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【社会】

自由と民主主義 読み学ぶ シールズが「選書プロジェクト」

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 国会前で安全保障関連法案への抗議行動をしてきた学生グループ「SEALDs(自由と民主主義のための学生緊急行動、シールズ)」が、日本の政治や歴史を学ぶための書籍十五冊を発表し、協力書店を呼びかけている。名付けて「選書プロジェクト」。メンバーは「デモの出発点は学ぶこと。先人の知の蓄積があって、私たちはデモで思いを発信してきた」と本への思いを語る。 (安藤恭子、望月衣塑子)

 「希望の国のエクソダス」「君たちはどう生きるか」「それでも、日本人は『戦争』を選んだ」…。シールズが選んだ十五冊には、さまざまな分野の書名が並ぶ。

 メンバーで、日本女子大で宗教史を学ぶ大学院生是恒香琳(これつねかりん)さん(24)は「自由や民主主義を議論する時、土台として知識を共有できる本をみんなで選んだ」と説明する。

 選書プロジェクトは七月下旬に準備がスタート。本好きのメンバーが一人三冊程度、影響を受けた本の推薦をし、その中から集団的自衛権や特定秘密保護法に関連する本など、基本図書十五冊を決めた。

 「違憲の法案を強行して通す政治が、いかにおかしいか。私たちの自由と権利を守るため、本で学び、話し合うことはますます大切になる」と是恒さん。

 来夏には参院選も控える。メンバーの大学四年佐藤大(だい)さん(24)は「政治を国会議員任せにしてはだめだ、とあらためて知った。本を通じ、政治を考える人を増やしていきたい。特に同世代が本を手に取ってくれればうれしい」と願っている。

 この選書プロジェクトを、既に取り入れている書店も出始めた。大学生協東京事業連合(東京都杉並区)が、全国の大学生協に呼びかけたところ、今月十四日時点で全国二十九の大学生協が、プロジェクト参加を表明した。

 また農業の専門書を中心に扱う農文協・農業書センター(千代田区)は、シールズのツイッターでプロジェクトを知り、すぐに本を並べ始めた。店員の谷藤律子さん(47)は、自身も国会前デモに足を運んできた。「シールズの運動を支援しつつ、自分の立場でも何かできないかと思い、コーナーを作ることを決めた。安保関連法が成立したこれからが、闘いの始まりだと思う」と話す。

 シールズは今後、選書を五十冊ほどに増やす予定で、図書館やカフェなどの協力も募る。問い合わせはメールで、タイトルに「選書プロジェクト」と付けて、シールズ(sealdsjpn@gmail.com)へ。

 

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