能力者たちを救う唯一の策。

病室、装置。
主人公、目覚める。
回想映像、右目への一撃。
現在の主人公絶叫、拘束帯、崩壊の能力発動。
直後、左腕に注射器を刺される。
発動停止。
有宇。「痛い」
七野。「手術からまだ2日しか経っていない」
金髪男子、容赦ない?
有宇。「何故動けない」
「医者に訊いてくれ」

OP復活。

目時。「有宇君、大丈夫?」
作戦通り、崩壊は防げた。
七野。「こんなのは作戦とはいわない、ただの処置だ」
目時。「打ったあと何もしてないじゃない!?」
「医者じゃないし」
有宇。「あの」
何が起きて?
「友利は?」
前泊。「無事だよ」
入院してる。
目時。「熊耳のおかげでね」
有宇。「熊耳さんは?」
間。
「まさか」
目時。「ええ」
ショックを受ける主人公。
七野。「お前が自分の能力で自らをかばってる間にな!」
目時。「タイムリープ能力に賭けようっていったのは、アンタなのよ、忘れたの!?」
有宇。「そんな」
「向こうは貴方のタイムリープ能力は必要ないと判断したみたい」
崩壊の能力、人質を盾におさえこもうと。
「お互いの誤算の結果ね」
有宇。「僕のせいだ」
「自分を責めないで」
背景映像、窓の外、鳥。
有宇。「こんなことが、これからも?」
目時。「今回の犯人たちは、前泊の能力で記憶を消しておいたけど」
誰が貴方を狙ってくるか。
「目覚めてよかったわ」
交代で見張ってた。
前泊。「時間だけど」
七野。「だな」
有宇。「まだ訊きたいことが」
目時。「何?」
「何故、兄さんがいない?」
七野。「殴らせてくれ!」
「どういうこと?」
目時。「お兄さんにとって、熊耳は1番の親友だった、ってことよ」
背景映像、屋上、兄の背中。
回想映像、熊耳の葬儀。

ノック音。
有宇。「どうぞ」
歩未。「アユなのです~」
大丈夫なのでしょうか!?
「右目はもう見えないって」
「死んでいたかもしれないような大事故だったらしい」
生きてるだけでも。
主人公、本当のことは話さないらしい?
「リハビリをすれば、以前とほとんど変わらない生活が」
視聴者的には、妹さん、兄が2人とも目に問題、らしい?
有宇。「施設の生活は?」
「みんな優しくしてくれるので!」
でも、隼お兄ちゃん、元気がなくて、心配。

時間経過。
有宇の心の声。「歩未を僕は1度目の前で失っている」
熊耳さん、兄さんにとっては、同じ。
僕が死んでいたら、歩未はどうなって?

ノック音。
有宇。「どうぞ」
高城。「ご無沙汰しております」
「確かにすごく久しぶりな気が」
「痛々しいお姿!」
そんな乙坂さんに、こんな差し入れ!
視聴者的には、まさかの牛タンカレー?
保温機能つき弁当箱。
高城。「中身は!」
ドラムロール。
ミーハー君、器用だな?
有宇。「この匂い、まさか!?」
「2人の思い出、牛タンカレーです!」
「こんなところで再会できるとは!」
「食べさせて差し上げます!」
「頼む!」
美味ーい!
「学園生活を思い出すよ!」
「青春の味です!」
飽きるまで!
主人公とミーハー君、いいコンビだな?

時間経過。
眼鏡男子、洗い物。
有宇。「友利の様子は?」
高城。「貴方より、ずっと軽傷なので」
もうすぐ退院。
「いろいろ大変だったみたいですね」
友利さんと一緒に、生徒会に。
「ユサリンと2人だけの生徒会も、素晴らしいですが」

ノック音。
柚咲。「お見舞いに来ました~!」
こんな物を作ってきた。
有宇。「もしかしてクリームシチューか?」
「正解です!」
手作りクリームシチュー、元気の源、黒羽家では重宝!
「病にも怪我にも、効果てきめんなんです!」
アイドルさん、ここは笑うところなんです?
有宇の心の声。「そんな意味があってあの日、クリームシチューを」
「あーんしてください?」
有宇。「うん、美味い」
元気が出てきた気がする。
有宇の心の声。「こんなところ、高城には見せられないな」

