きょうの健康「これって眼けん下垂?」 2015.09.22


「きょうの健康」です。
今日は「これって眼けん下垂?」と題してお伝えします。
ちょっと難しそうですけれども眼けんといいますのはまぶたの事でしてつまり眼けん下垂といいますのは上のまぶたが下がってしまう病気なんです。
どのような症状があるんでしょうか。
またその眼けん下垂が疑われる時どのように対処すればいいんでしょうか?詳しくお伝え致します。
お話をして下さるのは…目の病気の診断と治療がご専門でいらっしゃいます。
どうぞよろしくお願い致します。
どうぞよろしくお願い致します。
私も年々まぶたが重く下がってきているのを実感しているんですけど眼けん下垂と区別どんなふうに区別ができるんでしょうか?これは実際に眼けん下垂を起こされた患者さんの目です。
右目の方は全く正常ですけれども左目の方はちょうどこの明らかに茶目と茶目の真ん中にある瞳の所に上まぶたがかかってきている。
茶色い部分の所にもかかってきているという事ですね。
これが眼けん下垂という事です。
でもどうなんでしょうか片方にこの方あれですけど片方に起こる事も?片方に起こる事もありますし両方に起こる事もあります。
こういう具合になりますとどんなふうに見えるのかどのように感じるようになるんでしょうか。
患者様の症状としては…それ以外に実はあまり気付いておられませんけれどもおでこの筋肉を使って眉を上げるために眉毛の位置が上がったであるとかあるいはおでこにしわがたくさんできたそういうような患者様もおられます。
どうなんでしょうか眼けん下垂の方っていうのは多くていらっしゃるんですか?実際高齢者には非常に多いというふうに考えられます。
それでは今日のお話のポイントお願い致します。
こういう事でお話をして頂きますがまずは原因です。
原因が2つあるんですか?はい。
実は眼けん下垂の原因としては上まぶたの筋肉とそれから腱膜に原因がある場合があります。
腱膜というのは初めて見ましたけれども。
まずまぶたの構造をお示しします。
これは上まぶたと眼球を真横から見た断面のスライドですが…。
まつげがこれですね。
上まぶたを眼けん挙筋というので持ち上げている訳です。
この眼けん挙筋とまぶたをつないでいるのが挙筋腱膜。
これが腱膜という事になります。
この眼けん下垂の原因として一番多いのがこの腱膜が薄くなって伸びてしまうというそういう眼けん下垂です。
これは加齢現象でも起こりますので高齢者という事になると誰でも両方のまぶたが少し下がってくる事が起こってきます。
そうすると私たちもゆくゆくは眼けん下垂になってしまうという事になるんですか?必ずしもそうではなくて人によって程度はさまざまです。
明らかなのはハードコンタクトレンズを長年使用されている方が非常にこれが早く起こりやすい。
そういうのが明らかになっています。
どうしてでしょう?このハードコンタクトレンズは例えば目を閉じている時なんかですとハードコンタクトのエッジが先ほど言いましたこの腱膜の裏側から当てて当たる事によっていわゆる腱膜を薄くしてしまうそういう事が起こってきます。
それから目をよくこする場合には今度は外側から腱膜に対して強く圧迫する形になりましてそのためにやはり腱膜が伸びてしまって眼けん下垂が起こってまいります。
なるほど。
そうするとハードコンタクトレンズを長く使用している方目をよくこする方要注意という事になりますね。
そして腱膜以外のもう一つ筋肉もありました。
もう一つ筋肉の原因というのはこの眼けん挙筋の筋肉の力が弱いかあるいはこの挙筋を支配している神経の働きが悪くて上まぶたをつり上げられなくなってしまう。
そのために起こってくるそういう事です。
実際には生まれつきなっておられる方が非常に多いと思われます。
生まれつきの方も。
心配ですよね。
生まれつきの方は片方だけの目の方が多くて親御さんが割と生後すぐに気付かれる事が多いです。
ただ子どもさんで起こってきますので将来弱視になってしまう事がありますので必ず眼科に相談されてこのまま経過観察をしてよいのかどうかそれを指導して頂くという事が必要です。
原因を伺ってまいりまして2つあるという事でしたが今度は2つ目のポイントですね。
自分でできる対処。
自分でできる事もあるんですね。
そして手術という事ですが。
