こんばんは。
「ハートネットTV」です。
今日と明日は2回にわたってNHKハート展をご紹介します。
ハート展は障害のある人が書いた詩に各界で活躍する著名人がアート作品を寄せるというコラボレーションです。
今回で20回目を迎えました。
そこで過去の入選作を交えながらハート展を振り返っていきたいと思います。
ゲストはタレントで女優の奥山佳恵さんです。
よろしくお願いします。
よろしくお願い致します。
奥山さんは以前ハート展に絵を寄せて頂いたりこのようにスタジオに何回もお越し頂いたりと。
ありがとうございます。
実際描かせて頂いたりあとは個人的にハート展を実際に見に行ったりもしています。
もう作品を見させて頂く度に思うのは本当に言葉がまっすぐなので心にダイレクトに響くんですよね。
いっつも温かな気持ちにさせてもらっています。
いろんな事が本当ね伝わってきますよね。
さあ今日ご紹介するのは知的障害のある埼玉県の吉元耕平さん25歳です。
耕平さんは2007年第12回ハート展に入選して以来今回でなんと5回も入選している方なんですね。
こちらがその作品ですね。
これまでの入選作とその詩に寄せられた絵をこのように並べてみました。
初めての入選作は「生きること」というテーマの詩です。
そして次は「生きていくよ」という生きるとは何かを考えた作品だったんですね。
そのあと畑の作物野菜の事を詠んだ作品がこのように続いて…今回入選した最新作は「いろんな形」という「自動車メーカーのエンブレム」をテーマにした作品。
このようにバリエーションに富んだ入選作の数々です。
興味の幅がどんどん広がっていってる印象を受けます。
ねえ分かりますよね。
世界観が広がってますよね。
ではまず耕平さんそして作品の歩みをご覧頂きます。
今日も自宅近くで畑仕事です。
さまざまな生き物と出会える畑。
小さい頃から大好きな場所です。
耕平さんは自閉傾向があり人と話す事は苦手です。
でも文章では素直な思いを伝えられます。
手紙で畑にいる時の気持ちを教えてくれました。
耕平さんは発育や言葉が遅く3歳の時自閉傾向による発達遅滞と診断されました。
自分の気持ちを人に伝える事があまりできずにいた耕平さん。
10歳の時絵の教室に通い始めます。
最初は表現する事に慣れなかった耕平さん。
次第にさまざまな課題をこなすようになっていきました。
その一つが畑の観察日記。
ここに初めてまとまった文章を書くようになります。
その日の畑の様子や作業の内容目にしたものを次々に書きつづっていきました。
しかし高校2年の時書く内容が大きく変わる出来事がありました。
大好きだった同級生が亡くなったのです。
死とは何なのか理解しようとした耕平さん。
周りの人にも尋ねました。
自分なりにたどりついた言葉。
それがハート展に初めて入選した作品となりました。
翌年も亡くなった友達に向け詩をつづりました。
詩をきっかけに命について考えるようになった耕平さん。
それまで観察日記をつけるだけだった畑での出来事も違った意味を持つようになりました。
畑は今耕平さんが一番命を感じる場所です。
そうだよね新しい命だもんね。
大事にしなくちゃね。
今日も耕平さんは畑で新たな言葉を紡ぎます。
なんてピュアなんでしょうね。
今最新の詩を見せて頂いただけでも心が洗われました。
命のバトン命のリレーって日常で私たちなかなか思い至らないところなんじゃないかなと思います。
たくさんの気付きが私たちにもありますよね。
たくさんの命なんですよね。
ではゲストをご紹介します。
画家の林孝三さんです。
林さんは耕平さんの2回目の入選作「生きていくよ」に絵を描かれた事をきっかけに今も耕平さんと交流を続けていらっしゃいます。
よろしくお願いします。
よろしくお願い致します。
「生きていくよ」という詩をまず読んだ時の印象を聞かせて頂けますか?はい。
最初この詩を受け取った時に「何…えっ何なの?」っていう何か戸惑いがあったんですね。
えっ…でも読んでるうちにすごく優しさが出てきてでそれで涙が出てくるような印象がありましたですね。
8年たった8年って…今7年目ですかね?…たった今でも読むとちょっと涙ぐむところがありますね。
そしてその詩から絵を描かれた訳ですけれどもどんな事を思って描いたんでしょう?あの…耕平君の詩がもう本当にストレートに作意のないまっすぐな感じで入ってきたんで私も耕平君の絵のためだけに別の絵を描こうかなと。
私本来動物と植物をずっと描き続けてるんですけどそれ以外の絵で描こうかなと思ったんですけども耕平君のストレート的なところでじゃあ私もまっすぐにいってみようという事で動物を主体にして絵を添えてみました。