時間経過。
アイドル、洗い物。
有宇。「美砂、いるか?」
柚咲。「はい?」
能力発動、アイドル姉が表出。
美砂。「死人に何の用だい」
「人は死んだらどこへ行く?」
「アタシはまだここにいる」
柚咲が手に持つ風船のような存在。
「能力が消えたら、アタシという風船は、簡単にどこかへ」
「今のうちに大切な人に会いに行くべきなんじゃ?」
「急に何だよ?」
「僕は、死にかけるような体験を」
いつ自分がいなくなるかも。
「行けるときに会いに行くべきだ」
「アタシも1度死んでるし、解らなくもねえが」
それ、よく食べてた。
「お袋の得意メニューだったんだが」
柚咲が真似て。
有宇の心の声。「うちと同じだ」
「アタシは柚咲と違って親不孝者だ」
死んじまったのが1番の。
有宇。「親に会いに行けよ」
力、失われる前に。
美砂。「参考にさせてもらうよ」
アイドルの姉、引っ込む。
柚咲。「また寝て!?」
「質問だけど、お前の両親は?」
「長野県の山奥で、蕎麦を打って提供して」
「近いうちに会うことをオススメするよ」
いや、すぐに行け!
柚咲。「マネージャーさんと相談しておきます!」
アイドル、退室。

時間経過。
主人公、リハビリ。
有宇の心の声。「慣れが必要だな」
主人公、ヒロインの病室の前へ。
ノックできず。

テレビ映像内、柚咲。「そこそこ最後の晩餐」
略してそこ晩!
有宇。「こんなレギュラー番組を」
「あたしのそこ晩を紹介!」
あちらのお店!
有宇の心の声。「仕事として両親に会いに」
「こちらが、手打ち蕎麦に山菜、天ぷら定食」
まずはお蕎麦を!
ちょ、アイドルさん、ドボンって。
美味し~い!?
次、よもぎの天ぷら。
「これも美味し~い!?」
有宇の心の声。「その語彙の少なさで、よく食レポ番組のMCに」
美砂。「でも、ぶっちゃけ普通の味」
コンビニでも食えるレベル!
「でも、両親の愛」
隠し味、絶品な料理に。
すごく美味しい。
「ごちそうさまでした」
アイドルの姉、涙。
母も涙。「美砂を思い出して」
父。「アイツは口も素行も悪かったけど」
根はいい子。
有宇。「いい親孝行になったな」

ノック音。
歩未。「おはようなのです~!」
ジャジャーン!
「お誕生日、おめでとうなのです~!」
主人公、またオムライスの日々です~?
16歳!
久々に腕を!
回想映像、今までのオムライスを思い出す主人公。
歩未。「食べてもらえるでしょうか~?」
有宇。「もちろん」
「ではお口を開けてくだされ!」
リハビリ中、無理させられません。
「あ~ん」
有宇の心の声。「あれ?」
甘いのに、美味い。
同じ味なのに。
「美砂のいう隠し味のせいかな」
はい次!
「こんな感想しか」
他人のことはいえない。

時間経過。
リハビリ。
拍手。
目時。「快復おめでとう」
頼みたいことが。

屋上。
有宇。「ずっとここにいるんだってね」
しゃべってよ。
隼翼。「この病院は大丈夫だ。警察沙汰には」
有宇の心の声。「あのときの、僕と同じ」
「海外ではテロ集団」
すぐ日本も。
「熊耳もいなくなってしまった」
どうなることやら。

