうそんな…。
ええ。
ここにいました。
帰り道でもなくしかも夜遅くどうしてここに?誘導尋問です。
何にも誘導してないでしょ。
彼との思い出の海なんです。
わたしが以前落ち込んだとき忙しい中ここに連れてきてくれて何も言わずに朝まで手を握っててくれたんです。
へぇー。
さすが1,000パーセントの貴公子。
人からは玉のこしだって言われますけどわたし彼にバッグやアクセサリーを買ってもらったこともないし彼の家のこともよく知りません。
わたしはただこの海でぎゅっと握りしめてくれた彼の手を信じて。
あの日の夜も彼のことを考えていたらいつの間にか足がここに向いて海を見ていました。
女の子なら思い出の場所に来るのは普通です。
全然怪しくありません。
誰も怪しいなんて言ってないでしょ。
それで?分かる分かる。
あのねわたしもねブライダルコーナーとかしょっちゅう見に行ったりしてね。
ちょっと。
えっ?あんた相手いんの?いませんけど。
でも普通でしょ?結婚するとなったら仕事なんて二の次三の次四の次。
彼女はあんたと違って仕事もまじめに考えてるの。
あっそうそう。
それさっき言おうと思ったの。
ねえ。
どうして結婚するのに仕事続けてんの?結婚と仕事は別ものなんだから本気で仕事がしたいなら続けるべきよ。
えっ?だってお金がいーっぱいあるんですよ。
お金は関係ないわよ。
仕事は仕事として考えるべきよ。
べきべきってもう椿木さんってホントに仕事が好きなんですね。
だから結婚できないんですべき!だから!であなたがここに来たときほかに誰もいなかった?
(聡子)一人だけお話しした方がいるんです。
誰?海を見てたらおかしなものを持った人が通りかかって話しかけてみたんです。
そしたら話好きの人で10分ぐらいお話ししたかな。
警察にはその人のこと話したの?話しました。
でも信じてくれませんでした。
どうして?ねえ。
その人おかしなものを持ってたって言ったわよね?ええ。
すごくびっくりしたんです。
その人何を持ってたの?パンダです。
(二人)パ!?ぬいぐるみじゃありませんよ。
こんな小さな生きてる赤ちゃんのパンダを散歩させてたんです。
その人もこの子はパンダだって言ってました。
やっぱり信じてもらえませんよね。
今度のことテレビで放送するんですか?するわ。
今のままなら。
椿木さん!
(聡子)もういいの。
結婚はあきらめます。
(望美)コーヒーメーカーありませんよ。
聡子の元彼ですか。
パンダねぇ。
いるわけないですよね。
あんなとこにそんなのいたらそれこそ国際問題で大スクープですよね。
パンダパンダ。
パンダねぇ。
あのう例えばなんですけどこの事件のことは結婚のこととは別のこととして彼女の名前を出さずに報道するってのはどうですか?そんなの意味ないじゃない。
せっかく五つ子に会えるっていうのに一人ずつ会うようなもんでしょ。
じゃあ…。
そんなに気になるんなら捜してみればいいんじゃない?パンダを。
そんなのいるわけないじゃないですか。
分かんないよ。
いたかもよ。
だって嘘つくような子じゃないって言ったのあんたじゃない。
それは…。
でも聡子は結婚することあんなに楽しみにしてるんですよ。
かわいそうだと思わないんですか?彼女が悲劇のヒロインになればなるほどニュースの価値も上がるの。
椿木さんはニュースのことしか考えてないんですか!?彼女の人生はどうなるんです!?知らないわよ。
わたしはわたしの仕事をしてるだけだもん。
わたしもうこんな仕事嫌です。
うん?お願いします。
お天気キャスターに戻してください。
逃げるんだ?椿木さんには分かりません。
何が?椿木さんは才能があって仕事ができて夢だって全部かなえて華やかな道を歩いてきてすごいと思う。
だけど…。
だけどそれが何なんですか!?毎日毎日仕事のことばっかり考えてこんな書類ばっかりのほこりだらけの部屋に住んでメ−クするっていったらカメラの前に立つときだけでアクセサリーだってあんなおもちゃみたいなのしか持ってなくて恋する気もなくて結婚もあきらめて仕事仕事仕事!わたしは10年後にそんなふうになってるの嫌なんです!そんな仕事女になるの嫌なんです!ちゃんと恋もして子供みたいに王子さまが現れるのを夢見たり。
