きょうの健康 慢性副鼻腔(くう)炎「3つの治療法」 2015.09.22


「きょうの健康」です。
今日も昨日に続きまして鼻の病気「慢性副鼻腔炎」についてお伝えします。
昨日は1日目注意すべき「3つのタイプ」をご紹介しました。
そして今日2日目ですが…お話は…耳鼻咽喉科で鼻の病気特に慢性副鼻腔炎の治療がご専門です。
どうぞよろしくお願い致します。
よろしくお願いします。
改めまして慢性副鼻腔炎どんな病気なのかそこからまた教えて頂けますか?まずこういった鼻の周りに副鼻腔という空洞が…。
この青い所ですね。
青い所ですね。
こういった所左右に4つずつあるんですが計8個あります。
そうなんですね。
こういった所に炎症が起こって鼻水や鼻づまりあとはにおいがしなくなったりそういった症状を起こす病気が副鼻腔炎といわれます。
この症状が1か月未満ですと急性副鼻腔炎といわれ3か月以上ですと慢性副鼻腔炎といわれております。
副鼻腔炎にもタイプがいろいろあるという事でしたね。
そうですねこの3つのタイプが代表的なものとしてありまして…この従来の慢性副鼻腔炎いわゆる蓄膿症の場合は原因として細菌やウイルスこういったものが引き金で起こります。
そういったものの感染が引き金で起こります。
症状はドロドロとした鼻水が出て鼻づまりがひどくなったりほお骨の辺りに痛みを感じたりします。
そしてこの好酸球性副鼻腔炎ですね。
これは好酸球というのはそもそも白血球の一種でこの好酸球は何らかの原因で増加すると副鼻腔炎を引き起こします。
従来の慢性副鼻腔炎に比べるとそんなに多くはないんですが大体10対1ぐらいの割合でこの好酸球性副鼻腔炎の方がいらっしゃいます。
そしてその真菌症カビができるという事なんですね。
そうですね。
これも副鼻腔炎の一種なんですけれども真菌症といいます。
左右どちらかの副鼻腔にカビの塊がたまって悪臭を伴う鼻水が出たり鼻づまり鼻血などが出る非浸潤性といわれるものこれがほとんどなんですけれどもまれに浸潤性といわれる方がいらっしゃってこういう方は抗菌薬ステロイドとかこういったものを長く使用してらっしゃったりとかあとは糖尿病などで免疫が低下している方に起こる可能性があります。
こういった方々も症状が出ない事もあるので気付かないまま別の検査を受けて気付かれるケースもありますので注意が必要です。
という事で昨日は「3つのタイプ」について伺った訳なんですが今日は「3つの治療法」について教えて頂けたらと。
耳鼻咽喉科を受診して詳しく検査をして頂ければ自分がどのようなタイプかというのが分かります。
そのタイプによって効果的な治療法がそれぞれありますので今日はその話を致しましょう。
この3つの治療法になる訳ですね。
そうですね。
副鼻腔炎の治療大きく分けて3つあります。
直接そういったものを取り除く方法が手術となります。
それぞれのタイプによって治療のしかたも変わってきます。
どういう事でしょう?大きくは治療の順序が変わってきますので…。
順番が違う?そうですね。
まずは一番患者さんの多い従来の慢性副鼻腔炎いわゆる蓄膿症についてご説明致します。
いわゆる蓄膿症ですねこれに関してはまず局所療法と薬物療法を行います。
これを3か月間このぐらい治療しても改善が見られない場合には最終的に手術という方法を選択します。
まずその局所療法ですねこれはどういう事になりますか?局所療法というのはいろいろあるんですが直接患部に薬を投与するような方法です。
まず鼻腔や副鼻腔ですねこういった所にたまった鼻水や膿を洗浄してネブライザー治療を行います。
ネブライザーよく聞きますけれども。
これですね。
これは喉の炎症やぜんそくなんかでも用いられるんですけれどもこの場合は鼻から直接霧状にした抗菌薬をこのように吸入してもらいます。
次に薬物療法についてもご説明しますと従来の副鼻腔炎の場合はマクロライド系抗菌薬こういったものを処方します。
これは主に鼻水を抑える事を目的としてるんですが実際には抗菌薬ですので感染症などでよく用いられます。
ただ副鼻腔炎の場合はその半分の量で長くのんで頂くというのが特徴ですね。
この薬の効果としては鼻水の量を減らしたりとかあとは鼻水を出やすくしたり中から出やすくしたりあとは鼻の免疫を高めるという効果もあるといわれています。
