東京急行電鉄インタビュー vol.3 リーダー育成を通じて「強い企業集団をつくる」

東京急行電鉄株式会社 人材戦略室人事開発部 ダイバーシティ・キャリア開発課課長の朝倉敦子様にお話を伺い、JMAがご支援している東急グループの経営人材育成体系と、その体系を継続するなかでの成果や新しい取り組みについてご紹介いただきました。JMA 副島一隆がインタビューします。(文中敬称略)

※東急グループ様の経営人材育成体系の全体像については第1回をご参照ください

リーダー育成を通じて「強い企業集団をつくる」

(副島)
ALDPの話に戻りますけれども、3年前に新たに導入したということですが、この企画を、例えば朝倉さんの上司に進言をする段階ですとか、あるいはグループ会社の皆様に賛同を得る段階ですとか、企画や実行に移していく上で、悩みや不安、障壁などありましたら教えていただけますでしょうか?

(朝倉)
実は思ったほど、障壁はなかったのですよね。ただ、確かに新しいことをやる上での大変さはありました。

中長期ビジョンで、「ひとつの東急」というフレーズで強い企業集団をつくるというのがある中で、連結経営人材の育成というのが私のミッション、重点政策だったのです。

2012年から行っていますが、グループ連結の子会社にいい人材を獲得することを目的として、電鉄が事務局となり、グループ採用を行っています。

IMG_9476就職先は各社ですけれども、個社だと会社の規模が小さかったりしてなかなか手厚くやれないこともあります。それを解消するために、募集活動などを中心に一緒にやっていこうという動きをしています。採用できたいい人材が育っていくためにも、採用後の人材育成の支援までできないかと考えていました。その発想を持った中の1つが、ALDPだったのです。

 

実は今階層別研修の一部は、連結主要会社の一部については電鉄に相乗りしていただいていています。私どもの階層研修をご案内して、お役に立てるのであれば使ってくださいという形ですね。今は電鉄の社員が半分、連結主要会社からの参加者が半分という感じで、グループ内異業種交流みたいな階層別研修をやっているのです。

(副島)
グループ内他流試合、よい刺激になりそうですね。

(朝倉)
ただそれは階層別教育が行われている一定年齢までが対象なので、そこから先、先ほど申し上げた経営人材の育成は40代半ばにならないと、なかなかチャンスがこない。
そうするとさすがに遅いなと思って、それで、ALDPを始めた、というところだったのですよね。

(副島)
では、ALDPという研修をやりますということをグループ会社の皆様にお伝えした時の反応はいかがでしたか?

(朝倉)
それはですね、とてもよかったです。

(副島)
待ってました、という感じだったのでしょうね。

(朝倉)
まず、連結会社の人材育成というのがミッションとしてあったので、上司に最初にこの企画の話をした時も大筋賛成でした。課題は、運営に要するマンパワーや、講座内容でした。。企画を固めて各社に行った時も、「事務局は私たちで、手間の部分はこちらでやるのでどうでしょう」と話をしたところ、すでにアカデミーの他の階層の経験から良しと思ってくださっていたので、あとは予算次第というところで比較的スムーズに話が進みました。予算も、参加しやすいように他の研修に比べてホテルも使わず、会場も各社の持ち回りという形にしました。

(副島)
企画だけでなく、各社の育成担当者が派遣しやすい環境も整備されたのですね。

(朝倉)
課題があるとすれば、今の人数よりも受講者を増やしたいというところです。もちろん各社がその分の予算を捻出できるのかというのはあると思いますけど、会社によっては複数の受講生を申し込んでくるところもあります。本当は各社、全員とは申しませんけど、枠が広がればもっと多くの社員に参加させたいというニーズがあると思っています。年度内に2クールを回せるようにしたいという意気込みはあるのですけど。マンパワーが追い付かないのが現状です。

(副島)
若い層に対してこのような研修を、グループ各社の皆様は待ち望んでいた感があったのかもしれないですね。

(朝倉)
多分アカデミーの上の階層の成果、それは学びの成果もそうですし、ネットワークの成果というか、アカデミーにいくといろんな出会いもあって、受講者がすごく刺激を受けて帰ってくる、というのが実感としてあったのだと思います。

ですから思ったよりも各社の反応はよかったです。逆に、「もっと出したいのですが」と言われて、「いや、わかりますけど、申し訳ないです。」という感じでした。

中堅リーダー育成プログラムのこれまでの取り組みをどう評価するか

(副島)
ALDPはマイナーチェンジをかけながら今年で3期目になります。朝倉さん個人として、現在のところ、このALDPをどう評価されているのか、目的の達成度合いの観点からお話いただけますか?

(朝倉)
ALDPの目的は3つあります。1つは、将来の東急グループの経営者候補予備軍を育てること。

2つ目に、東急グループ内の他流試合による人材育成ということ。これの意味は、東急グループには様々な会社があって、いい意味での異業種交流ができるので、そこでいろんな引き出しや、新しい価値観を知る・考える、触れるという場にするということです。

3つ目に中堅リーダーである彼らの間で絆を築いて、グループ連携力、つまり会社をまたいでネットワークをつくるということ。

この3つの目的に照らして考えてみると、1つ目の経営候補になっているかどうかはまだ測れないですけれども、残りの2つの目的については1期、2期で成功しているのではないかなと思います。

これは上司も言っていましたけど、尋常じゃない盛り上がり方で、すごいんですよ。
毎回の研修内の議論も盛り上がるのですけど、研修が終わった後に飲みに行って盛り上がって。

(副島)
自主的にですか?

(朝倉)
そうですよ。びっくりするぐらいのネットワークですね。しかも嬉しいことに、同窓会というんですかね、1期、2期の卒業生同士の会とかもさっそくやり始めてくれています。

そういう会合をやってもらいたいなと思っていたので、私も多少は口に出していましたが事務局のお膳立てなしに、自主的に開催をしてくれました。こういった動きを期待していたのです。

アカデミー全体としても10年目を迎えるので、全体としての同窓会ができないかと思っています。各層の横の連携はできているので、それが横だけじゃなくて縦につながるような会と言いますか、要はそこの中での人脈を活かしたいと思っているところです。

(副島)
それはいい取組ですね。

(朝倉)
例えば近況報告をしたりですとか。卒業生から社長が出ていれば、その社長のお話でもいいですし。そんな場があるといいと考えています。

~つづく 3/4~

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