NHK短歌 題「日記」 2015.09.22


「NHK短歌」司会の剣幸です。
今日もご一緒に短歌を楽しんで下さい。
それでは早速ご紹介致します。
今日のゲスト俳優の榎木孝明さんです。
よろしくお願い致します。
よろしくお願いします。
榎木さんといえば皆さんおなじみの映画やドラマで大活躍なんですが短歌の方はいかがでしょうか?残念ながら詠んだ事ないんですけれども私の母親が昔から九州のある会に入ってまして物心ついたころから私はその詠む対象として題材でよく取り上げられるんで。
これは楽しみですね。
第三週の選者の栗木京子さんなんですが栗木さんのたっての熱烈ラブコールで来て頂きました。
ありがとうございます。
浅見光彦役の大ファンで是非直接お目にかかりたいと思ってました。
榎木さんといえば30日の不食?不食ですね。
何にも食べないんですか?そうですね。
水けと糖分と塩あめぐらいであと一切食べなかったんです。
30日も?はい。
サラッとおっしゃるところがすごいですね。
私だったら普通の事というかあんまり大した事じゃないなといつも思ってるんですけど10日ぐらいは結構食べない時期がよくあるもんですから。
ただ人間の意識をちょっと変えてしまうとおなかすかないんですよ。
むしろずっと満腹感が30日間続きましたんで食べたいという欲求が起きないんで。
人間には多分その常識の枠を外してあげると眠ってた何かが始動するんじゃないですかね。
スイッチを探さないといけないですね。
ないと思う私は。
皆さんあります。
榎木さんが短歌についてどんなお話をされるのかとても楽しみです。
榎木さんにはこんな形で短歌の番組参加して頂きたいと思います。
えりちょす!はい。
アシスタントのえりちょすと申します。
よろしくお願いします。
えりちょすって珍しい名前ですね。
第一印象がねえりちょすって聞いた時動きも何かこうえりちょす!みたいな紹介する時にえりちょすです!みたいな事するときっともっとインパクト出るね。
私ゲストの方に初めて名前に触れて頂いたのですごいうれしいです。
ありがとうございます。
えりちょす!です。
みたいなね。
今度呼ぶ時もえりちょす!って。
お願いします。
それではこれから栗木さんが選んだ入選歌ご紹介しますがその中で一席だなと思うものを私とえりちょすと榎木さんで選んで頂きたいと思います。
事前に見て頂けてますよね?これがいいと思ったところでその札を挙げて下さい。
それでは入選歌の発表です。
栗木さんが選んで下さった入選歌はこちらです。
一首目です。
手術の前の日にね死を覚悟して日記を書かれたんでしょうね。
文章だけでなくて一首を書き添えたっていうところでこの歌はパッと立ち上がる歌になったなと思います。
私は「遺言」と「一首」の言葉から連想したのが私気持ちは多分侍なもんですから辞世の歌を詠むの昔の武士はね。
戦いに行くというか覚悟して出かけたんですけどどっちかというと死ぬ前に辞世の歌を詠みたいと思ってるもんですから…。
似合いますね。
似合いますね。
したためるって感じで。
では次です。
結句の「驚いている」っていうのがいいと思うんですね。
笑っているとか怒っているというんだと当たり前になるんですけどなぜかいつもびっくりした顔をしているっていうねその子供の感性が伝わってきますね。
榎木さん絵お描きになるから小さいころから絵日記とか?結構いっぱい描いてましたけど小さいころってみんなね多分ワンパターンなんですよ。
私はなぜかいつも家があって女の子がいてお花が咲いてるっていう女性的な。
女系家族ですからきっと影響受けたんでしょうけど。
だからこの人のいつも驚いてる顔っていうのが決まった顔がいつも描かれてるんで目に浮かびますね。
ありがとうございます。
では次です。
日記の端っこにちょっとこう献立っていうか今日何を食べたっていうのメモしておくのはねなかなかいい事だなというふうに改めて思いましたね。
「クラムチャウダー」っていうところがねとってもおいしそうでこの具体性がいいですね。
では次です。
この作者を妊娠した時にお母さんが書かれた日記なんでしょうね。
妊娠してうれしさと不安と書くっていうのは割合よくあるんですけど最後に「市バスの運賃」もなぜか書いてあるというね。
何でしょうかね?分かんないんですけどね。
