(ブツリン)これ何だか分かるよね。
そうジェットコースター。
ジェットコースターは動力を持たないのに運動を続ける。
それは最高点から位置エネルギーを運動エネルギーに変えてるからなのだ。
(ブツリン)位置エネルギーと運動エネルギーにはどんな関係があるんだろう。
(熊谷黒田)こんにちは。
ジェットコースター大好きな理系女子…現役高校生の…熊谷君ジェットコースターだけど乗った事あるよね。
そりゃあまぁ…。
あれっもしかして苦手なの?いや有彩さん心臓に悪い事はよくないと思うよ。
え〜あんなに楽しいのに。
ジェットコースターって今見たように高い所まで引き上げられてそこから一気に落ちていく。
つまり…なくなると思う?なくならないと思う?ジェットコースターもいつかは止まってくれないと遊園地のアトラクションにはならないよ。
まぁそれはそうだね。
そこで今日の3つのポイントはこちら。
力学的エネルギーを中心になくならないエネルギーを考えていきます。
まずは力学的エネルギーとは…。
今回なくならないエネルギーについてお話頂くのは大津豊隆先生です。
先生よろしくお願いします。
(大津)お願いします。
ではこれまでに学習した事を振り返りながら「力学的エネルギーとは何か?」について説明していきましょう。
まずは運動エネルギーです。
式はこのように書けました。
mは質量を表していました。
vは速さを表しています。
この式から…例えば自転車や自動車を運転した時に速さを2倍にしたらどうなるか。
そうするとここに2乗がありますので運動エネルギーは既に4倍になっているという事です。
速さが2倍になったら止まるのに4倍の距離が必要になるという事だね。
スピードの出し過ぎには要注意だね。
そうだね。
続いて今度は重力による位置エネルギーです。
式はこのように書けました。
gは重力加速度の大きさです。
hは高さを表しています。
この式から重ければ重いほどそれから高ければ高いほど重力による位置エネルギーは大きいという事が分かります。
高い所からものを落としてくいを打ち込んだり水力発電のように水でタービンを回す事ができるって事ですよね。
そうですね。
さて続いてです。
今度は弾性力による位置エネルギーです。
式は…kはばね定数。
はばねの伸びや縮みを表しています。
この式から…輪ゴムを使うとものを飛ばす事ができるのもそうだよね。
うんばねを使ってボールを飛ばす事もできるよね。
そうですね。
そしてこの運動エネルギーそれから重力による位置エネルギーそしてばねの弾性力による位置エネルギーこの3つを足し合わせたものを…簡単にいうと力学的エネルギーとは運動エネルギーそれから2つの位置エネルギーを足したものという事ができます。
力学的エネルギーは何で位置エネルギーと運動エネルギーを足したものを考えると思う?う〜ん?これは…左端の最高点からボールを転がします。
速さの変化に注目して下さい。
どこで速くどこで遅かったでしょうか。
もう一度スローモーションで見てみましょう。
速さの変化を見るためコースの途中に速度計を置きます。
それぞれの位置の速さを見てみましょう。
左から…高さの低い所ほど速く高い所ほど遅くなっている事が分かります。
今位置エネルギーと運動エネルギーの移り変わりを見てきました。
ではこちらをご覧下さい。
こちらはコースの各地点での速さを今表示しています。
こちらを見て頂くと高い所ほど遅くそして低くなるほど速くなっている事が分かります。
すなわち位置エネルギーが大きいほど運動エネルギーは小さくそして位置エネルギーが小さいほど運動エネルギーが大きくなっている事が分かります。
位置エネルギーと運動エネルギーを足したものが力学的エネルギーなんだよね。
足したらどうなるんだろう?振り子を運動させ…この振り子の一番下つまり最下点に速度計を置きます。
まず0.1mの高さから振り子を運動させます。
一番下での速さは…次は0.3mの高さから。
速さは…最後は0.4mの高さから。
速さは…高い所から運動させたほど速さは速くなっています。
高さと速さが分かったからそれぞれの位置エネルギーと運動エネルギーを求める事ができるね。
では具体的に計算してみましょう。
まず高さ0.1mの場所から振り子の小球を手放した場合こちらの力学的エネルギーを計算してみます。
まず手放した瞬間は小球の速さは0m/sです。
力学的エネルギーは…今回の値を代入します。
重力加速度の大きさは9.8です。
高さ0.1m。
そして速さ0を代入します。
今mは質量を表しています。
計算すると…さて今度は最下点。
すなわち高さ0mでの力学的エネルギーを計算してみます。
速さを測定したら…この時力学的エネルギーを計算すると高さは0ですので位置エネルギーは0J。
そして測定した値1.37m/sを代入します。
計算すると…この2つの力学的エネルギーはほぼ等しい事が分かります。
では今度は高さを変えた場合ですね。
同じように計算してみます。
高さ0.3mから振り子の小球を手放した場合です。
手放した瞬間は速さは0m/sです。
今回の値を代入すると…同じように最下点での力学的エネルギーを計算します。
測定値は…こちらは速さです。
この値を代入して計算すると…やはりこの2つの力学的エネルギーはほぼ等しい事が分かります。
更に今度は高さ0.4mの場合です。
手放した瞬間小球の速さはやはり0m/sです。
今回の値を代入すると…そして最下点での力学的エネルギーも計算します。
測定値は…この値を代入すると…2つの地点で力学的エネルギーがほぼ等しい事が分かります。
すなわちそれぞれの実験において…力学的エネルギーは常に一定…。
位置エネルギーと運動エネルギーを足したものが常に100%になるっていう事なの。
では今回の振り子の場合の位置エネルギーそれから運動エネルギーの割合を表したグラフを今表示しています。
まず振り子の小球を手放した瞬間です。
