栗城史多さん、エベレスト登頂を断念「生きて戻れない」12年に指9本を切断

2015年9月27日8時1分  スポーツ報知

 世界最高峰エベレスト(8848メートル)の単独・無酸素登頂を目指していた登山家の栗城史多さん(33)が27日、登頂を断念した。同日、自身のブログで「全力を尽くしましたが、ラッセル(深い雪をかきわけて進むこと)で長い時間が掛かり、このまま進むと生きて戻ることができないと判断して、悔しいですが下山を決めて最終キャンプまで戻ってきました。皆さんからの応援に、本当に心から感謝です」と報告した。

 今回は栗城さんにとって5度目のエベレスト挑戦だった。2012年の4度目の挑戦で西稜ルートからの登頂を目指したが、7700メートル地点で敗退。自力下山が不可能となり救助され、ヘリコプターでカトマンズの病院に搬送された。命には別条なかったが、両手指などに負った凍傷が悪化し、右手親指以外の9本の指を切断した。

 エベレストへの夢は諦めずに2014年に再起し、同年7月、単独・無酸素でのブロードピーク(8047メートル)の登頂に成功。9本の指は第3関節が残るのみで「1・5倍ぐらいの時間がかかりますが、靴のひもやロープも結べるようになりました。不便なのは牛丼屋の自販機のお釣りが取りにくいぐらいですよ」と笑い飛ばしていた。

 今回のエベレスト挑戦は今年4月のネパール大地震でエベレスト山域でも被害が起きて以降、世界的にも初めてとみられていた。

 低酸素室などでのトレーニングを繰り返し、最高峰に耐えうる体作りを心がけ、8月21日に羽田空港から出発。9月4日に6119メートルのロブジェ・イーストに登って高度順化し、7日にベースキャンプ(5300メートル)入り。16日に登山活動を開始して25日に最終キャンプ地の7700メートル付近に到達していた。

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