今回の「U−29」舞台は大分県にある大学。
随分と国際色豊かですね〜。
実はこの大学学生の半数が留学生。
世界76の国と地域から学生が集まる超グローバルな大学なんです。
ここで学生たちのキャンパスライフをサポートするのが今回の主人公。
そこにいる?あ〜そこにいるよ。
元気?コミュニケーションに国境はない。
英語は苦手ですが持ち前のフレンドリーな性格で留学生にどんどん声をかけます。
ところが…。
言葉だけでなく文化や習慣もさまざまな学生たち。
フレンドリーなだけでは乗り切れない案件も…。
次々と寄せられる多種多様な困り事。
超グローバルな職場でただいま悪戦苦闘中。
15年前に設立された立命館アジア太平洋大学通称APUです。
留学生の数はアジアを中心に2,800人。
去年国からスーパーグローバル大学に認定された日本屈指の国際的な大学です。
グローバル企業で即戦力として活躍できる人材を育てるためディベートやプレゼン形式の授業に力を入れています。
この大学で何を学ぶのか。
留学生たちは明確な目標を持って日本に来ています。
こうした学生たちを裏で支えるのが学生課です。
31人の職人が働いています。
木村さんはここで働いて4年目になります。
どうしましたか?磁気が壊れたみたいなんですけど。
日々のささいな困り事から学生寮の管理。
ビザの申請の手伝いまで学生をサポートするキャンパスライフの何でも屋です。
入れたんで大丈夫です。
ありがとうございます。
中でも重要な仕事がまだ日本に慣れていない留学生の相談に乗る事です。
しかし…。
う〜ん何だかかみ合ってない気がするんですけど…。
結局通訳をお願いする事にしました。
木村さん実は英語が大の苦手。
勉強してもなかなか上達しない事に焦りを感じています。
う〜ん気持ち分かります。
そんな木村さんが心がけている事があります。
何何?ガイダンス。
何の?あっウェブ?はい。
あ〜よろしくよろしく。
相談に来た学生を見かけたら必ず声をかけるようにしているんです。
頑張って。
はい。
ありがとうございます。
新人時代から話をした学生の事を忘れないようにメモをつけてきました。
どうすれば頼りにしてもらえるか。
木村さんなりに考えたコミュニケーションの方法です。
最初は覚えられないし学生が次来た時にこっちが忘れてるとそれってすごい学生からしたらショックだし信頼関係にも関わるから常にメモはしてました。
時には学生課を飛び出して食事をしながら相談に乗る事も。
京都出身の木村さん。
高校卒業後地元の立命館大学に進学します。
3つのサークルでリーダーを務めキャンパスライフを満喫しました。
まあよく言う言葉ですけど…後輩にも自分のように楽しい大学生活を送ってほしい。
そのサポートをしようと立命館大学に職員として就職します。
ところが配属先は予想もしていなかったAPU。
そこで明確な目的意識を持って大学に通う留学生たちを見てカルチャーショックを受けました。
実際研修では学生が住んでる寮の中に一緒に入って2週間過ごしたんですけど毎日みんな楽しそうに過ごして遊んでるばっかりじゃなくてちょうどテストの時期になったらシーンと寮の中がしててみんな遊べる環境が目の前にあるのにすごい勉強をしててとか…。
自分の「大学ってこういうところだ」の根底が結構覆されましたね。
勉強以外の活動でも木村さんは留学生に驚かされています。
こちらは学内でタバコのマナー改善を訴える団体です。
2年前大学が学内禁煙化を呼びかけたのをきっかけに自分たちでルールを作ろうと学生たちが立ち上がり活動を続けてきました。
木村さんは職員の立場でこの団体の活動を見守りサポートを行ってきました。
この日のミーティング。
マナー違反者をどう取り締まるか激論が交わされました。
育った国のルールによって学生の考えも大きく異なります。
納得いくまで自分の意見を主張する留学生たち。
いや〜一歩も譲りませんね。
制限がないそうです。
二十歳からとかそういう制限がないそうです。
駄目駄目駄目。
木村さん日本人学生に助けてもらいながらなんとか議論についていきます。
でもSTOPを作った目的はやっぱりいい雰囲気でみんなもタバコの事を考えるからまあStudentIDのチェックとかもいいけどそれがすごいバトルになると嫌だ。
もっとこうユーモアのある…。
グローバルな職場で必要とされる能力を肌で感じる毎日です。
それぞれ育ってきた環境とかタバコに限らず違うので上限がないとかであったりとか18歳からタバコがオッケーな国の子もいるのでそれで育った環境が違う子たちがいる中でじゃあどうやったら解決できるのかっていうのが僕自身も答えないですし。
どうにかこう…難しいな。
みんな一丸となって取り組めたらいいんですけどね大学でも。
木村さんの月収は20万円。
毎月3万円は学生時代の奨学金の返済に充てています。
そしてこちらが1週間スケジュール。
この週はちょっと残業が多め。
授業がない土日が休みです。
毎週木曜日は早めに仕事を切り上げます。
その訳は…。
APUのバスケ部の練習に顔を出すためです。
木村さんは学生時代バスケットボールサークルの関西選抜に選ばれた実力の持ち主。
チームのみんなから頼りにされる存在です。
学生にも言ってるんですけどスポーツは本当にいいです。
全然言葉通じなくても身振り手振りで教えたい事も言えるしスポーツやっててよかったなってつくづく思います。
この日木村さんのもとに難しい問題が持ち込まれました。
はい。
イスラム教を信仰しています。