この場合は小球の速さは0ですので全て位置エネルギーになっています。
つまり位置エネルギーが100%で運動エネルギーが0%。
足し合わせて100%という事を表しています。
そして途中の場所まで来た時大部分が位置エネルギーを失って運動エネルギーになっています。
しかし運動エネルギーと位置エネルギーを足し合わせると100%になっているという事です。
そして今度は最下点です。
最下点では位置エネルギーは0%です。
全て運動エネルギーになっています。
これは100%。
すなわち位置エネルギーと運動エネルギーを合わせるとやはり100%になっているという事です。
つまり位置エネルギー…さあまとめると…この事を…という事で用意したのはこちら。
これは鉄棒?そうこの鉄棒にはロープがくくりつけてあってその下にはなんと10kgのおもりがつるしてあります。
じゃあ熊谷君このおもりを持って。
うん。
あ〜重い。
次はそのロープがいっぱいになるまでこっちに下がってきて。
う…うん。
体ギリギリの所にあるこのおもりを持つ手を離してみましょう。
危ないんじゃないの?大丈夫これ実験だから。
怖いと思うけど絶対後ろには下がらないでね。
はいいきます。
ゴーゴー。
おぉ〜。
はい力学的エネルギー保存の法則から……という事でした。
はいここで問題です。
こちらにあるのはゴムを付けたボールをこのように棒に引っ掛けて引っ張って手を離すとボールが飛び出す装置です。
じゃあ熊谷君問題です。
初速度が同じ時…さあどれでしょうか?それはやっぱり90度でしょう。
う〜んじゃあその根拠は?根拠っていっても…90度で真上に上がるのが一番高く上がるんじゃないの?これは力学的エネルギー保存の法則で考えるとどう説明できるかっていう問題なの。
赤いボールにゴムが付いています。
ゴムを棒の先に引っ掛けボールを黄色い旗の位置まで引き下げます。
まず90度で打ち上げます。
ここまで上がりました。
次に水平との角度75度です。
ボールを引き下げます。
ボールが黄色い旗の位置に来るように高さを調節します。
75度で打ち上げます。
ここまで上がりました。
次は60度です。
最後に45度。
90度で打ち上げた時一番高く上がる事が確かめられました。
今の結果を力学的エネルギー保存の法則を用いて考えてみましょう。
まず小球を…まず90度に打ち出した時です。
この時小球の最高点での速さは0になっています。
ですから全て位置エネルギーに変わっています。
では90度以外で打ち出した場合です。
この時小球の速さは最高点で0にはなっていません。
全て右向きの速さを持っています。
すなわち最高点で運動エネルギーがありますのでその分だけ90度の時と比べて位置エネルギーが小さい事になります。
すなわち最高到達点が90度の時と比べて低いという事になります。
つまり…うん。
どう?熊谷君分かった?うん僕もこれからは運動エネルギーを位置エネルギーに変えて生きていく。
熊谷君斜面を滑る物体も大きく振れる振り子もやがては止まってしまうよね。
摩擦や空気抵抗があるからでしょ。
そう。
でも止まるっていう事は…物体の力学的エネルギーは常に一定となるのがそれがなってない?そうなの。
静止した物体の力学的エネルギーはどうなったのでしょうか。
失われてしまったのでしょうか。
この物体を床の上で滑らせます。
床との摩擦のためやがて止まります。
物体に温度計を取り付けます。
温度計の先端が床と接するようになっています。
始めの温度は…滑らせます。
滑って止まったあとの温度は…力学的エネルギーが熱エネルギーに変わったのです。
物体が床の上を滑っている。
この時物体と床の間には摩擦熱が生じていました。
つまり…そこでエネルギーの種類を表したこちらの表をご覧下さい。
これらを表したものが…そのほかに熱エネルギー音光それから電気などのエネルギーがあります。
これらを合わせたものが全エネルギーです。
今回のように摩擦やそれから空気抵抗などがある場合には力学的エネルギーの一部が熱エネルギーに変わってしまったんです。
ですので力学的エネルギーが保存されていませんでした。
でも全エネルギーで考えればエネルギーは保存されているという事なんです。
はい。
今日はなくならないエネルギーについて学習しました。
実は更に物理を学習していくとこれ以外にも保存される量がある事に気が付きます。
是非皆さんも今後しっかり物理を学習して…はい。
何が保存されるんでしょうね。
それでは皆さんさようなら。
さようなら。
さようなら。
力学的エネルギーが保存されない時力学的エネルギーは熱エネルギーなどに変わるがこれらのエネルギーを合わせた……という事なのだ。
2015/09/23(水) 14:20〜14:40
NHKEテレ1大阪
NHK高校講座 物理基礎「なくならないエネルギー〜力学的エネルギーの保存〜」[字]
運動と位置のエネルギーを通して力学的エネルギー保存の法則を考える。1.力学的エネルギーとは2.力学的エネルギー保存の法則3.力学的エネルギーが保存されないとき
詳細情報
番組内容
これまで運動エネルギーと位置エネルギーについて学習してきた。位置エネルギーには重力による位置エネルギーとバネの弾性力による位置エネルギーがあった。これらの和を力学的エネルギーという。物体にはたらく力が、重力やばねの弾性力だけの場合の運動では、物体の力学的エネルギーは常に一定である。これを力学的エネルギー保存の法則という。【講師】大津豊隆(豊島学院高校教諭)【司会】黒田有彩、熊谷知博
出演者
【講師】豊昭学園豊島学院高等学校教諭…大津豊隆,【司会】黒田有彩,熊谷知博
ジャンル :
趣味/教育 – 中学生・高校生
趣味/教育 – 大学生・受験
趣味/教育 – 生涯教育・資格
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