仙谷由人氏「崔相龍氏は政治的な師匠」

「韓日の文化財問題解決に向け、両国の共同調査システムの整備を」

 この日の基調講演で仙谷氏は「1990年、サハリンに残留していた韓国人の問題をめぐり、大邱で行われた中ソ離散家族会の総会に出席し、衝撃を受けた。日本が韓国人の土地はもとより、言語や名前、文化まで奪い、強制連行して過酷な労働を強要したことは、いくら謝罪しても許されないほどの行為だと知った。民族のアイデンティティーを破壊するのは、植民地支配の中でも重大な犯罪だ」と述べた。その後、仙谷氏は東京大学に「近現代史研究会」を設立し、日本と中国、韓国との関係などを学んだという。さらに、駐日韓国大使を務めた高麗大学の崔相龍(チェ・サンヨン)名誉教授を「私の政治的な師匠」として紹介した。

 一方、仙谷氏は「3年前に安倍政権が誕生したのは、野田内閣による尖閣諸島(中国名:釣魚島)の国有化や、韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領による独島(日本名:竹島)訪問が影響した」と述べた。安倍氏は当時、首相候補としては自民党内でも3番手にすぎなかったが、李大統領の独島訪問や、尖閣諸島問題に対する中国の対処などによって、日本国内のナショナリズムに火を付け、結果的に安倍政権を実現したというわけだ。その上で「東京大学の三谷太一郎名誉教授は『学者はナショナリズムの防波堤になるべきだ』と常に話しているが、私は政治家もナショナリズムの防波堤になるべきだと思う」と語った。

 「物としての文化財を、本来あった場所に戻すということも重要だが、文化財が有する意味や価値を互いに共有するということも重要なのではないか。東アジアという地域内で、韓国と日本の国民がさまざまな文化を相互に共有しながら発展してきたということを忘れず、文化財の問題を考えていけばよいと思う」

許允僖(ホ・ユンヒ)記者
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