学内にお祈りをするスペースを作ってほしいと訴えました。
APUがキャンパスの中で宗教の活動が禁止…。
例えば「キリスト教に入りませんか?」とか…。
留学生はさまざまな宗教を信仰しています。
不公平にならないよう特定の宗教活動を支援しないというのが大学の方針です。
一方海外の大学や空港には全ての宗教に開かれたプレイルームという祈りの部屋を設けるところもあります。
「APUにもプレイルームを作ってほしい」。
アリナさんからの突然の提案に頭を悩ませます。
これまで持ち掛けられた相談の中でも特に切実な要望です。
ありがとうございます。
はい。
翌日。
木村さんは今お祈りをしている場所を見せてもらう事にしました。
アリナさんたちは人通りの少ない場所を見つけてお祈りスペースを作っていました。
しかし…。
(騒々しい音)ここは食堂の2階の通路。
1階で話す学生の声が常に聞こえてきます。
イスラム教徒の学生の現状を初めて目の当たりにします。
木村さんはある場所を使えないかと考えました。
体育館の2階にある会議室です。
ここを予約して使えばプレイルームを作らなくてもお祈りができます。
ところが…。
アリナさんは毎日5回のお祈りを欠かしません。
毎回予約が必要な会議室を使うのは現実的ではありません。
困っている学生の力になりたい。
でも特定の宗教だけを優遇する訳にもいかない。
木村さんは悩んでいました。
なんとかアリナさんの要望をかなえる道はないかこの日木村さんは上司に相談をしました。
アメリカの大学とかだとお祈りとかいろんな宗教の活動をしていいプレイルームがあるみたいな。
APUにもそういうのが作れないかっていう提案もあって…。
どうなんですか?まあそもそもプレイルームを作る事自体どうなんかっていう。
特定の学生のためだけやったら駄目やと思うしキリスト教とかほかの宗教もそういうプレイルームが必要っていうふうな形にならないと大学の中では「何でムスリムなん?」っていう話になるし。
厳しい条件を示されました。
それでもなんとかしたい思いを伝えます。
「どうにかしてくれ」って相談に来てる子に対して「まあ今はそれのままかな」みたいな回答しかできないのがすごいもどかしいというか。
今じゃあ例えばできる事はむしろ僕がそれをもうどっちかっていうとフォローしたい。
友達先輩とかはどういうふうに生活してるのかもちろんインドネシアコミュニティーとまた違う国のコミュニティーとかいろいろあると思うしほかの国の子のその生活スタイルを例えば聞いてあげたりとか学生のそのリクエストっていうのがどういうものなのかっていうのをちゃんとこうこっちは職員として分析はせなあかんと思うんよ。
どういうふうにすれば最終的にプレイルームっていうものが実現できるような形で作っていけるかっていうのが僕らの仕事やと思うし。
結局目の前の学生の事で頭がいっぱいだった自分を思い知らされます。
もう少しそういうところでは経験をしてもらった方がいいんじゃないかなと思いますね。
はいどうぞ。
木村さん話し合いの結果をアリナさんに伝えます。
APUの中でもそういうプレイルームとか話は出たんですけど今すぐプレイルーム作るとかがやっぱり難しいっていう話はボスもしてて。
だから今すぐ大学が何かこう僕とかがアリナさんに「これオッケーになったよ」っていうふうに言えないのがすごく残念で。
だからまあみんながもっと過ごしやすいキャンパスになれるようにもうちょっと考えさせて下さい。
はい。
分かりました。
ありがとうございました。
またね。
国籍も文化も宗教もそれぞれ違う学生たち。
みんなが満足できる大学を作る。
木村さん大きな目標ができましたね。
木村さんに最後に質問です。
これからもっとグローバル化とか全然自分の知らない考え方の人と出会うってなった時に何か知らない事をワクワクするみたいなんは必要だなって思いますね。
バスケで知らないチームに行くの全然僕怖くなくてむしろどんな人がいんのやろとかそん中で自分どうできるやろうってバッてチーム飛び込んで。
何かその姿勢をもっといろんな事につなげていけたら…。
ごめんね。
忙しい時に。
元気?スマンと話した事ない事を話したくて。
ネパールってほとんどヒンドゥー教?ヒンドゥー教です。
でスマンもヒンドゥー教?ヒンドゥー教です。
2015/09/23(水) 23:25〜23:50
NHKEテレ1大阪
人生デザイン U−29「大学職員」[字][再]
主人公は大分の大学職員・木村亮介さん25歳。働くのは世界76の国と地域から学生が集まる“スーパーグローバル大学”。英語は大の苦手だが留学生の悩み解決に奔走する。
詳細情報
番組内容
主人公は大分・別府市の大学に勤務する木村亮介さん・25歳。彼が働く大学は、世界76の国と地域から留学生が集まる“スーパーグローバル大学”だ。学生課で学生たちの相談に乗るのが主な仕事だが、実は木村さんは英語が大の苦手。多様な文化や価値観を持つ留学生たちの悩みを理解するのも一苦労。そんな彼のもとにイスラム教徒の学生から、礼拝にまつわる相談が持ち込まれた。学生の要望に応えたいと奔走する木村さんだが…。
出演者
【語り】松坂桃李
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
OriginalNetworkID:32721(0x7FD1)
TransportStreamID:32721(0x7FD1)
ServiceID:2056(0x0808)
EventID:32045(0x7D2D)