こんばんは。
「ハートネットTV」です。
今日も昨日に引き続きNHKハート展を特集します。
ハート展は障害のある人が書いた詩に各界で活躍する著名人がアート作品を寄せるというコラボレーションです。
今回で20回目を数えます。
今日もスタジオには奥山佳恵さんをお迎えしています。
よろしくお願いします。
よろしくお願い致します。
ハート展今回で20回目という事で作品の数というと1,000を超えるんですよね。
そんなにすてきなハートいっぱいのコラボ作品が生まれてるんですね。
心温まるコラボレーションです。
NHKでは第1回のハート展から入選者の日常を取材してきました。
今日はですねその中から3人の皆さんの当時と今を通してハート展を振り返ります。
まずは第1回で入選したこの方です。
千葉県君津市に住む…地元の社会福祉協議会で役員を務めています。
この日は打ち合わせです。
多くの人を巻き込み地域の福祉をよくしたい。
さまざまなアイデアを出し積極的に関わっています。
協議会のフェイスブックね。
勝則さんが社会へ出るようになったきっかけ。
それはハート展に選ばれたある詩を書いた事でした。
三上勝則さん25歳です。
脳性まひで手足や言葉が不自由です。
勝則さんは今まで甘え頼ってきた兄から独り立ちしていきたいという思いを詩に託しました。
2つ年上の兄正彦さんは幼い頃から障害の重い勝則さんの助けになってくれました。
閉じこもりがちで友人も少なかった勝則さんは兄の正彦さんを大きな心の支えにしてきました。
勝則さんは両親と3人暮らし。
兄の正彦さんは3年前に結婚して家を離れたからです。
勝則さんは兄に頼らず一人頑張っていく決意を詩に書き自らの背中を押そうとしていました。
決意を込めた詩がハート展に入選し大きな自信を得た勝則さん。
翌年地元のロータリークラブで初めて働き始めます。
やがて仕事で出会った仲間と旅行や飲み会にも行くようになりました。
自立への一歩を踏み出したのです。
こんにちは。
折に触れて仲間となじみの店に集まります。
社会に出る事で得た心許せる仲間。
勝則さんの世界は大きく広がりました。
今も詩や文章を書き続けている勝則さん。
最近母や将来をテーマにした作品が多くなりました。
ちょっとこれはいつもより冷えてないけど。
きっかけとなる出来事がありました。
3年前母美枝子さんが病で倒れたのです。
勝則さんは自分でできる事を少しでも増やそうと着替えの練習をしています。
今再び詩に込める決意。
それは親からの自立です。
なんとかね独り立ちしたいという気持ち伝わってきましたけども奥山さんいかがでした?最初に拝見したこの詩からもお兄さんの事すごく愛してらしてだけどお兄さんに甘えてた自分。
これからは1人で頑張ってかなきゃいけないっていう思いが伝わって20年を経てまたその気持ちが更に強くなられてるのかな。
自分でしっかりと生活していこう社会とつながっていこうっていう気持ちをとても感じました。
お兄さんだけではなくてお母様もね病気をされてお母様に甘えていてもいけないっていう気持ち。
そうですよね。
生んでよかったと親に言わせたい。
みんな同じ思いだと思うんですけども勝則さん余計その分お気持ちが強いんでしょうね。
そうですね。
社会に出るっていう事は本当大きいと思うんですよね。
自分の居場所っていうか役割があるっていうのでね頑張ってらっしゃいましたね。
はい。
さあこの詩に合わせて作品を読んで作ってくれたこちらがグラフィックデザイナーの松蔭浩之さんの作品です。
こちらはもう本当何か印象的な絵ですけど。
生まれ変わっていくぞっていう燃えている魂のようなハートを感じますね。
20年前この「兄貴」の詩に寄せられた絵なんですけど今もこのハートが続いている。
ずっと勝則さんの中でハートが燃えている。
続いているような気がしますよね。
さあ次は2006年第11回の入選者松岡康裕さんをご紹介します。
当時の映像からご覧頂きます。
詩を書いた…エルヴィス・プレスリーの大ファンです。
康裕さんは左の手と足にまひがあります。
それでもギターを持てばこのとおり。
ようベイビー。