そういうのって椿木さんみたいな人から見たら遠い昔のことでバカみたいだって思うかもしれないけど。
わたし椿木さんみたいになりたくないんです!椿木さんみたいに女捨てたくないんです!あっそう。
すいません。
あっお願いします。
元の仕事に戻してください。
荷物は後日引き取りに来ますので。
失礼します。
(ため息)・何勘違いしてんのよ?何勘違いしてんの?あ…。
何の用なのよ?俺が用があって春香呼び出したことなんかあったっけ?一度だけあります。
っていうか名前で呼ぶのはやめなさい。
8年前だ。
番組つぶしてわたしをキャスターから追放したときよ。
あなたのその手で。
まだ怒ってんの?ああ。
かわいさ余って憎さ…。
あなたのことかわいいなんて思ったこと一度もありません。
あるね。
絶対ある。
何の用?西園寺真嗣は俺の友達だ。
邪魔する気?まさか。
ただ俺は報道担当取締役なんだ。
お前が下手を打ったときはまた俺がお前のクビを切る。
この手で。
(春香)ちょっと待ってよ!あっそう。
はっきり言ってあの人は人としてどうかと思いますよ。
(健介)おいおいおい。
何よ?すいません。
こいつ酔っ払うとスペシャル無礼講ウーマンに変身するもんで。
あの。
あの女の人にはね心ってものがないんですよ。
分かります?心!ハハハハ。
心ね。
心心。
(珠子)はいよ。
ああどうも。
あっ。
飛鳥さんは彼女のぬかみその話を聞いたことありますか?ああ。
何かぬかみそのたるの中に3日隠れて窃盗事件の犯人捕まえたって。
ありえないですよね。
たかが窃盗事件のためにそんな…。
(柴田)そのたかがな事件は彼女がまだジャーナリストとして駆け出しのころだったんですがね。
その犯人が盗んだのはたかが800円の指輪でした。
(雅人)おい!どこ行くんだよ?今10時前か。
(雅人)こんな時間に何すんだよ?パンダ捜すの。
パ…?あのすいません。
(店主)あっ?この辺でパンダ見かけませんでした?
(店主)パンダ!?うんパンダ。
(店主)パンダ?シュッ!シュッシュッ!いやいや「シュッシュッ」じゃなくて。
パンダ。
(柴田)犯人が空き巣に入った家にはまだ幼い女の子が一人で留守番をしてました。
焦った犯人は女の子から指輪を奪って逃げ出したんです。
もちろん警察もマスコミもそんなささいな事件を扱おうとはしません。
しかし椿木春香だけは違った。
彼女はその連続窃盗犯の潜伏先を突き止め忍び込みぬかみその中に潜んでまでその犯人から指輪を取り戻したんです。
どうしてそんなことまでして?彼女は取材をして知っていたからです。
その指輪が女の子の母親の形見であることをね。
指輪を届けてくれた椿木さんにその女の子は別の指輪をプレゼントしてくれました。
そのとき椿木さんは悟ったんです。
ニュースはただ事件を扱うだけではなくその裏に隠された人の心を扱う仕事だとね。
人の心。
椿木さんはそのことを忘れないようにと放送前にはいつもその指輪をはめて本番に挑んでました。
たかが800円の指輪をね。
あっ。
おっとっと。
家内に連絡をしなくては。
あれ?あっ。
望美?望美!あらら。
片思いって大変ねえ。
ピュー!何言ってんだよ?母ちゃん!ねえ?椿木さん。
うん?どうしてですか?どうしてわたしをアシスタントに選んだんですか?さあね。
ちゃんと教えてください。
はあー。
わたし代わるわ。
苦手?ええ苦手です。
うーん。
何かあんたがいちばん真っ白な感じがしたからかな。
真っ白?うん。
長く仕事やってるとさ知識ばっかり増えてきて決まりきったことしかしなくなる。
だけどショーウインドーに飾られてるようなニュースなんていらない。
ニュースっていうのはさもっとこう地図のない宝探しみたいなもんなのよ。
地図のない宝探し。
誰にも知られずひっそりと隠れてる。
800円の指輪みたいな?えっ?あ…。
まあそんなとこかな。
わたしにもそんなの見つけられるかな。
やった。
えっ?フフッ。
あのさ。
仕事頑張ってうまくいくと時々あんのよ。
この辺からこうじわじわっと浮かび上がってくるの。
「やったぁ」って。
「やった!」って。
やったぁ?ああ。
まあそれが女を捨てる秘けつね。
うん。
あっすいません。
絶対これだと思うんだけどな。
いよっ。
どうだ?
