スペイン:「独立の是非問う」27日カタルーニャ州議会選

毎日新聞 2015年09月26日 20時10分(最終更新 09月27日 00時02分)

集会でカタルーニャ自治州の「独立支持」を意味する旗を振る住民ら=バルセロナで2015年9月25日、AP
集会でカタルーニャ自治州の「独立支持」を意味する旗を振る住民ら=バルセロナで2015年9月25日、AP

 【バルセロナ(スペイン東部カタルーニャ自治州)宮川裕章】スペインのカタルーニャ自治州で27日、州議会選挙(定数135)の投開票が行われる。中央政府からの独立を目指すマス州知事は「独立の是非を問う選挙」と位置付け、議席の過半数を占めれば18カ月以内に独立すると公約している。一方、中央政府は「独立は憲法違反」と主張しており、混乱も予想される。

 25日夜、マス知事はバルセロナの集会で「選挙で団結、尊厳、自由を勝ち取ろう。(投票日の)日曜日にカタルーニャの未来が始まる。歴史的な日になる」と気勢を上げた。中央政府からはラホイ首相が同日、バルセロナ入りし、「分離と緊張、不安定さから抜け出そう」と独立反対を訴えた。

 カタルーニャの政治勢力は左右両派の枠組みを超え、独立の是非を軸に2勢力に分かれている。最新の世論調査では、マス知事の保守系与党CDCと左派政党ERCが組む独立賛成派「共にイエス」が、別の左派独立賛成派政党CUPと合わせて、過半数(68〜69議席)に達する勢い。保守系のカタルーニャ国民党、左派のカタルーニャ社会党など独立反対派と小差の勝負になりそうだ。

 独立賛成派「共にイエス」は勝利の場合、国王に対しカタルーニャの主権を宣言し、6〜8カ月後に中央政府の権限を新政府に移管する方針。その間に、中央政府や欧州連合(EU)に国家承認を求め、協議する考えだ。

 バルセロナ自治大学法学部のラファエル・アレナス教授は「独立派が過半数を占めた場合、一方的に独立手続きの開始を宣言するだろうが、選挙結果は独立の承認を意味しないため、混乱する可能性がある」と指摘。「中央政府は宣言の無効を求めて憲法裁判所に訴えるだろう」とみる。また、「独立派が過半数に達しない場合、独立運動は後退することになる」と語った。

 カタルーニャ自治州は独自の言語、文化を持つ裕福な商工業地域。人口は約750万人でスペイン全体の約16%に当たる。政府に納める税金が国の補助金などを大きく上回るため、不満が高まっている。

 州政府は昨年11月、独立の是非を問う非公式の住民投票を実施。反対派の大半が投票しなかったこともあり、賛成が約8割を占めた。憲法裁判所はこの住民投票を違憲とする判決を下している。

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