ここに生活実感があるというか時代の手触りなんかもここから伝わってきたんじゃないでしょうかね。
では次です。
これちょっと質問してもいいですか?「更級日記」というのが私ちょっと分からないんですけど。
これはね平安時代に菅原孝標女という女性が書いた日記なんです。
この人は文学少女で「源氏物語」が早く読みたい。
いろんな物語が読みたいっていうふうな希望を書き連ねた文章が出てくるんですね。
作者もそういう物語好きなんでしょうね。
平安時代と今と重ねた事によってスケールの大きな歌になってるなと思います。
では次です。
はい。
あ〜分かるわ。
すごく共感しました。
私も学生のころ女の子なんで痩せたいって思う時期があったんですけど多分その時にテストで「痩せた」っていうのが出たら多分私も書けなかったと思います。
難しいですもんね。
なかなか使わないのでふだん。
ちょっとやるせないようなかわいい感じの歌ですよね。
ユーモアにまぶしてうたっている。
意外に自己客観のまなざしというのがね冴えたものがあるなと思いました。
では次です。
今回ね私はこういう日記を書きましたっていう作品はねたくさん頂いたんですけれどもこの歌はちょっと違ってて人の日記の中にいろんな私が蠢いている。
登場してくる。
それを想像しながら詠んでるというところがねとてもユニークだなというふうに思いました。
「蠢くや」なんて不気味な感じがあって面白いですね。
では次です。
これもね若いころの思い出でしょうかね。
学生のころだったんでしょうかね。
交換日記なんてね昔はやりましたけど今はもういろんなツールがありますからノートをお互いに渡してって事やらないですけどね懐かしい感じの歌で内容は忘れちゃったんだけどルールだけ覚えてるっていうのもおおらかでリアリティーがあるなと思いました。
では最後です。
はいこれに挙げます。
一緒ですか?もしかして?一緒になっちゃいました。
半世紀…50年たつと多分夫婦っていうのは空気みたいな存在でねお互いいてもいなくても自然な感じがするんでしょうけど50年ぶりに見つけた日記に50年前というと多分女学生ですよね妻の姿はね。
キュンとした思いが思い浮かぶっていうのは何かこれからもっと長い最後まで夫婦円満にいく秘けつかな?もういっぺん新鮮さを取り戻すという意味でね。
そういうのが浮かびましたね。
それがいいんですよね。
書いた日記って。
今ね何でもツールがあるからできちゃうんですけど半世紀前の日記が出てきちゃうなんてやっぱりそのころ忘れてる事とかふいによみがえるわけですよね。
これやっぱりすてきだなと思いました。
愛の証拠が出てきたみたいなね。
語順もいいですね。
最後に「妻の姿が」っていう妻を出したっていうところもね作者の恥じらいも見えてね。
ありがとうございました。
以上入選九首でした。
それでは特選の発表です。
栗木さんまず三席をお願いします。
中川直美さんです。
出ちゃいました。
では二席をお願いします。
中平時裕さんです。
二席で出ちゃいましたか。
ああ出ちゃいました。
では誰も当てられなかった一席をお願いします。
角浦万巳さんです。
「ツノウラマミ」って作者自身の事ですけどね片仮名で表した事によってちょっと記号みたいな感じでお名前自身もとってもチャーミングなお名前で片仮名にした事でより新鮮な感じが出て表記の上の工夫もある歌だなと思いました。
ありがとうございます。
栗木さん恥ずかしながら今日も…今回もというか「日記」で作ってみました。
添削よろしくお願い致します。
すてきですね。
そうですか?時空をふっと超える瞬間でしょ?10年前の日記を見てね。
いや〜とてもすてきな…。
ありがとうございます。
思わぬものを見つけた自分を見つけちゃったという感じ。
実感がそのまま無理なく歌になっていて「我を拾った」っていう最後がいいですよね。
我を見つけたとか…「ふいに見つけた」があるからあれですけどね。
断捨離で捨てるのと拾ったがちょうどね…。
対照的な動詞の選び方がうまい。
「10年前」っていうのもいいんじゃないですかね。
ちょうど時間的には。
40年前だとちょっと古くなりすぎちゃうし。
直すところございません。
このままで花丸です。
ほんとですか?いや〜びっくりしました!ありがとうございます。
では続いて「入選への道」です。