(テレビの音声)映った映った。
わっ。
映った映った。
やった。
あっ。
これ令子さんが取材してたやつだ。
結局こんな時間に流すことになったんですね。
ああー。
わたしが却下したからねえ。
あっ。
うおー。
本人出てる。
(令子)「いくぞ。
えい!」やる気満々だね。
あー。
(令子)「スタート!」ねえねえ?うん?椿木さんは結婚とか考えたことないんですか?はあ?何突然言ってんのよ?いや。
38年も生きてたら…。
38年も生きてたら…。
何で2回も?何で2回も言うの?いや。
一度ぐらいは結婚しようって思ったことあるでしょ?うん?ないわよそんなの。
あるんですね。
あるんですね!あれ?ちょっと。
ごまかさないでください。
いやいや。
ねえ?これってさ準優勝の犬じゃなくって優勝した犬の絵を流さない?あっ。
令子さんが確か言ってました。
何か優勝したワンちゃんは取り消されたんだって。
取り消された?何か偽物じゃないかってクレームがあったとかで編集でカットしたみたいですよ。
に…偽物ってさ。
偽…。
うん?ねえ?これいつのV?あっ先月ですね。
3月20日ってほら日付。
20日?うん。
えっ?
(令子)これが最初に作ったVよ。
(令子)「ドレッドヘアがかわいいと愛犬家たちの間でもまるでモップのようだと大人気です」フフフ。
わたしいいコメントしてるわやっぱり。
ねえ?表彰式に早送りしてよ。
(令子)えっ?早く。
こっからがいいとこなのに。
(令子)「その中でも特に優れた上位3頭が決定したようです。
3位はサルーキーのフレイク君です。
準優勝はプードルのリラ君です。
そして優勝は…」止めて止めて止めて!
(令子)えっ?
(二人)パ…パンダ!?これパンダじゃないわよ。
じゃ何なのよ?もちろん犬よ。
この人ホントにこういう色の犬が生まれたって言ってるんだけど偽物に決まってるってクレームが入ってね優勝は取り消しになったのよ。
っつーかそれがどうしたのよ!?
(学生)誰?誰?何これ!?
(学生)「椿木春香」って書いてある。
(テレビ)「伝説のキャスター椿木春香が復活!『THENEWS』今夜9時スタート」
(春香)「こんばんは。
椿木春香です」
(スタッフ)32N1スタート。
「こんばんは椿木春香です。
ご挨拶の前にまずはこれをご覧ください。
これは受注報告書と呼ばれる公共工事に関する建設業界の内部資料です。
この資料からあの巨大ブリッジの建設でも談合が行われていたことが明らかになりました」
(スタッフ)アウト。
(柴田)椿木春香があの受注報告書の矛盾からこの談合事件をスクープしました。
(令子)チェンジ。
遅い。
いつの間に動いてたんでしょうね。
例のセレブ婚でも花嫁の無実証明する証人見つけてきてちゃっかり恩売って独占中継の許可取ってきたんですからねえ。
うん。
(健介)はい。
まもなく中継入りまーす。
5秒前。
432。
「今夜一人の女性が夢をかなえます。
工場で働いていた一人の女性がシンデレラとなり今まさに新しい人生の船出を迎えようとしております。
豪華客船シンフォニー号をチャーターしての結婚披露パーティー」
(健介)髪の毛。
よしオッケー。
キュー。
「わあっ。
すてきですね。
新婦のドレスはなんと1億円とも言われており今回この日のために特別に作られたもようです。
ダイヤモンドがたくさんちりばめられてあってとってもきれいですね。
今回この披露パーティーでは政界や財界からたくさんの人々が招かれてですね厳重の警備のもと行われております」「豪華ですてきですね」「ねえ?すてきです」「飛鳥さんありがとうございました。
また後程お声かけます。
それではここでいったんCMです」
(俊平)CM入りました。
(芽衣)いいなぁ1億円のドレス。
(望美)聡子の元彼ですかまさか逆恨み?
(芽衣)どうしたんですか?
