芦花ホームの常勤医を務める石飛幸三です。施設に勤めて10年になります。
多くの人が自分の“最期”の迎え方を真剣に考える時代になりました。医療技術の発達によって、命を延ばすさまざまな延命治療法が生まれ、そのことが、逆に家族や本人を悩ませることになっているのではと感じています。私たちは人生の終末期をどのように迎えればいいのか迷い道に入ってしまったのかもしれません。
施設では、本人や家族と話合いを続けながら、胃ろうなどの延命治療に頼るのではなく、自然の摂理を受け入れ、静かに最期を迎えてもらう取り組みをすすめてきました。入居者の皆さんが亡くなられる前には、次第に食べる量が減って、眠って、眠って最期は穏やかに息を引き取られます。私は老衰による安らかな最期を「平穏死」と呼んできました。
実は、施設に来るまで、自然な最期がこんなに穏やかだとは知りませんでした。40年以上外科医として、徹底した治療を続けてきました。“死”を遠ざけていたのは、医師である私自身だったのです。
施設ではいつも「ご本人もご家族も、みんなが平穏な気持ちで最期を迎えることが理想」と話しています。今回の番組が皆さんの大切な人の最期を考える一助となることを願っています。