主人公、病室へ戻る。
先客、椅子に座った人物、ポッキーをくわえたヒロイン。
奈緒。「お久っス」
有宇。「友利!?」
唐突。
奈緒。「退院できたので、貴方と話を」
お兄さんから何か?
海外のテロ活動、巻き込まれる。
有宇。「別人のようにフヌケに」
僕を狙って、危ないヤツら、これからも。
「誰も失ったり、不幸にしたくない」
力で何とかできるなら。
方法が判らない。
「友利、僕はどうしたら」
間。
奈緒。「ひとつだけ、方法が」
研究施設、次の彗星、ワクチン。
「現存する全世界の能力者の力と、これから発症する力全てを奪えば終わります」
リスク、何万という特殊能力、貴方、どうなるか。
「全人類を滅ぼしかねないくらいの化け物にも」
正気で己をおさえつけられる?
「ぶっちゃけ力技です」
貴方にしかできない。
「あたしの考えられる、能力者たちを救う唯一の策です」
この話、するつもりはなかった。
「でも、貴方は歩未ちゃんを救うために未来から還ってきたり」
あたしや熊耳さんを助けに。
「ただのカンニング魔だと思っていましたが、今の貴方なら」
「評価が変わったな」
あたしの策にしては、無謀が。
奈緒。「忘れてください」
お大事に。
有宇。「待ってくれ」
やってみる。
奈緒。「いやいや、無謀」
「本気だ」
お前に恩。
それしかないというのなら。
奈緒。「動機が薄いっスね?」
「今度は、僕がお前を救いたい」
「なして?」
「好きだから」
「は? それは何スか、恋とか?」
「恋だ」
「真顔でいわれても」
好意をいだかれるようなこと、なかった気が。
有宇。「前にもいったけど、別の世界で自暴自棄になって堕ちていった僕を、お前がそばで」
「あたしなりの責任のとりかただったのでは?」
「でも僕は救われた」
「どう転べば恋に発展するのやら」
理解できませんが。
有宇。「理屈なんて必要あるか!」
「んだとお!? それを理由に入れたのはそっちだろ!」
ガウー!
奈緒。「ほら、あたしたち相性最悪」
「でも好きなんだ」
「奇特な方で」
「何とでもいってくれ」
ヒロイン、吐息。
奈緒。「だったらいいましょう」
待ってます、と。
全ての能力者を救って、もう1度会えることを。
「そのとき、あたしたちは恋人同士になりましょう」
「買いかぶりすぎじゃ?」
「本当にやり遂げたら、無条件であたしは乙坂有宇という存在を愛しく思うでしょう」
モチベーションが?
有宇。「俄然」
「では約束」
もう1度会いましょう。
「絶対です」
嘘ついたら指つめろ、指切った!?
有宇。「怖い約束だな」
「針千本よりはマシかと」
では、あたしから!
「能力を奪い去るんでしょ?」
「そういうことなんだな」
済まない。
奈緒。「謝る必要なんてありません」
まっとうな人間に戻れる。
主人公、略奪発動。
奈緒。「ありがとうございます」

夜、屋上。
有宇。「聞いてほしい」
僕が全世界の能力者の能力を奪い、助けてみせる。
隼翼。「無理だ」
「僕は最強の能力者なんでしょ?」
熊耳さんの命を無駄にしたくない!
隼翼。「オレだって同じだ!」
アイツがそばに、どれだけ救われたか。
礼もいえずじまい。
有宇。「だから僕は行くんだよ」
大事な人、不幸にしないために。
「兄さんも同じでしょ?」
間。
隼翼。「本気でいってるのか」
「すでに友利の能力を奪った」
もう始まってる、引き返さない。

時間経過、病室。
七野。「すごい決断だな」
目時。「でも、どうやって能力者を捜せば」
隼翼。「組織のリーダーの近くには、必ず熊耳と似た能力の持ち主が」
でないと短期間に、能力者、集めきれない。
「有宇、海外へ飛べ。日本はオレたちに任せろ」
熊耳を失ったが、こちらも能力者を束ねる大組織。
「能力が消えるまでおさえこんでおく」
アイツに顔向けできない。
「有宇、お前は今、16歳だったな?」
時間がない。
能力を失うまでに。

退院日、廊下。
高城。「乙坂さん」
聞きました。
美砂。「アタシらの能力も持って行きな」
少しでも力に。
「妹の分もな」
有宇。「つまりもう、お前とは」
「ここらがセンスのいい引き際だぜ」
高城。「さあ、どうぞ」
美砂。「じゃあな?」
高城。「はい」
時間経過。
柚咲。「何があったんでしたっけ?」
高城。「実は、お姉さんから手紙を」
文面。
ただひとつ辛かったのは、ずっとすれ違い。
美砂音声。「最高に愛してる」
死人らしく、ここらでおさらば。
アイドル、涙。
柚咲。「姉はいつも、皆さんと一緒にいたんですね」
有宇。「楽しかったよ」
高城。「ですね!」
柚咲。「よかった」
「乙坂さん、絶対に戻ってきてくださいね」
私たちは同じ病、高校生活を過ごした、友達!
有宇。「だな!」
柚咲。「はい!」

特殊ED。
家を出た主人公、廊下で待っていたヒロイン。
奈緒。「これを持って行ってください」
単語帳。
「それを見て話せば、最低限やって行けると」
「ひと晩で?」
「貴方の偏差値は解っていますから」
「ただのカンニング魔だからな、僕は」
代わり、これを預かって。
携帯音楽プレーヤー。
奈緒。「解りました、しばらく預かっておきます」
有宇の心の声。「不安だらけだ」
でも、やるしか。
僕にしか。
「じゃあ、行ってきます」
「はい、行ってらっしゃいませ」
主人公、歩き出す。足を停めて、星空を見上げる。

以上。

歌を利用するのが効率的な気がする。