3月1日をもってチャットワークが 4周年を迎えました。今年は小さな機能改善だけでなく、大きな変化が見られると思います。
今まさに社内では大きな変化に向けて開発が進んでいるわけですが、幾つかある施策のなかにユーザーからのフィードバック反映があります。チャットワークでは、ソーシャルメディアでの声を拾い上げたり、UserVoice をつかって意見・要望を受け付けています。昨年開催したファンミーティングも利用者の生の声を聞くのに絶好の機会です。
以前からユーザーからのフィードバックは受け付けていたわけですが、それが開発やデザインへ反映するためのプロセスや手法が決まっていない部分がありました。
57,000社以上が利用しているわけですから、開発側の都合で変えることは当然できません。しかし、ユーザーの声を素直に採用すれば良いというわけでもありません。数社が「これが欲しい」という要望を出していたとしても、大半のユーザーが求めている機能ではない場合があります。また、今まで積み上げてきた『チャットワークの価値観』を壊してゼロから作り直すのも現実味がありません。
そこで、今までのようなフィードバックを受け付けつつ、ユーザーインタビューの仕方を一旦整理することにしました。
ユーザーインタビューのコツ
アンケートや Web 上でのやりとりとは異なり、ユーザーインタビューは回答者の考え方や意図を知ることができる絶好の機会です。彼らが何を求めているかではなく、なぜそういった行動をしているのか、何が不満につながっているのかといった『行動や声の裏側』を知る機会になります。
ユーザーインタビューの際には、以下のことを気をつけるようにしています。
目的・仮説を用意する
「どうですか?使いやすいですか?」「いろいろ聞かせてください」では、話が広がり過ぎてしまったり、結果的に回答者の時間の無駄になることがあります。製品全体をどうにかしたいという開発側の想いは強いですが、その中で特に何にフォーカスしたいのかを事前に話し合っておく必要があります。
YES/NOの質問は避ける
「チャットワークのタスク機能を使っていますか?」といった一言で答えることができる質問では有益な情報を得ることができません。こうしたシンプル過ぎる質問は、人気順に機能実装をするという考えになりがちです。
これと似たようなところで、質問者が幾つかの選択肢を提供するのも避けたほうが良いです。選択肢を提供することで答えやすくしているように見えますが、意見を狭めてしまったり、インタビューの結果をこちら都合にしてしまう可能性があります。
機能要望を募集しない
ユーザーインタビューは利用者の悩みや不満の根本を探るための時間です。機能ばかり注目することで、利用者が抱えている問題解決には繋がらず、バンドエイドのような機能提案になることがあります。UI や機能の質問ではなく、利用シーンや欲求を聞き出したほうが、取り組むべき課題が見えてきます。
「こんな機能が欲しい」という要望をいただいても、そのあとに「なぜそういった機能が必要だと思いますか?」という質問をするようにしましょう。
ユーザーインタビューの構成要員
利用者の生の声を聞けるのはものすごく貴重です。しかし、大人数がゾロゾロとオフィスに訪れて、全員が質問を投げかけると、回答者も驚いてしまいます。何を質問するのかも重要ですが、それと同じくらい役割分担も重要です。今のところ最大4〜5人のチームが最適だと考えています。
- 進行役
- インタビュー全体の進行役であり、質問をする人になります。他メンバーからの質問を禁止するわけではありませんが、ひとり『窓口』を作っておくと話のやりとりが明確になります。
- 記録係
- ICレコーダーで録音するとしても、ひとりかふたり記録をしている人がいると良いです。ふたりも記録している必要はないと思いますが、ひとりでは拾いきれない場合があるので意外と必要だったりします。
- 観察役
- 進行も記録も自分の役割を全うすることに一生懸命なので、見落としが発生することがあります。回答者のちょっとした表情や行動を拾い上げたり、全体の雰囲気を観察する役割になります。
チャットワークでは、本格的なユーザーインタビューを始めたばかりですが、今後の製品開発のためのヒントをすでに幾つか得ています。その中から新しい提案もきっと生まれてくるはずです。今年の変化にご期待ください。