AX-ON >> AX-ON PEOPLE >> 相曾 紗良亜
福祉系の大学に通っていた時、聴覚障がいのある友人と一緒に字幕が付与されている番組を見て、同じタイミングで笑い、番組を楽しめたこと。それが私が字幕制作という仕事を目指すきっかけになりました。「字幕制作は誰かのために絶対必要なこと、もしかしたら自分もできるんじゃないか」と思い、この業界に飛び込みました。
入社1年目から字幕制作を担当しています。オンエア前の番組を見ながら、出演者やナレーションの言葉を聞き取り、文字に変えて行きます。固有名詞や地名などは間違えないように必ず調べたり、この漢字にはルビが必要かどうかや、番組のテロップや出演者の顔をなるべく隠さないように表示位置を決め、表示させるタイミングを調節することも大切です。話し始めるタイミングと字幕を表示させるタイミングがぴったりだと、オンエアを見た時に字幕が遅れて出て来る感覚になります。そのため、少し早いタイミングに調節しながら制作しています。
例えば、子ども向けのアニメ番組は全部ひらがなにしたり、ドラマなどは主役、準主役などでセリフの色を変えたり、話者の位置に合わせて字幕を左右に寄せるなど、番組ごとにルールを決めて統一ができるように制作しています。そうやって字幕制作をしていると、現場にはいないのですが現場にいる...みたいな、番組制作者の一員であるという感覚になります。
先輩からよく言われることがあります。「音を消した時、番組がどう見えるのか、自分の制作した字幕で、どう見えるようになるのか」。セリフではなくても、笑っていたら(笑い)、拍手をしている時は(拍手)など、聞こえる音を言葉で表記したり、いろいろ工夫して見やすくて伝わりやすい字幕放送を目指しています。
字幕放送は聴覚障がいの方や高齢者のためでもありますが、ワンセグを電車の中で視聴する時や、音が出せない病院などの待合室、音声切り替えの機能を活用して英語の勉強に利用したり、意外といろんな場面で利用ができます。そして、東日本大震災の際、地震発生から25時間連続で字幕を付与した先輩達は、全日本ろうあ連盟から感謝状を頂きました。災害時に情報を得る手段の一つとして字幕放送はとても大事なものだと感じました。サイレンの音が聞こえない、避難を促す声が聞こえない。その時が来ないほうがいいんですけど、その万一に備えて、腕を磨きたいと考えています。
今後、日本テレビでは2017年度までには対象番組全てに字幕を付与する方針で、準備を進めています。CMに字幕を付与することもだんだんと始まっています。これから、どんどん字幕放送は増えて行く...、私はすごく楽しみです。
アックスオンはいろんな人がいて、いろんな考えがあふれる面白い会社です。私も母校で聴覚障がいの学生から意見を頂いたり、高齢者の方に字幕放送についての意見を頂いたりもしました。「自分だからできること」をやらせてもらえる...、だから、いろんな人がどんどん集まれば面白いなと思います。