引退試合と野球観戦(ファンサービス)について、批判するだけでなく前向きの提案もすべきだ、という意見をいただいた。もっともなことである。現時点での見解を述べておきたい。
◆引退試合について
公式戦を使った引退試合は、一個の選手の個人的な事情を、公式に記録が残る試合で行うのは問題がある。プレーの中で「打たせてやる」「三振してやる」などの“温情が”混入することは、ある種の「片八百長」であり、あってはならない。
「消化試合ならいい」という人も多いが、消化試合の定義もはっきりしない。消化試合であっても、公式戦は重視されるべきだ。それがプロ野球の原点だ。
大相撲では、幕内以上の力士が引退すると、場所と場所の間で、力士が在京の時期に「引退大相撲」を行う。多くの場合引退後数か月経った時期だ。
これは巡業のフルメニュー(稽古風景、初っ切り、土俵入り、取り組み)を国技館で行うものだ。そのあとに引退力士の断髪式も行う。
「引退大相撲」で引退力士が相撲を取ったり、土俵入りをしたりすることはない。前にも述べたが、引退した力士が相撲を取ることは原則としてありえない。
「引退大相撲」の収益は、経費を差し引いて引退力士に贈られる。退職金のようなものだ。
「引退相撲」は原則、親方として相撲界に残る力士の場合行われるが、相撲界を離れる力士に対して行われることもまれにある。
「引退相撲」はしないが、国技館で「断髪式」だけを行う場合もある。この場合でも髷にはさみを入れた仲間やタニマチはそれなりの祝儀を渡す。
上田龍さんが言うように、オフに行われた昔の「引退試合」は、「引退大相撲」と同様、収益を選別代わりに選手に渡していた。しかし世知辛い世の中になって、それができなくなった。
公式戦での引退試合が増えたのは、金は渡せないが、せめて多くのファンの前で別れを告げさせてやりたいという球団の配慮だろう。しかしこれは自らの最も重要な「商品」である試合の価値を毀損する誤った施策だと思う。
制度として「引退試合」を設定すべきだ。3月になって本拠地周辺で行われるオープン戦のいずれかを「引退選手おわかれ試合」にするなど、新たな制度を設ければよい。
同時に「引退」を公式に宣言した選手は、公式戦には出場できない規定を定めるべきだと思う。

◆野球観戦(ファンサービス)について
引退試合とも関連する話だが、球団の営業サイドは、集客のためにあの手この手のファンサービスを行うようになった。
このこと自身は喜ばしいが、この中に、「野球の意義、価値」を減じるようなものがまだ散見される。
「公式戦」での「引退試合」も、ファンサービスの一環と考えている可能性があるが、前述のように、真剣勝負であるべき「公式戦」の価値を損なうものであり、サービスの意味をはき違えている。
最近のファンサービスはグッズの配布が中心になった。最近は、印刷コストが驚異的に安くなっているので、ユニフォームなどのグッズ類を配布しても元が取れるようになった。
また長谷川晶一さんの本以来、ファンクラブが注目されているが、ファンクラブのファンへのサービスも各球団が競うようになった。
これは喜ばしいことだと思う。
また、一時期とは異なり、球団はヘビーな応援団を厚遇することはなくなった。ヘビーユーザーのリピートを求めるのではなく、ライトな顧客を多く集める方向に方針転換したからだ。多くの球場では、応援団と一般客のエリアをきっちり分けている。
応援は応援団が主導するが、エリアがわけられているので、一般の観客が強制されることもなくなった。応援団の特権もなくなった。
以前に比べて随分観戦しやすくなった。
ただ、その次のステップとして、お客が試合、プレーに集中できるようなファンサービスをしてほしい。例えば、選手紹介の時に、選手のプレーの特徴や、くせ、魅力、対戦する投手との相性、などをスクリーンで紹介するなど。
「バックホームに向けて、前進守備!」とか「エンドランもあるぞ、○○投手はクイック上手いぞ」「タッチアップがあるぞ、右翼○○は今年5補殺」みたいなことはできないか。
プレーの見どころを楽しく訴求してほしい。
台湾や韓国のファンサービスはあらぬ方向に向かっている。台湾では「球場でのプロポーズ」が大人気だが、男がなかなか告白できず、試合進行に影響が出たりしている。でも観客はそっちの方が好きなようで、試合そっちのけである。
何度も言うが、ファンの意向を重視するあまり、こういう方向にエスカレートするのは本末転倒だ。
申し訳ないが、悪貨は良貨を駆逐する、であって、低レベルなファンほど派手でどうでもよい「イベント」を喜ぶ。そちらに流れないでほしい。
せっかく野球を見に来た客の視線をグランドの中に集めるような、「本質価値」を高めるような方向に、ファンサービスを進めてほしい。
そしてもう一つ。ジェット風船は廃止できないのか?おそらく両リーグで年間に飛ばされ、廃棄される風船の数は3000万個を下らないはずだ。
資源、環境のことを考えても、プロ野球の公共性を考えても、良いことは一つもない。子供の遊び的に楽しいだけである。エコ社会においては、むしろ反社会的である。
それがなければ野球観戦ができないわけではない。
6回あたりから風船を膨らます姿があちこちに見られ、必ず膨らませすぎて破裂させる客も出てくる。
試合が佳境に入ったタイミングでこれをやるのは、愚かしい。
楽しいかもしれないが、理性的に考えてよいこととは思えない。
他の何か、MLBのセブンス・ストレッチのようなものに置き換えるべきだ。
これは球団に求められる判断だ。良識を期待したい。
端的に言えば、「第2のジェット風船を生まない方向でのファンサービスの進化」を期待する。
