政府の行政刷新会議は28日、事業仕分け第3弾の2日目の討議で公共事業予算を管理する社会資本整備事業特別会計を「廃止」と判定した。同特会を財源とするスーパー堤防事業も「廃止」としたほか、道路整備など5事業で「10~20%の予算圧縮」を求めた。民主党が掲げる「コンクリートから人へ」の方針を反映させたが、公共事業関連予算の大幅削減には反発も予想される。
同日は社会資本整備事業、年金、国債整理基金の各特会を討議。社会資本整備事業特会の5勘定のうち港湾整備など4勘定を一般会計化すると結論づけた。
仕分け人の長妻昭前厚生労働相は「時代の変化とともに区分経理する理由がなくなった」と指摘した。
空港整備勘定は将来の廃止を前提に、国や地方の管理下にある全国の空港の民営化を進める。国は従来、過剰な需要予測に基づき特会を使って地方空港を増やし続けており、無駄が指摘されていた。
約1兆円もある累積借入金を国民が負担するのを避けるため、一般会計化は見送った。当面、区分経理を維持する。
社会資本整備事業特会を財源とする8事業では、道路整備や治水など5事業は来年度予算要求の「10~20%圧縮」、空港整備・維持運営でも「10%程度の圧縮」を求めた。通常の堤防より幅の広いスーパー堤防の整備事業の廃止は、これまで約7千億円を投じながら計画の約6%しか整備できていないのが理由だ。
年金特会では、加入者に年金記録情報を郵送する「ねんきん定期便」事業について、インターネットで情報を確認できるようにして郵送費などを削減。そのうえでインターネットで保険料納付情報を確認できる「ねんきんネット」事業との将来的な統合を求めた。
国債の償還や利子の支払いに備えた資金を管理する国債整理基金特会では、12.5兆円の積立金について「埋蔵金と呼べるものではない」とし、財源捻出(ねんしゅつ)目的の切り崩しを認めないとした。
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