福島原発事故:「津波対策を東電側拒否」の証言 調書公開

毎日新聞 2015年09月25日 20時44分

 政府は24日、東京電力福島第1原発事故の調査・検証委員会(政府事故調)が関係者から聞き取った聴取結果書(調書)のうち5人分を新たに公開した。

 旧原子力安全・保安院耐震審査室の名倉繁樹安全審査官(当時)は2009年9月、869年の貞観地震級の津波が福島第1原発を襲った場合の試算について東電から説明を受けた際、東電に「具体的対応を検討した方がよい」と提案したと証言した。名倉氏は「ポンプは(水没して)だめだな」と思ったといい、「福島第2原発のように重要施設を建屋内に入れたらどうか」ともアドバイスした。

 しかし、東電の担当者から「(原発の津波評価技術を取りまとめた)土木学会の検討を踏まえないことには判断できない」「炉を止めることができるんですか」と拒否された。名倉氏は結局、具体的な対策は指示しなかったという。

 政府事故調は報告書で、東電が福島第1原発に15メートルを超える津波が襲来する可能性を認識しながら対策を怠っていた、などと指摘している。【酒造唯】

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