(俊平)まもなくCMあけます。
ねえ?ねえ!とにかくちょっと会場に連絡して。
今すぐ会場へ連絡して。
(春香)「パーティー中止にして!ねえ?聞こえてる?パーティー中止にして!花嫁危ないかも!」
(健介)望美。
大変だ!えっ?「続いてはスポーツコーナー。
今日からこのコーナーを担当する野原芽衣です。
よろしくお願いします」えっ?だから…。
(芽衣)「まず最初は新番組にふさわしい独占映像をお届けします」
(石場)すいませんすいません。
現場には伝えました。
中継も中止します。
ちょっと待って。
ダメよ。
中継続けんのよ。
はい?中継続けるの。
椿木さん。
あっはい。
はい。
飛鳥です。
(春香)「あの男はまだどっかに潜んでるわ。
飛鳥さん。
あなたがあの男捜しなさい」えっ?あっ。
わたしはただのリポーターです。
そういうことは警備の人たちに任せて…。
警備員にスクープ取らせてどうするの!?えっ?分からないの?今はあなたにとってチャンスなのよ。
何言ってるんですか!?もしかして椿木さんは花嫁の心配じゃなくてスクープのことだけ…?当たり前でしょ。
3チャンスから逃げたらダメ。
ピンチから逃げたらもっとダメ!
(芽衣)「この日も都内の公園で黙々と走り込みをしていました」「わたしねこの選手大好きなんですよ」
(芽衣)「ねえ?かわいいですよね」
(芽衣)「このアイちゃんなんですが現在はより一層走りを…」
(春香)仕事頑張ってうまくいくと時々あんのよ。
「やったぁ」って
(石場)椿木さんが現場中継しろって。
そんなことしたら!お願いしますよ角高孝男さん!おかたかたくかです。
(令子・石場)えっ?あっ?わたしの名前は下から読んだらおかたかたくかです。
回文じゃありません!中継入るぞ!
(スタッフ)あっはい。
ありがとう!えっ?やめますか?
(健介)望美。
あっちからお願い。
分かった。
じゃあ。
あれ?やばい!やばい。
(健介)いた?いない。
じゃあこっち。
(健介)ああーっ!痛ぇ!
(落ちる音)あっ!何?どうしたの?
(樋山)あああーっ!
(一同の悲鳴)
(健介)「ひ…樋山ナイフを!ナイフを持ってます!」
(芽衣)「以上今日のスポーツでした」「たった今事件が起こっています。
現場をご覧ください」現場キュー!「結婚披露パーティーに暴漢が侵入したもようです。
暴漢の正体は不明ですがナイフを持っていると見られ現在警備員とともに当番組の記者が追跡しています」逃げてー!逃げて!
(健介)ああーっ!
(出席者たちの悲鳴)誰か止めて!誰か!誰か!
(樋山)うわあーっ!大丈夫?
(樋山)ああっ。
何をするんですか!「暴漢が取り押さえられたもようです」
(樋山)わたしはただ花嫁にこのブーケを!えっ!?えっ!?
(西園寺)何をしてんだ!?パーティーの途中なんだぞ!ダメよ。
離しちゃダメ!あっ。
パンツ。
パンツの中見て!パンツパンツ!パンツよパンツ!早くパンツ!
(樋山の叫び声)パンツ!パンツ!
(樋山)うっ。
うわっ!
(春香)「ナイフです。
暴漢はやはりナイフを持っていました」「結婚パーティーにナイフを持って侵入した暴漢が今取り押さえられました」
(角高)あーっ!