最近康裕さんは両親と将来について話すようになりました。
入選から9年。
音楽に対する熱い思いは健在でした。
(ギターの音)こういうのもできます。
でもちょっとここが今…。
それでも康裕さんの生活から音楽の炎は消えませんでした。
高校ではメンバーを募り初めてバンドを結成しました。
高校卒業後事業所で働き始めた康裕さん。
最初は一人音楽に打ち込む日々でした。
しかし去年事業所のメンバーと新たにバンドを組みました。
この日も地域のお祭りで演奏する曲の練習です。
お気に入りのギターと共にスタジオに向かいます。
メインボーカルはもちろん康裕さん。
メンバーたちも負けず劣らず音楽好きの面々です。
曲はプレスリーに並ぶ康裕さんのアイドルビートルズのナンバー。
とってもすてきな演奏でした。
はい。
楽しんでらっしゃいますね。
たくさんの事。
ついえたとは言っていますけどやはり音楽はね支えになってるのは変わらないですよね。
醸し出す雰囲気がもうロックスターなんですよね。
そうですね。
スター性をすごい感じます。
あのエルヴィスのようにもみあげをまだ伸ばしていて。
この時のね詩も分かってくれる友達はいないって落ち込んでるのかなと思いきや実はもうそうでもなくて好きな曲歌っちゃうぞって言ってるところにすごくユーモアを感じるし。
そうですよね。
でも今は友達仲間たちと一緒に音楽活動をしていると。
それはこうやっぱり好きな世界音楽の世界っていうものがしっかりとご自身にあるから新しい仲間とまた出会いがつながってそのおかげでまたご自身がより楽しい毎日を送れてるっていうすごく相乗効果としてすてきですよね。
そうですね。
この詩にはですねシンガーソングライターの白井貴子さんが絵を寄せて下さいました。
これよく見ますとこれ五線譜になっていまして曲になってるんですよ。
ほら。
はい。
音符が連なってるだけではなくて音楽になってるんですね。
ちゃんとこれ曲になっていまして実際に白井さんが作曲したものなんですがCDとしてリリースされたんですよね。
すご〜い。
この虹の辺りはサビなのかしらって…。
あっ最後。
はい。
盛り上がってるとこなのかな。
とてもすてきです。
曲が生まれた訳ですね。
この詩から絵になり曲になり。
ですね。
どんな曲なのかね…。
エルヴィスが中央で歌ってます。
はいユニークな作品です。
すてきです。
さあそれでは今日最後の作品をご紹介します。
そちらに移動しましょう。
2010年第15回の入選者近藤貴之さんです。
当時12歳だったんですけれどもこの「だいすきなママ」という詩に奥山さんがこちらの絵を寄せたと。
はい。
この貴之君の詩に出会って本当に温かい気持ちになりました。
その気持ちをそのまま絵に描かせて頂きました。
ではまず奥山さんこの詩を朗読して頂けますか。
はい。
「このあいだラーメンたべにいったときいねむりしていたよ。
いそがしかったんだね。
しごとでつかれてたんだね」。
本当大好きなんでしょうね。
お母さんの事をいつも見ているから気が付いたんじゃないかな。
疲れてるお母さんをお母さんは気が付いてないけどお子さんがぎゅ〜っといっぱい抱き締めてる。
そんな何か絵が浮かびまして。
その優しい2人をたくさんのぬくもりいっぱいのハートで包みたいなと思いましてこの絵を描きました。
はい。
実際奥山さんは貴之さんのところに行ったんですよね。
そうなんです。
すごく貴重な機会を得れましてご自宅にも伺って貴之君そしてご家族にお会いしてきました。
今どういうふうに成長しているのか…。
うわ〜うれしいな。
一緒に見ていきましょう。
はい。
ここに詩を書いた近藤貴之君が暮らしています。
いいよ〜はい。
家族はお母さんとお父さんそして1つ上のお兄さんの4人です。
貴之君は幼い頃の病気が原因で右手と右足が思うように動きません。
また後遺症で言葉の発音がちょっと苦手です。
自分が描いた絵をどう思ってくれているのか。
確かめるために奥山さんが近藤家を訪ねました。
・こんにちは〜。
こんにちは〜。
貴之君?はい。
こんにちは初めまして。
そうなんですか?最近貴之君が夢中になっているのが自転車です。