林さんのじゃあいつもの画風で描かれた訳ですね?そういう事ですね。
奥山さんいかがですか?この絵。
とてもエネルギーを感じます。
やっぱり「生きていくよ」っていうタイトルのとおりに林さんの描かれました絵も熱があるというか生きていくっていう命の情熱をとても感じますしこの色鮮やかさもすばらしいですよね。
ありがとうございます。
生命を力強さをとても感じます。
まさに詩と絵のコラボレーションというのを感じますけれども。
林さんと耕平さんはずっと交流を今も続けていらっしゃるという事で今日はそのやり取りの一部を持ってきて頂きました。
こちら林さんの前に並んでいる手紙や写真なんですけれども。
これほんの一部ですからもっともっとやり取りをされてると。
もっともっとたくさんあるんです。
今日はその一部をご紹介したいと思います。
この手紙なんですけれども「なにかな?」という詩がハート展に入選した時に林さんに送られてきた手紙なんですね。
読みます。
「僕の『なにかな?』の詩に楽しい絵がつきました。
真っ赤なラディッシュが大きく育って真ん中に種もピョンピョン跳ねている。
仲間のテントウムシは葉っぱの上。
みんなで楽しそうに歌っているから僕もすごくうれしくなった。
暖かくなったら畑も始めるよ。
今年もラディッシュの種をたくさんまこう。
そうしたら歌の続きが聞けるかな?」というね手紙なんですがこの絵にも特徴があってこれ日本画家の森田りえ子さんが描いた絵なんですけれども。
最後のこの手紙の「歌の続きが聞けるかな?」というのはもっとラディッシュをたくさん作ったらこのあとも続くのかなっていうような想像力ね。
絵ですよね。
詩を書かれてその詩に絵が描かれて更にその絵を見ての作品という。
手紙が全て作品や詩になっているような印象を受けます。
本当そうなんですね。
ですから私は耕平君からハート展以外のお手紙を頂くんですけども全部たくさんの詩を頂いているというそういう感覚があります。
表現が詩の世界になってしまうっていう世界観なんですね。
そうですね。
手紙届くと元気づけられるというか。
そうですね。
本当に元気もらいますね。
何か耕平さんが作ってる畑の作物も届くと?そうなんです。
サツマイモとかそれからラディッシュとかそれもモグラが食べてちょっとかじられた跡があるようなそういうお野菜とか。
もう本当に楽しいですね。
じゃあお手紙の詩や絵やまあ作物といういろんな贈り物が届く訳ですね。
はい。
作品…すばらしい作品です。
ありがたいです。
うれしいですよね。
こうやって耕平さん詩の世界をどんどん広げていきました。
林さんとの交流の中で作品は更に豊かになっていきます。
こちらをご覧下さい。
今日も畑でたくさんの野菜を収穫しました。
この日取れたのは耕平さんのお気に入りラディッシュです。
耕平さんは畑の野菜を詩だけではなく次々と絵に描いています。
絵で自分を表現し始めたきっかけは画家の林さんとのやり取りでした。
林さんに励まされ耕平さんは表現を広げていきました。
林さんの言葉に背中を押されるように耕平さんの絵はどんどん変化しています。
5年前に描いたラディッシュ。
畑で見た様子をそのまま忠実に表現していました。
しかし何度も描くうちに耕平さんは自分が感じた思いも絵に込めるようになっていきました。
耕平さんが特に大事にしているのは根っこです。
完成した今年のラディッシュの絵。
ふだんは見えない地面の下に長く太く根っこが描かれていました。
今耕平さんは畑に息づく命を通して自分が伝えたい気持ちも表しています。
楽勝で行けるから耕平さん。
これもお願いします。
絵の表現が広がるにつれ耕平さんの詩の世界もまた変わり始めています。
毎日作業所へ通う50分の道のり。
そこで目にするたくさんの車をモチーフに今年は畑の外の世界を詩にしました。
それが今回のハート展の入選作です。
世界観がすばらしく豊かですね。
そうですね。
着目している場所がエンブレムっていう。
面白いです。
そのエンブレムから「あっヘビに似てる」っていうその発想力もね。
どうしてももう先入観があるとアルファベットにしか見えないんですが。
「クッキーに見えるヘビに見える」っていうのは本当に豊かな発想力です。
更に耕平さんの絵もすてきでした。
とってもすてきでした。
今日は耕平さんの作品をスタジオにお借りしてきました。
こちらの作品です。
リンゴの作品なんですけれども。
実はこの作品を耕平さんが描いてる時に林さんも近くにいらっしゃった?そうですね。
すぐそばで見てました。
どんな様子でした?いや驚きましたね。
驚いた?はい。