このお薬のほかにも鼻水をサラサラにするお薬とかあとは治療中に細菌感染ひどい感染を起こした場合には殺菌力の高いペニシリンなどを使う場合もあります。
この薬物療法は大体7割の方に効果があるんですけれども3か月間続けても症状に改善が見られない場合には手術を行います。
手術という事でどんな手術になるのかちょっと心配ですけども。
まずこれは内視鏡で鼻の中をのぞいて鼻のポリープ鼻ポリープですね。
俗に鼻茸なんていいますけども。
この中央にあるこれがそうなんですけれどもこういった画像です。
こういった場合鼻づまりなんかはひどくなりますので取り除く必要があるんですね。
実際昔は歯茎を切ったりとかかなり大がかりな手術をしていたんですけれども今はこのように内視鏡でよく見えますのでそういった内視鏡と器具を鼻から入れて手術を行っています。
それによって不必要な部分を傷つけずに手術を行う事ができますので入院期間も1週間程度で済むようになりました。
必要最小限の手術でもうよくなったという事なんですね。
そうですね。
こちらは手術前と後のCT画像なんです。
こちら左が手術前なんですけれどもこれこちらが目で…こちらですね。
あとはここに鼻があってここに口があるんですけれども顔の前から輪切りにしたような写真ですね。
副鼻腔こういった本来は空洞なので黒く写ってこなきゃいけない所に灰色に写ってるんですね。
灰色の部分が膿とか?膿とか腫れとか。
これがご覧になって頂いたように手術後はですねこの黒い所がしっかりきれいに増えているのがお分かりになると思うんですけれどもこのように手術によってきれいになるんですね。
実際これによって今まで分からなかったにおいが分かったりとか鼻の通りがよくなったりとかほとんどの方に症状の大幅な改善が見られます。
それはいいですよね。
うれしいですよね。
そして3つ目の治療法ですけれども好酸球性副鼻腔炎ですねこの治療としては?好酸球性副鼻腔炎の場合は局所療法や薬物療法というのが十分効果がないのでまず手術を行うのが特徴ですね。
手術に関しては目の近くにある副鼻腔に病気が起こりやすいという好酸球性副鼻腔炎の特徴がありますので…こちらですね。
こちらのこういった蜂の巣の構造ですねこういう蜂巣というんですが蜂の巣の構造になってますのでまずは壁を取り除いて効果的に薬物の投与とか局所療法というのを行えるようにするのが特徴です。
手術で壁を取り除いて一つの空洞ですねこちらを一つの空洞にする事によってそういった治療を行うようにしてそれをずっと使って頂いて維持を行うというのが治療の特徴ですね。
壁って取り除いても大丈夫なものなんですか?よく悪い菌が入りやすくなるとかそういった心配をされる方もいらっしゃるんですけれども鼻の中に線毛という細かい毛が生えてますのでそれが異物を外に出す機能がちゃんとあって実際これを取り除いても大きな問題が起こる事はありません。
好酸球性副鼻腔炎の場合は効果的な局所療法と薬物療法を行うために手術を行うんですけれども実際には…。
手術を行うと。
そして薬もある訳ですね。
そうですね。
実は好酸球性副鼻腔炎従来の慢性副鼻腔炎のお薬は効かないので原因としては白血球の一種である好酸球が何らかの原因で増加して副鼻腔炎を起こしてますので過剰な好酸球の働きを抑えないといけないんですね。
そのために好酸球に効果的なステロイド薬とかロイコトリエン受容体拮抗薬というものを一般的には用います。
副作用を予防するためにステロイド薬は基本的にはのみ薬ではなくて先ほど手術して局所療法しやすくなってますから点鼻薬を使用します。
ただ残念ながら一時的に炎症が強くなる方もいらっしゃいますのでそういう場合に限ってのみ薬として使用する場合もあります。
そして今度は真菌症ですね。
これカビなんですね。
副鼻腔真菌症の場合は残念ながら必ず手術が必要なんですね。
必ず手術。
はい。
これは内視鏡で見た副鼻腔真菌症の真菌塊という真菌の塊なんですけれどもカビの塊ですね。
こういったカビの塊は一度できてしまうと取り除くしか方法がないので必ず手術で取り除きます。
これは非浸潤性といわれるものなんですけれども浸潤性といわれるカビが目や脳にまで達するものの場合はそのあとに薬物療法どうしても全部取り除く事ができないので抗真菌薬という薬物療法を行います。
手術後にという事ですかね。
そうですね。