これまでは補助輪のついた子ども用の自転車に乗っていました。
しかし体も大きくなり本人たっての希望で新しい自転車を買ってもらいました。
貴之君は現在17歳高校3年生です。
(取材者)おはようございます。
おはようございます。
12歳でハート展に入選した貴之君。
しかしその後さまざまな困難が待っていました。
中学2年の時てんかんを発病。
その後原因不明の視神経炎にかかり両目の視力が0.01にまで低下してしまいました。
大好きだった自転車で出かける事もできなくなりました。
薬や治療を試す日々。
貴之君は耐え続けました。
薬の効果もあって次第にてんかんの発作は出なくなり視力も少しずつ回復してきました。
闘病生活を乗り切った原動力の一つがハート展に入選した事でした。
よ〜いドン。
つらい日々を経て更に成長した貴之君。
通所サービスでもお兄さん役として小さい子の面倒を見たり進んで手伝いをするようになりました。
そしてこの夏。
ずっと乗れなかった自転車に乗ってみる事になりました。
4年ぶりの自転車です。
家族と共に一歩一歩前へ。
貴之君の世界は広がり続けています。
よかった。
とっても立派な青年になられて。
でもそのここに来るまでの日数でつらい日々もあったんですね。
そうですね。
でもご家族の方がすごく温かく見守って今もこうしてまた自転車に乗れるようになって風がね受けて気持ちいいっておっしゃってる貴之君の姿が見れて本当によかったです。
ええ。
そして玄関にはこの絵も飾ってありました。
うれしい。
うん何か本当に愛情いっぱい感じたんですね貴之君から。
そうですね。
そんな貴之さんからですね今日は奥山さんに手紙を預かっています。
一生懸命書いたこちらです。
本当だありがとうございます。
「奥山さんへ。
さいきん自転車に乗り始めました。
自転車に乗れてうれしかったです。
奥山さんもがんばってください。
近藤貴之」。
もうすっごいいっぱい頑張ろうってたくさんのエネルギー頂きました。
貴之君本当にありがとう。
自転車も頑張っていろんな事にね頑張っていく姿これからもね見ていきたいなって思いますよね。
そして後ろで温かく支えてくれてるお父さんの姿ももう5年前も印象的だったんですがますますその愛情も感じました。
はい。
昨日今日とですねNHKハート展に過去入選した方の今を見つめてきましたけども奥山さんどんな感想ありますか?今私自身がもう胸がいっぱいなんです温かくて。
でもハート展っていうのはやはり優しい気持ちが形になってるからまっすぐな思いとか強い気持ち生きていこうっていう気持ち。
その素直なまっすぐな気持ちがやっぱり私たちの胸を一番打つのかな。
ハートがいっぱいの展覧会だなってとても思います。
はい。
そのハート展ですが全国で巡回しています展覧会の情報番組のホームページを是非ご覧下さい。
奥山さんどうもありがとうございました。
ありがとうございました。
2015/09/23(水) 20:00〜20:30
NHKEテレ1大阪
ハートネットTV「詩とアートで紡ぐ“心”〜NHKハート展の20年〜」[解][字]
これまでの「NHKハート展」の入選者の中から、3人にスポットをあて、入選当時の映像と現在の彼らへの取材を織り交ぜながら、その歩みを描く。
詳細情報
番組内容
障害のある人が作った詩をもとに、著名人が絵や写真などを仕上げるアートのコラボレーション「NHKハート展」。今回は過去に入選した3人にスポットをあて、その後を追いかける。今も思いを詩に書き続ける男性、挫折してなお、詩に描いた夢を抱く若者、ハート展での経験を活力にその後の困難を乗り越えた青年…皆ハート展をきっかけに、人生を切り開いてきた。当時の映像と現在の彼らへの取材を織り交ぜ、その歩みを描く。
出演者
【ゲスト】奥山佳恵,【司会】山田賢治
ジャンル :
福祉 – 障害者
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
日本語(解説)
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