あの…私たちが絵を描く場合には例えば形をどうしようとかそれから色はここはどうしようかとかっていうような事をよく考えるんですけども時にはそのまんま何分も待ったりとか時間が空くんですけども耕平君は何の迷いもなくて全て本当に間髪入れずに色を選んでいって塗っていくという。
それに本当に驚きましたね。
先ほどVTRの絵を描かれている様子でもその様子がちょっとお見受けしたんですが。
速かったですよね。
速いですね。
そしてこの色使いも見事ですよね。
すばらしいですね。
きれいですね。
ええ。
ブルーと赤なんてなかなか私なんか同系色の絵が多いんですけどこのブルーと赤っていうのはなかなか難しくて使えなくてそれでなおかつこのブルーがポンと浮き出てないと。
本当に画面の中に収まっているブルーというのですばらしいと思います。
更にリンゴの皮がむかれているその動きなんていうのも表現されているというね見事ですけれども。
実は林さんは2年前耕平さんと二人展を初めて行ったそうです。
二人展ですけども林さんの絵に耕平さんの絵そして詩を合わせた展覧会という事ですよね。
この二人展なぜ始めようと?いや耕平君の絵を拝見してすばらしいなと思ったんですよね。
これは詩もすばらしいけども絵もこれたくさんの人に見てほしいなっていう気持ちがありましてこれは是非二人展をやって多くの人に見て頂きたいという。
もうそれだけでしたね。
反応いかがですか?よかったですね。
皆さんみんな「詩もいいけど絵もいい」という事でいい評判頂きました。
となるとこれまでこの春に2回目を行ったという事ですけれどもやめられませんね。
続きそうですね。
もう私の元気な間はやりたいと。
いや〜すてきです。
ですね。
あの改めてなんですけれども耕平さんの詩や絵にどんな魅力を感じられますか?あの…読む人見る人にまっすぐにストレートに入ってくるというか気持ちが。
それがやはりすごいですね。
何なんでしょうね?そのストレートに入ってくる…。
やっぱりその耕平君の今生活している環境っていうかそういうものが何かすごく優しさに包まれているっていう。
それをものすごく感じますね。
それがやはり見る人にとっても何か温かい感じを受けそれでまた元気をもらえるっていうようなそういうとこあるんじゃないかなと思いますね。
そして同じ絵を描いてるという事でプロの画家の林さんもいろいろ刺激を受けているって事も…。
やはりこの色使いとかそれからこの平面的なインパクトの強さとかそういう事にやはりすごく魅力を感じますね。
私は詩もすてきだし耕平さんの絵も本当にすてきだなと思うんですが林さんがお手紙でね「とてもいいよ」って。
このプロの画家の林さんがおっしゃって下さる言葉が耕平さんの才能を更に開花させてるんじゃないかな。
そうですねそうだったらうれしいですね。
最初はハート展の詩がきっかけだったかもしれないですけど耕平さんの世界がまたこれでグッと広がってすばらしい作品を私たちはこうして拝見する事ができるのかなって感じました。
ありがたいですね。
ありがとうございます。
相乗効果でまたすばらしい作品が生まれていくような気もしまして耕平さんの姿そして交流の様子を本当に見てきましたけれども私たちも何かず〜っとそのコラボレーション見ていきたいなっていう気持ちが…。
ハート展今回で20回目を迎えましたが全国を今巡回しています。
展覧会の情報は番組のホームページをご覧下さい。
是非生で鑑賞して頂きたいと思います。
林さん奥山さん今日はありがとうございました。
(2人)ありがとうございました。
2015/09/22(火) 20:00〜20:30
NHKEテレ1大阪
ハートネットTV「“命”見つめて〜NHKハート展〜」[解][字]
「NHKハート展」に5回の入選を果たした吉元耕平さん(25)を紹介する。「命」をテーマに詩を書き続けてきた耕平さんの世界を見つめる。
詳細情報
番組内容
障害がある人が作った詩をもとに、著名人が絵や写真などを仕上げるアートのコラボレーション「NHKハート展」。今回は、これまで5回もの入選を果たした吉元耕平さんを紹介する。友人の死をきっかけに「命」をテーマに詩を書き続けてきた。7年前、ハート展を通じて知り合った画家林孝三さんと交流を続ける中で、今新たな世界をつくり始めている。耕平さんの日々から、ハート展が耕平さんにどんな意味を持ったのか、見つめる。
出演者
【ゲスト】奥山佳恵,画家…林孝三,【司会】山田賢治
ジャンル :
福祉 – 障害者
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
日本語(解説)
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