元国税調査官「マイナンバーで“夜の世界”はますます地下へ」〈週刊朝日〉
dot. 9月24日(木)7時12分配信
様々な問題が指摘されるマイナンバー制度。マイナンバーが導入されれば、サラリーマンの副業収入や、“夜の仕事”の収入もガラス張りになると言われている。
「今の時代、収入が増えず、サラリーマンが副業するのも仕方ない。旦那が病気になって、世間には内緒で妻が熟女キャバクラで働くなんてこともあるかもしれない。税の公平性を謳うのは結構ですが、必要悪のグレーゾーンまでなくしてしまったら、弱い者イジメの結果だけが招かれます」(ジャーナリストの斎藤貴男氏)
元国税調査官で現在税理士のK氏は、より深刻な事態を招きかねないと話す。
「もしキャバクラや風俗店が女の子たちにマイナンバーを求めると、当然女の子なんて集まらない。結局はマイナンバー制度なんて無視して営業を続けるだろう。問題が発覚しても、名義だけの雇われ社長や店長はクビにするだけ。告発されてもいくばくかの罰金を払えばいいだけと考えるだろう。マイナンバー制度の導入により、比較的まじめな風俗店も悪質化する恐れがあり、“夜の世界”はますます地下に潜るのは間違いない」
マイナンバーにさまざまな情報をひも付けさせると、怖くなるのが「情報漏えい」だ。今年6月、日本年金機構は約125万件の年金情報が流出したことを公表したばかり。
ネットワーク犯罪評論家・石川英治氏はこう警告する。
「年金情報の流出はいわゆる『標的型ウイルス』という巧妙に装われたメールで、これを防ぐのは難しい」
つい先週も、大阪府堺市会計室の課長補佐によって、市外郭団体の職員名簿など約1千件がネット上に流出、さらには市の全有権者にあたる約68万人分のデータを無断で持ち出していたことも判明した。
「行政機関よりも、民間企業からの情報流出のほうが懸念される。内部者による犯行も考えられるほか、外部からのハッキングの脅威もあるからだ。そもそも、中小零細企業で万全なセキュリティー対策を施すのは至難の業です」(石川氏)
※週刊朝日 2015年10月2日号より抜粋
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