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欧州に押し寄せる難民の波に世界の目が注がれている。欧州連合は16万人の…
欧州に押し寄せる難民の波に世界の目が注がれている。欧州連合は16万人の受け入れを決めたが、それは難民全体のほんの一部でしかない。
難民の出身国と近接の国々では、はるかに多くの人々が助けを待ち望んでいる。
欧州に到達した難民たちの問題から、中東を中心にした世界の難民問題の全景へと思いをはせたい。戦乱や迫害から逃れ、生存の道を探る人々への緊急救援に、日本を含め国際社会も本腰を入れるべきだ。
いま最も多くの難民を出している国は、紛争が4年に及ぶシリアである。人口2200万の半分以上が家を失い、国外への難民や国内避難民となった。
このうち、北隣のトルコには200万人がとどまっている。南のヨルダンには60万人。西のレバノンは、国の人口500万で、すでにパレスチナ難民数十万人も抱えているが、シリア難民100万人が流れ込んだ。
シリア国内にとどまる避難民は、760万人を数える。
隣接国の受け入れは限界に近く、生活環境も厳しい。レバノンにある難民キャンプを取材した本紙記者によると、支援にあたる国連機関は慢性的に資金が足らず、そこで暮らす人々には絶望感が強いという。
事態はもはや人道問題にとどまらない。膨大な難民の存在は、地域の治安や政治的安定、経済的繁栄を脅かす要素になりつつある。中東全体の安定に直結する最優先課題と位置づけるべきだ。
欧州連合は、シリア周辺の国々を支援するための拠出を10億ユーロ(約1340億円)以上増やすと決めた。連携強化も目指す。状況は切迫しており、欧州以外の関与も不可欠だ。
日本政府は、シリア難民の若者を留学生として受け入れるよう検討を始めた。だが、その規模は数十人程度とみられ、国際貢献というにはあまりに規模が小さすぎる。
国連の難民問題の責任者だった緒方貞子さんは「難民の受け入れに積極性を見いださなければ、積極的平和主義というものがあるとは思えない」と語り、安倍政権に決断を促している。日本政府は大胆な受け入れ策を打ち出すとともに、難民キャンプへの支援拡大など多様な手段も講じるべきだ。
事態の打開には、シリアの内戦状態を収束させる努力が必要だ。国連総会を機にニューヨークに各国首脳が集まる時でもある。包括的な難民対策に向け、実効性のある国際行動の道筋が描かれるよう期待したい。
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