投稿作品にこうすれば入選に近づくというポイントを伺いたいと思います。
榎木さんいかがですか?「ペンの掠れ」っていうのにすごく惹かれるんですけど多分その日の気分によってこの掠れ具合が変わってくるんでしょうね。
その中にいろんな感情が掠れの中に紛れ込むというのは何かとてもすてきに思えますよね。
おっしゃったように内容を読んでというんじゃなくてペンの掠れ具合筆圧の具合であああの時こうだったちょっと思い詰めてたなとかあの時はウキウキしてたなとかっていうのを思い出すっていうところがいいんですよね。
ちょっと惜しいところがあるので直してみました。
これ日記をめくっていたら掠れに気が付いたというふうに続くので「日記繰る」というふうにここで切ってしまわずに「日記繰れば」というふうに字余りにはなりますけれども接続を表す意味の助詞の「ば」ですけれどもそれを入れてつなげると流れが分かりやすくなるかなと思います。
初心者だとどうしても数に収めなきゃいけないって思っちゃうんですけど。
それも大事な事なんですけどね。
流れがよくなれば字余りでもかまわないわけですね。
情景とかがちゃんと見えてくればそっちの方が…でも大丈夫という事ですね。
歌作りの参考になさって下さい。
ここで投稿のご案内です。
続いては選者のお話。
栗木さんのテーマ…読み終わったあとに清潔な余韻が漂う歌だなと思うんですね。
一日の終わり真夜中になって日記をつけようと思って開く。
そうするとふと耳を澄ますと命を燃やし尽くすようにね蝉がまだまだ鳴きしきっている。
その燃焼というか一途さというかそれに心を打たれて私は何も書けないまま白いままの日記を閉じたという歌でね「かなしさに」というところがなかなかいいところでこれは命への愛おしさという意味だろうと思うんですね。
書かなかった日記っていうところもねまたこの歌もちょっとユニークでいいなと思います。
ありがとうございました。
では次のコーナーにまいりましょう。
栗木さん今回は?今回はね前回直喩について勉強しましたけれどもえりちょす覚えてます?直喩って。
はい覚えてます。
○○のようとか○○みたいと例える事ですよね。
そうですね。
でね今回はねそのもう一つの比喩で「隠喩」というのがあるんですね。
それは「ような」とか「みたい」というのを省いていきなり「○○の○○」という形で表す比喩の事なんですけどちょっとねその比喩について穴埋めの練習問題を作って一緒に考えながら学んでいきたいというふうに思っております。
早速一首目まいりたいと思います。
無頼派っていうのはちょっと型破りというかね一匹狼的なアウトロー的な感じのあなたっていう事ですね。
という事はそれと反対のという事ですもんね。
4文字でしょうか?これ。
「○○のような空」の「ような」がないって事ですもんね。
えっと「幼子」。
どうでしょうか?純粋無垢な感じですね。
榎木さんどうでしょう?季節感も一緒に入れたいんで「秋雲の空」ってスコーンと向こうまで抜けてる空と無頼派のその精神がちょっと。
いいですね。
さすがやっぱりスケッチがお得意だから。
絵のような感じ…。
えりちょす。
私ちょっと剣さんと似ちゃうんですけど「少年」。
ちょっと大きくなった。
少年ね。
と出ましたが…。
正解がいらっしゃいました。
すごいですね〜。
「少年の空澄みわたるなり」えりちょす当たりでした。
幼子でもいいんですけど男っぽさがもうちょっと出た方がいいかな。
あ〜なるほど。
うれしい!上の句にヒントが…。
無頼派っていうと大人の男って感じなんですけれどもそれに対して少年っぽさあどけなさっていうのもあるんだよっていうかね。
少年っぽさとそれが対比になるという事ですね。
それでは…。
では二首目へまいります。
これも俵万智さんの歌ですが…。
私は「前へ進まず」ってね実際私も子供3人いて女房が大変な思いをしているんでいつも大変なのを間近に見てるんでちょっと否定的ですけど「試練の時間」と言いたいとこですけどこれ絶対違うでしょうけどもあえてもうちょっと言い進んであげると「煉獄の時間」って時間を「とき」と読ませるとね。
「煉獄」という字をあえて…。
おお〜渋いですね。
まあ違うでしょうけど遊ばせてもらいました。
非常に厳しい時間だったというね。
