先に総評
「粘着型エンジンで成長するプロダクトの極み」という印象。また、アーリー・アダプターに好かれつつレイト・マジョリティに満足してもらうってのは苦労するんだなっていう。最下部にまとめがある。
2010にPhilLibinがEvernoteの収益統計を語った際のTechCrunch記事によると
・2004年ローンチ、2009年時点ではlicense課金(?)が収益の柱だった
・2010/5時点では個人有料アカウントのほうが収益で上回り、その額は月に30万ドル〜40万ドルほどになる。一方で、license収益は4.5万ドルだ
・310万人のユーザーが存在し、そのうち6.8万人(2.19%)がプレミアムアカウントである
・新規ユーザーのプレミアムアカウントへのCVRは0.5%だが、2年以上使用しているユーザーのCVRは20%
・アクティブユーザー1人を獲得するコストは月9セント
とのこと
記事中コメント抜粋
「前時代の人々は『必ずしも良いプロダクトを作っても売れるワケじゃない』といってマーケティング等々に走っていたが、今後は『良いプロダクトは他の全てを無料で得られる』という時代だ」
「時間を経る毎にレベニューに繋がる確率が上がる設計が重要だ」
「新規ユーザーからできるだけ早く収益を得ようとすると、とくに『早過ぎるスケール』状態に陥ってバーンレートを上げかねない」
さらに2014年のEvernoteの収益モデルに関する記事によると
・新規ユーザーの有料版CVRが0.5%
・1年継続利用したユーザーのCVRは7%
・2年利用で11%
・4~5年利用で25%
・2013/12時点でユーザー8000万人
・ビジネスアカウントを開始
・マーケット(通販)を開始
・Evernoteが100万ドル売り上げるのに16ヶ月かかっている
・Evernoteビジネスは5ヶ月でそれを達成している
・Evernoteマーケットは1ヶ月
・Evernoteマーケットは収益の30%に達している
・Evernoteビジネスは9%
・Evernoteプレミアムは61%
・以前は、Evernoteプレミアムが89%でビジネスが11%だった
・Evernoteベーシック/プレミアム/ビジネスはお互いカニバってる
・Evernoteマーケットはカニバらない
・Evernoteベーシックのユーザーがマーケット購入者の51%
・登録すらしてないユーザーが11%
・Scansnap Evernote Scanner / backpack / Jot Script Stylus が売れていて、マーケット売上の30%
Evernoteがユニコーン落ちしたという2015年の記事によると
・2012年に7000万ドル調達して合計調達額1.66億ドル
・バリエーションは10億ドルを超えたのでこの時点でユニコーン
・CEOはGoogleXでGoogleGlass作ってたChris O'Neillに交代
・前CEOのPhil Libinは辞めた2ヶ月後にGlobalCatalystというVCに入る
・VC転身記事によると「アーリーステージのパズルを解くほうが好きだから、経営をできる人を探したんだ」とのこと
・GlobalCatalystは6.75億ドルの7号ファンドを出した(比較としてYJ2号ファンドが2億ドル規模)
・Libinは昔から自分でスタートアップ投資をやっていて、TwitterにTellApartというアドの会社を5億ドルで売却した経験もあるらしい
まとめ
上記赤字の部分が今の自分に一番重要な情報だと思った
データが正しいとするなら、2010/5は2年継続で20%CVだったのに、2013/12は2年利用で11%CVになっていて、約4年間の間にプロダクトの質として弱体化しているっぽい
理由を考えてみたけど、ユーザーが310万人から8000万人に増えているので、レイト・マジョリティにとって最適なユーザービリティってわけじゃないよなって思った。
僕自身Evernoteからはもう離れられないけど無料ユーザーで、ビジネスアカウント用に作ったであろう機能などが使い方が分からなかったりするし、僕はメインのターゲットペルソナじゃないんだろうなという節がある。それでもまだまだ便利なんだけど、もうちょっとやりようがあるだろと思う。
なので、ちょっくらステルスで作ってるものがある。売れたらいいな。
※ 3次情報以下の質なので誤りを含んでいる前提で読んで欲しい
※2 随時加筆する
※3 slackやdropboxとも収益モデルを比較したい