【ニューヨーク=杉本貴司】排ガス不正問題を受けて独フォルクスワーゲン(VW)のブランド力が急落している。英調査会社ブランド・ファイナンスは24日、VWのブランド価値がすでに100億ドル(約1兆2千億円)毀損したとする調査結果を明らかにした。ブランド力が向上している局面での失態で、信頼回復への道のりは遠いとみている。
ブランド・ファイナンスによるとVWのブランド価値(傘下企業除く)は不正発覚前には310億ドルで、自動車メーカーとしてはトヨタ自動車(同、350億ドル)、独BMW(同、331億ドル)に次ぐ3位。不正発覚でブランド価値が3割も毀損したことになる。同価値が2014年の270億ドルから急上昇していた矢先だったとしている。
不正の追及は欧州も含め世界規模に広がっており、現時点で信頼回復までにどの程度の時間が必要かは読み切れない。ブランド・ファイナンスが比較対象としてあげたのが、09~10年に米国で大規模リコール(回収・無償修理)を起こしたトヨタだ。
当時のトヨタのブランド価値の下落幅は2年で10%にとどまった。それでも同価値がリコール問題以前の水準に戻ったのは14年になってからだという。今回のVWの不正問題ではすでに価値の下落率が3割を超えており、当時のトヨタと比べても深刻なようだ。
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