(石場)よかったですね。
よくないでしょう。
(石場)えっ?結婚パーティーの最中にこんな騒ぎを起こしたんですから。
ことを荒だてた彼女にも責任はあります。
はあー。
一体どういうことなんだ?いやあの。
違うんですこれは。
(春香)「皆さんこんばんは。
CNBテレビの椿木と申します。
私どもよりお祝いの言葉に代えある映像をご覧いただきたく思います」あれ撮って。
(スタッフ)はい。
「新郎新婦の手です」えっ?「西園寺さん。
突然の暴漢の侵入で不審に思われたことでしょう。
彼女のことを一瞬疑われたかもしれません」「しかしあなたはその手を離さなかった。
騒ぎの間も決してあなたは彼女の手を離さず彼女もあなたの手を離さなかった。
あなたが必ず守ってくれると信じていたからではないでしょうか。
あの海の夜のように」「聡子さんが信じたのはお金でも家柄でもなくその手でした。
優しいあなたのその手でした。
どうかこれからも彼女の手を離さないであげてください」「末永くお幸せに」とか言って。
(拍手)やったぁ。
「それでは本日最後のニュースです」フン。
心にもないことを。
(柴田)ハハハ。
しかしお見事でした。
皆さんお疲れさんでした。
(スタッフたち)お疲れさまでした。
「車の台数や速度などを測定し渋滞予測をしたうえで先にある信号を自動で制御し交通量を調整するものです。
警察庁は来月にも大中都市の一部にこの考える信号を設置。
今後2年の間で実験を繰り返し行い実験の成果しだいで順次全国各地に取り入れられる予定です。
渋滞緩和に一役買いそうですね。
それではまたあした。
この時間に」フン。
フフッ。
フフフフ。
笑い事じゃありません。
何でわたしが「パンツ女」なんですか!?だって全国放送であなた「パンツの中見て!パンツよ!パンツパンツ!」って叫んだのよ。
あなたこれ前代未聞でしょう。
結局わたしはプリプリウーマンですか。
あれー?「危険を顧みず犯人に立ち向かったニュースリポーター」これ記事の中身あなたのこと絶賛してるわよ。
ええまあ。
ありがとうございました。
何か仕事の楽しさっていうか椿木さんに教えてもらったような気がします。
いや。
わたしは別にあなたに教えたつもりはないよ。
いや。
でもあの聡子をフォローするために椿木さんがお話ししたことあれ感動しました。
いや。
あれは中継を止められちゃ困るからでまかせ言っただけ。
えっ!?聡子のためじゃ?仕事のため。
そんなぁ。
ねえ?そんなことよりもご飯食べよう。
ご飯?うん。
ご飯。
はてどこにあんですかね?これから作るのよ。
これから!これからねえ。
誰が作るんですかねえ?誰だろう?誰が作るんだろうね?4ご飯を作るですか?何でわたしが椿木さんのご飯作らなきゃいけないんですか?いや勘違いしてる。
わたしのご飯を作るんじゃなくてあなたのご飯を作ったついでにわたしのもパパッと。
のりと納豆があればいいからね。
そののりと納豆ってどこにあるんですか?ああ普通は冷蔵庫なんだけど。
いや。
わたしどこに入れた…。
あの!わたし椿木さんのお手伝いさんじゃありません。
5朝は自分で起きてください。
6ご飯も自分で作ってください。
分かる分かる。
「分かる分かる」とかじゃなくて!7失礼します!荷物は後日取りに来ますから。
8ちょっと待って!ちょっと待ってください。
ねっ?2015/09/24(木) 14:55〜15:50
関西テレビ1
トップキャスター #01[再][字]
「嵐を呼ぶオンナ」
詳細情報
番組内容
CNBテレビの新しいニュース番組に、かつて“伝説のキャスター”と呼ばれた椿木春香(天海祐希)が抜擢されてニューヨークから帰国した。だが、春香のスタッフ受けはすこぶる悪い。スクープを獲るために手段を選ばないそのやり方が、周囲の反感を買っている模様。
報道局長、柴田勝俊(児玉清)直々の出迎えでテレビ局に到着した春香は、早速、持論を打ち出す。用意されていた新番組を、企画、タイトルともに変更し、
番組内容2
スクープを目的としたニュース番組『ザ・ニュース』の発足を宣言。お天気キャスターとして番組スタッフに加わっている飛鳥望美(矢田亜希子)を自分のアシスタントに指名した。
アシスタントとして24時間行動を共にするよう春香から命じられた望美は、仕事のみならず私生活さえも共にするハメに…。困っているのは、望美だけでなく石場小吉プロデューサー(生瀬勝久)以下、蟹原健介ディレクター(玉木宏)、サブキャスターの
番組内容3
野原芽衣(松下奈緒)、伊賀俊平(松田翔太)らも同じ。スクープといったって、そう簡単に転がっているものではない。
そんな中、週刊誌に取り上げられたセレブの西園寺真嗣(平山祐介)の結婚がスタッフルームで話題になった。結婚相手は、きわめて普通の女性だという。その女性の名を見た望美は、中学時代の同級生、加山聡子(大路恵美)だと気付く。それを耳にした春香は、望美に聡子へ取材を申し込むよう指示を出すが…。
出演者
天海祐希
矢田亜希子
玉木宏
谷原章介
松下奈緒
松田翔太
田丸麻紀
・
須藤理彩
矢島健一
・
生瀬勝久
児玉清 ほか
原作・脚本
【脚本】
坂元裕二
監督・演出
【演出】
平野眞
【プロデュース】
現王園佳正
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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