モナリザのモデル?遺骨発見も損傷激しくDNA鑑定不可能
イタリアの歴史研究チームは24日、芸術家レオナルド・ダ・ビンチ(1452~1519年)が16世紀初頭に描いた名画「モナリザ」のモデルとする、女性の遺骨をフィレンツェ市内の修道院の墓地から発見したと発表した。ただ遺骨は損傷が激しく、DNA鑑定は不可能。“謎の微笑”のミステリーを解くカギとされた頭蓋骨も発見されなかった。「科学的根拠が希薄」とする異論も出ている。
モデルの女性は誰か、そもそもモデルはいたのか。世界で最も有名な絵画と言われている「モナリザ」の謎は、描かれてから500年の時を超えて新たな局面を迎えた。
ライフワークとして「モナリザ」の調査に取り組んでいるイタリアの考古学者シルヴァーノ・ヴィンチェッティ氏率いるチームは、絵のモデルとなったとする女性の遺骨を「発見した」と明かした。同氏は記者団に「(発見について)どう考え、感じているのかと尋ねられたなら『彼女を見つけた』と答える。とても満足している」と語っている。
「モナリザ」のモデルは裕福な絹商人の妻リザ・デル・ジョコンドとする説が有力とされてきた。1479年生まれのリザは夫の死後、フィレンツェの聖ウルスラ女子修道院で2人の娘とともに過ごし、1542年に亡くなって同修道院に埋葬されたとされる。ダ・ビンチはリザの夫から依頼され、1503年ごろに肖像画として描いたと言われており、現在はパリのルーブル美術館に常設展示されている。
チームは2011年から聖ウルスラ女子修道院での発掘活動を開始。これまで12体分の人骨を発見してきたが、今回、放射性炭素年代測定により、そのうち足の一部のみを残す1体が、リザの死亡時期と重なる16世紀前半のものであることが明らかになったとした。
しかし、遺骨の損傷は激しく、DNA鑑定は不可能。また、頭蓋骨も見つかっていないため、最大の手掛かりである絵の中の女性の顔と、骨から顔の像を復元して重ねることはできない状態だ。今回の発見について、ボローニャ大学のジョルジオ・グルピオーニ教授(人類学)は科学的根拠に乏しいとして「(遺骨がモデルのものである)可能性は限りなく低い」とした。謎は解けるのか、それとも深まるのか―。