それぞれの治療法がある訳ですけれどもそれである程度改善したら治ったと考えてもいいんですか?そうですね一旦は治ってもどうしてもどのタイプにおいても再発のおそれはあります。
ですので特に好酸球性副鼻腔炎の場合には再発の可能性が高いといわれてますのでそれを予防するために鼻の洗浄や点鼻薬をずっと継続して頂かないといけないので症状が改善しても自己判断で治ったと治療をやめずに必ず医師の指示に従って頂く事が必要になると思います。
通院して病院に通って治療を続けるという事になりますか?そうですねそれもあるんですが好酸球性副鼻腔炎の場合にはご自宅で鼻洗浄を行う事も可能です。
このように市販されている鼻洗浄器を使って鼻の中を洗う事ができます。
その中には何が入っているんですか?この中に生理食塩水ですね。
実際普通の水道水ですと鼻がツンとしてしまって痛いのでそういったものを使って洗って頂く事が。
じゃあこちらでタオルを用意してありますので私に教えて頂けますか?これは確かに入ってますね。
このノズルの先端を鼻の中に入れればいいんですね?そして…。
頭を軽く下げて頂いて息を吸わずに…。
これでいいんですか?はい。
タラタラになって…。
これを何回かすればいいんですか?そうですね。
一応入ってる分全部やって頂くのが本来の。
頻度としては一日にこれをどれぐらいしたらいいんですか?一日1回やって頂ければ問題ありません。
ただ好酸球性副鼻腔炎の方ですとこれを生涯やって頂くような形になります。
なるほど。
でもなかなか生理食塩水って作った事がないんですけれどもどういうふうにして作ったらいいんですか?ご自宅でも簡単にできまして…それを予防として続けるという事なんですけれどもほかに予防法としては何かあるんですか?一般的な話になってしまうんですけれども風邪にならないように気を付けたりとかあとははなをすすらずによくかんで頂いてはなをためない。
すするんじゃなくて。
そうですね。
出して頂いて。
それでも風邪にかかった場合はしょうがないと思うんですがそこで一番大事なのは副鼻腔炎かもしれないと気付かれる事だと思います。
例えば風邪だと思って薬をのんでもなかなかよくならない。
長期間治らないあるいはにおいが分からないとかこういったものが長く続く場合には耳鼻咽喉科を受診して頂いて相談してみて下さればいいかなと思います。
2日間にわたって伺った訳なんですが改めてメッセージをお願いできますか?このように慢性副鼻腔炎といわれるものに関しては3つのタイプ…それ以外にもあるんですけれどもそれぞれに適切な治療がありますのでそのタイプをまず知る事が重要ですのでまずはそういった受診をして頂いてタイプを知って頂いて適切な治療を行って頂ければと思います。
ご年配の方でも手術をなさる事が…。
手術が内視鏡でかなり楽になってますので80代90代の方でもこれならやってみようと思われて手術をお受けになる方もたくさんいらっしゃいます。
気になったら症状が続いたら病院でという事ですね。
どうもありがとうございました。
2015/09/22(火) 13:35〜13:50
NHKEテレ1大阪
きょうの健康 慢性副鼻腔(くう)炎「3つの治療法」[解][字]

慢性副鼻腔炎には複数のタイプがあり、それぞれのタイプによって治療法が異なる。有効なのは「局所療法」「薬物療法」「手術」の3つ。それぞれの治療法を詳しく紹介する。

詳細情報
番組内容
慢性副鼻腔炎はタイプによって治療法が異なる。「従来の副鼻腔炎(蓄のう症)」「好酸球性副鼻腔炎」「副鼻腔真菌症」など、注意すべきタイプに対して効果的な治療法は主に3つある。薬を直接患部に当てる「局所療法」と、のみ薬としての「薬物療法」、さらに鼻ポリープの切除や、局所療法を効果的にするために副鼻腔内の清掃などを行う「手術」。これらを使った、タイプ別の治療法に加え、セルフケアの方法などについても解説する
出演者
【講師】東邦大学医療センター大橋病院教授…吉川衛,【キャスター】桜井洋子

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情報/ワイドショー – 健康・医療
福祉 – 高齢者
趣味/教育 – 生涯教育・資格

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