こういうのがあります。
自分でできる対処としては。
こういう目をパッチリさせるためにまぶたに貼るテープとか接着剤を使っている方もおられます。
今のは水色の右側のものが接着剤ですね?そして左側の2つがテープ?両面テープでなってましてまぶたの間に入れますとそれでもって二重瞼になって…。
二重になるという事?これよく若い人たちが美容に使うものでいいんですね?はい。
この人は眼けん下垂ではありませんけれども私の病院のスタッフにしてもらったのを撮った写真です。
貼る前と貼った後を見比べて頂きますと明らかにまぶたを上げる事ができます。
こういうまぶたの下垂が軽度でなおかつまぶたが薄い方にはこれは十分効く方法です。
確かにこう見ますと茶色の部分が貼った後大きくなってるのが明らかに分かりますもんね。
あとはもう一つはクラッチ眼鏡というのがあります。
クラッチ?これはクラッチといって松葉づえの事なんですけれどもその松葉づえを眼鏡につけるという形のものであります。
これですねこの部分。
軟らかい素材でできてまぶたに当てるという方法です。
ちょっとやってみます。
普通にかけてるだけですと全然変わりませんけれども上まぶたの所にかけてやってギュッとしてやると少しまぶたが。
確かに目が何かはっきりしたような。
割と重症の方にでもこれは使える方法で。
それはクラッチはどこでも手に入るんですか?眼鏡屋さんに行って頂ければそれは手に入れる事ができます。
自分の眼鏡にそれは装着すればいいんですか?ねじ回しでつける事ができます。
なるほど。
そういう自分でできる対処と一方で手術もあるんですね。
眼けん下垂が重症で先ほど申し上げたようなこういうような症状が強くて生活に支障を来すようであれば眼科を受診した上で手術を行うという場合があります。
中等度以上の眼けん下垂であれば手術が治療の基本でそれにより改善させる事もできます。
ただしすぐに悪化するものではありませんので急いで行う必要はありません。
患者さんの意思によって手術を受けるかどうかあるいは手術をする時期というのも決める事ができます。
その手術目の辺りのまぶたの手術ですからちょっと心配なんですけれどもどのように手術を行うんでしょうか?筋肉の場合と腱膜の場合とで少しやり方が違います。
まず腱膜性の方ですけれどもこの場合は皮膚であるとかそういう所を切開しまして…。
まず腱膜はよく見ますと確かに黄色く伸びてるんですね?こういう伸びている腱膜がある訳ですのでこれを縫い縮めるという方法です。
だからまぶたから切るかあるいは裏側から切って腱膜を縫い縮める。
それであとまぶたを直接腱膜に縫い付けるという手術であります。
これはどうなんでしょうか手術の痕というのは残るものなんですか?ちょうどしわとかあるいは二重まぶたの所を切りますのであまり目立ちません。
そうですか。
そして…。
筋肉の動きが悪い場合には前頭筋おでこの筋肉ですね前頭筋という筋肉を利用するつり上げ術というのを行っています。
眉毛の上とまつげの上この2か所を切開しましてその間に人工の膜などを通して前頭筋とまぶたを縫い合わせるという手術を行います。
縦に?はい縦に行います。
これはでも本当に患者さんの負担といいましょうか費用それから体の負担というのはどうなんですか?決して大きな手術ではありませんし保険適用になっています。
大体日帰りからあるいはせいぜい2泊程度の入院で行う事ができます。
そう負担は大きくないと?はいそうです。
さあ伺ってまいりましたけど先ほどの「手術をしてはいけない場合」とありますよね。
これはどういう場合なんでしょうか?一つは筋無力症という病気です。
この病気は自分の体の中にある抗体というのが筋肉の働きを悪くする病気ですのでまぶたの手術をしても決してまぶたが上がるという訳ではありません。
自己免疫による病気という事。
なかなか自分ではその区別が難しいような気もするんですが。
でもこの筋無力症による眼けん下垂には大きな特徴があります。
それは朝は正常なのに夕方になるとまぶたが下がってしまうという日内変動一日の中で変動が大きいというのがあります。
通常の眼けん下垂であればこのような事は起こってきません。
しかもこの眼けん下垂を放置すると進行して筋無力症の症状が全身に広がってしまう事があるため必ず早めに受診して頂く事が必要です。