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公式戦を使った引退試合は、一個の選手の個人的な事情を、公式に記録が残る試合で行うのは問題がある。プレーの中で「打たせてやる」「三振してやる」などの“温情が”混入することは、ある種の「片八百長」であり、あってはならない。
「消化試合ならいい」という人も多いが、消化試合の定義もはっきりしない。消化試合であっても、公式戦は重視されるべきだ。それがプロ野球の原点だ。
大相撲では、幕内以上の力士が引退すると、場所と場所の間で、力士が在京の時期に「引退大相撲」を行う。多くの場合引退後数か月経った時期だ。
これは巡業のフルメニュー(稽古風景、初っ切り、土俵入り、取り組み)を国技館で行うものだ。そのあとに引退力士の断髪式も行う。
「引退大相撲」で引退力士が相撲を取ったり、土俵入りをしたりすることはない。前にも述べたが、引退した力士が相撲を取ることは原則としてありえない。
「引退大相撲」の収益は、経費を差し引いて引退力士に贈られる。退職金のようなものだ。
「引退相撲」は原則、親方として相撲界に残る力士の場合行われるが、相撲界を離れる力士に対して行われることもまれにある。
「引退相撲」はしないが、国技館で「断髪式」だけを行う場合もある。この場合でも髷にはさみを入れた仲間やタニマチはそれなりの祝儀を渡す。
上田龍さんが言うように、オフに行われた昔の「引退試合」は、「引退大相撲」と同様、収益を選別代わりに選手に渡していた。しかし世知辛い世の中になって、それができなくなった。
公式戦での引退試合が増えたのは、金は渡せないが、せめて多くのファンの前で別れを告げさせてやりたいという球団の配慮だろう。しかしこれは自らの最も重要な「商品」である試合の価値を毀損する誤った施策だと思う。
制度として「引退試合」を設定すべきだ。3月になって本拠地周辺で行われるオープン戦のいずれかを「引退選手おわかれ試合」にするなど、新たな制度を設ければよい。
同時に「引退」を公式に宣言した選手は、公式戦には出場できない規定を定めるべきだと思う。
◆野球観戦(ファンサービス)について
引退試合とも関連する話だが、球団の営業サイドは、集客のためにあの手この手のファンサービスを行うようになった。
このこと自身は喜ばしいが、この中に、「野球の意義、価値」を減じるようなものがまだ散見される。
「公式戦」での「引退試合」も、ファンサービスの一環と考えている可能性があるが、前述のように、真剣勝負であるべき「公式戦」の価値を損なうものであり、サービスの意味をはき違えている。
最近のファンサービスはグッズの配布が中心になった。最近は、印刷コストが驚異的に安くなっているので、ユニフォームなどのグッズ類を配布しても元が取れるようになった。
また長谷川晶一さんの本以来、ファンクラブが注目されているが、ファンクラブのファンへのサービスも各球団が競うようになった。
これは喜ばしいことだと思う。
また、一時期とは異なり、球団はヘビーな応援団を厚遇することはなくなった。ヘビーユーザーのリピートを求めるのではなく、ライトな顧客を多く集める方向に方針転換したからだ。多くの球場では、応援団と一般客のエリアをきっちり分けている。
応援は応援団が主導するが、エリアがわけられているので、一般の観客が強制されることもなくなった。応援団の特権もなくなった。
以前に比べて随分観戦しやすくなった。
ただ、その次のステップとして、お客が試合、プレーに集中できるようなファンサービスをしてほしい。例えば、選手紹介の時に、選手のプレーの特徴や、くせ、魅力、対戦する投手との相性、などをスクリーンで紹介するなど。
「バックホームに向けて、前進守備!」とか「エンドランもあるぞ、○○投手はクイック上手いぞ」「タッチアップがあるぞ、右翼○○は今年5補殺」みたいなことはできないか。
プレーの見どころを楽しく訴求してほしい。
台湾や韓国のファンサービスはあらぬ方向に向かっている。台湾では「球場でのプロポーズ」が大人気だが、男がなかなか告白できず、試合進行に影響が出たりしている。でも観客はそっちの方が好きなようで、試合そっちのけである。
何度も言うが、ファンの意向を重視するあまり、こういう方向にエスカレートするのは本末転倒だ。
申し訳ないが、悪貨は良貨を駆逐する、であって、低レベルなファンほど派手でどうでもよい「イベント」を喜ぶ。そちらに流れないでほしい。
せっかく野球を見に来た客の視線をグランドの中に集めるような、「本質価値」を高めるような方向に、ファンサービスを進めてほしい。
そしてもう一つ。ジェット風船は廃止できないのか?おそらく両リーグで年間に飛ばされ、廃棄される風船の数は3000万個を下らないはずだ。
資源、環境のことを考えても、プロ野球の公共性を考えても、良いことは一つもない。子供の遊び的に楽しいだけである。エコ社会においては、むしろ反社会的である。
それがなければ野球観戦ができないわけではない。
6回あたりから風船を膨らます姿があちこちに見られ、必ず膨らませすぎて破裂させる客も出てくる。
試合が佳境に入ったタイミングでこれをやるのは、愚かしい。
楽しいかもしれないが、理性的に考えてよいこととは思えない。
他の何か、MLBのセブンス・ストレッチのようなものに置き換えるべきだ。
これは球団に求められる判断だ。良識を期待したい。
端的に言えば、「第2のジェット風船を生まない方向でのファンサービスの進化」を期待する。
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エコロジー運動しているところもありますけどね。
そうしてない所(もしかしたら甲子園とか?)は問題ですけどね。
広尾氏は関西在住とのことですから、ライターとして阪神球団に提言してほしいですね。