私はもうちょっとこう苦しみながら楽しんでいるので揺れてる振り子みたいな感覚を思ったんですけど「ワルツ」はどうでしょうか?ウンチャッチャウンチャッチャって言いながらずっと進む。
やっぱり舞台人!きれいですね。
えりちょすは?私も上の句の「揺れながら」に着目して「揺り籠」。
ほんとに目に見える形。
そろいました。
それぞれの方の個性が出てていいと思うんですけれども正解はね「おまえがくれた木馬の時間」。
おもちゃがありますね。
ですからわりとそのままなんです。
子供がおもちゃに乗ってて揺れるけれどもなかなか…子育てってそんなにねすぐに結果が出るってものでないっていうところでですからわりと空想というよりは見たままを。
でも木馬のような時間のようなを取ったわけですもんね。
その時間ってすごく不思議なものに感じますけれども。
「ワルツの時間」すてきだわ〜。
ワルツもすてきですね。
榎木さんどうですか?言われてみれば確かにそうだなと思いますけれども私はちょっと苦しみの方を…マイナスにちょっと考えてました。
語彙が豊富っていうのがこれで分かりますね。
ではもう一首いきましょうか。
はいこの歌です。
パソコンの画面なんかピューッと消えちゃう事ありますね。
私は「深海」!深い海。
私はじゃあ「蛍火」。
蛍がファーッと消えてはかなくあ〜消えちゃったっていうそういうはかなさをちょっと。
映像的に鮮明な発想をなさいますよね。
えりちょすは?私も海ですね。
冬の海ってやっぱり暗いんでそれをイメージして「冬海」。
海が…。
そうですね海とかはかないものとかね手の届かないものっていう感じで皆さんとてもいいと思うんですが正解はね「ただ海底の青ほの光る」。
海の底ですからもう近い。
底っていう言葉を表した事で拾いたいけど底に沈んじゃって手が届かないっていう感じがね深さが出る。
だから深海なんかでも全く同じでいいと思うんですけどね。
ようなとかみたいなを使わない方がすごく想像が広がる感じはしますよね。
シャープにパッと感覚に訴えてきますよね。
いかがですか?榎木さん短歌に触れてみて。
忘れていた語彙を思い出したり日本語の深みがあるのでいい世界ですね。
そうです。
ちょっとやってみたくなったかもしれませんね。
辞世の歌ともおっしゃっていますし…。
そこを目標にしますかね辞世の歌を。
武士の精神で。
文語なんかも使いこなして下さりそうな感じがしますね。
興味はありますけれども全然作った事ないんでね。
とってもすてきな絵をお描きになるので。
絵もね風景を見て一瞬に時を捉えて描くんで現場で全てやってる意味ではこの世界と多分似てますね。
たまたま表現方法が違うだけでね。
切り取る…ね〜。
正岡子規以来やっぱり写生っていうかスケッチと短歌や俳句っていうのはものすごく相性がいいので。
そう言われると子規もこうやって描いてそこにね…。
ヘチマの絵の横にね自分の歌や俳句を描いたり…。
榎木さんも是非ご自分の描いた風景画の横にサラサラサラサラサラ。
今後目標1つ増えました。
不食が終わったあとは短歌作りを。
お母様と競い合って頂いて。
母が残した本もあるんでもういっぺん勉強し直そうかな。
ご本も出された?ええ素人のものですけど。
こうやって並べてね…。
見てみたいと思いますのでまた次回いらっしゃって下さい。
今日はありがとうございました。
栗木さんまた次回お願い致します。
それでは皆様来月またこの時間にお目にかかりたいと思います。
2015/09/22(火) 15:00〜15:25
NHKEテレ1大阪
NHK短歌 題「日記」[字]

選者は栗木京子さん。ゲストは俳優の榎木孝明さん。今回の学習テーマは「隠喩」。比喩のひとつだが「何々のような」と言わないで何かにたとえる高度な表現方法。司会 剣幸

詳細情報
番組内容
選者は栗木京子さん。ゲストは俳優の榎木孝明さん。今回の学習テーマは「隠喩」。比喩のひとつだが「何々のような」と言わないで何かにたとえる高度な表現方法だ。【司会】剣幸
出演者
【ゲスト】榎木孝明,【出演】栗木京子,えりちょす,【司会】剣幸

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ドキュメンタリー/教養 – 文学・文芸
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