受診は眼科でいいんですか?眼科とかあるいは神経内科これを受診して頂くと検査や治療を受ける事ができます。
治療はどんな治療なんでしょう?ステロイド薬を投与しますと症状が改善するだけでなくてそれから全身に移行する全身型に広がってしまうというのも防ぐ事ができる。
そういうふうにいわれています。
ほかにはあるんでしょうか?あと脳卒中や糖尿病による眼けん下垂というのもあります。
これらの病気によって目を動かす神経がまひをする事で眼けん下垂が起こる。
そういう事であります。
区別ってどうなんですか?それはやはり特徴である日突然に起こってきます。
ほかの眼けん下垂では大概徐々に起こってきますのである日突然に起こるという事はありません。
この眼けん下垂は特に脳動脈りゅうで気付かずに起こってきている場合があってその場合は非常に危険なため必ず早めに脳神経外科で受診して原因を調べて頂く必要があります。
原因となる病気の治療を行う事で命が助かるという事もある訳です。
そうですね。
でも伺うと本当に重い病気が潜んでいるという事もあるという事なんですね。
ほかにもまだありまして眼けんけいれんという病気があります。
この病気は光がまぶしく感じるため思わず目をつぶってしまうという事が多くてそのために眼けん下垂と間違えられてしまう事があります。
ただし眼けん下垂とは明らかに異なる特徴があってそれは眉毛の形というか位置です。
眼けん下垂の場合には先ほど申し上げたようにおでこの筋肉を使って眉毛を上げているためにこういうふうに眉毛の位置が上の方にありますけれども眼けんけいれんの場合には顔をしかめているという形になりますのでどちらかというと眼けんの上の方の眉毛が下がってしまう。
そういう全く逆の眉毛の位置になります。
確かに眼けん下垂の場合には目と眉の間が空いてますし眼けんけいれんの場合には近くて外側が上がってますもんね。
この場合にはどんなふうに治療をするんですか?これはボツリヌス療法といいましてボツリヌス菌が作り出す毒素をごくごく薄くしてそれを上まぶたと下まぶたに注射するという方法があります。
これは?これは毒素を注射する事によって筋肉をまひをさせて治療するという方法です。
なるほど。
眼けん下垂今日はそういう病気があると。
一口に眼けん下垂と言ってもいろんなケースがあってそして対処のしかたもたくさんあるんですね。
それを今日学びましたけども。
眼けん下垂というと私は違うと思われるかもしれませんけども眉毛が上がったりおでこにしわが寄ったりして疲れる事から始まる事があります。
怪しいなと思ったら眼科を受診されて重大な病気が潜んでいないかあるいは様子を見るだけでいいのか相談される事をお勧めします。
重篤でなくても本当に視界がまた広がったり明るく見えるという事ですよね。
かなり視界が広くなって皆さん明るくなったと喜ばれます。
どうもありがとうございました。
今日は眼けん下垂についてお伝え致しました。
2015/09/22(火) 20:30〜20:45
NHKEテレ1大阪
きょうの健康「これって眼けん下垂?」[解][字]

上のまぶたが下がって視界が狭くなったり目が疲れやすくなったら、眼けん下垂が疑われる。めがねやまぶたに使う道具の工夫で対処するか、まぶたをつりあげる手術を受ける。

詳細情報
番組内容
上のまぶたが下がってきて、視界が狭くなったり、目が疲れやすくなったら、眼けん下垂が疑われる。上のまぶたと眼けん挙筋(筋肉)をつなぐ「腱膜」(けんまく)が伸びてしまうことが最大の原因。眼けん挙筋が弱いことが原因のこともある。眼科を受診して診断してもらい、めがねやまぶたに使う道具の工夫で対処するか、まぶたをつりあげる手術を受ける。ただし、ほかの病気が原因のこともあるので、注意が必要だ。
出演者
【講師】兵庫医科大学教授…三村治,【キャスター】桜井洋子

ジャンル :
情報/ワイドショー – 健康・医療
福祉 – 高齢者
趣味/教育 – 生涯教育・資格

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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日本語
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