バックヤードから日本の音楽シーンを作り上げたレジェンド達の貴重なインタビュー連載

MUSICMAN HALL OF FAME

Music Fasion 音楽は何を装い、何を魅せてきたのだろう?

――亀渕さんのお仕事といえば、1985年に国立競技場で行われたイベント『国際青年年記念 ALL TOGETHER NOW』(当時のトップ・アーティストが総出演し、一夜限りの再結成をしたはっぴいえんど、サディスティック・ミカ・バンドに松任谷由実が加わったサディスティック・ユーミン・バンドのライヴも行われた)も印象深いですが、あのイベントは亀渕さんがプロデュースされたものですよね。
亀渕
僕はチーフ・プロデューサーでした。あの時、細野(晴臣)さんがズバリいいました。「このイベントは『前期の終了』だよね」と。つまり、あのイベントは日本のフォーク、ロック史の一つの区切りだったのかも知れません。また、僕にとっては自分でブッキングを担当する最後の仕事だと思っていました。あのイベントは確かに日本の音楽界のターニング・ポイントになったと思いますが、ちゃんと次の世代を担うべき、サザンオールスターズ、佐野元春さん、チェッカーズも出演していたことが、今振り返ると良かったと思います。
――最後に、ラジオがこれからも聴き続けられるためには、どんなことが一番重要だとお考えでしょうか。
亀渕
大切なのは「人の声」だと思います。それが音楽でもトークでも、人の声が流れてくるということが大事なんです。独り暮らしをしている方も多くもいらっしゃって、家に帰って夜、寂しくなる時、テレビは賑やかでいいところもありますが、スイッチ切ると寂しくなるじゃないですか。ラジオには小さい声が聴こえてくるだけで、ホワッと温かくなるというか、人の声の温もりがある。そこが強みだと思いますね

現代人の生活は孤独と闘うこと、淋しさと闘うことともいえます。そこで温かい人の声を伝えられるラジオが必要とされる場面がまだまだあるでしょう。音楽でも、私小説的な曲が流行っているのは、人々の孤独感が背景にあると思いますね。アニメも自分探しのストーリーが多い。みんなが心の拠りどころを求めているのだと思います。番組でも音楽でも人の香りを伝えられるかどうかが、一番重要じゃないでしょうか。
――確かにインターネットより、ラジオの方が人の香りが伝わってきますよね。本日はどうもありがとうございました。

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