最近、カナダから有酸素運動を行った人の方が、海馬の大きさが維持されていたという報告がなされました。また、アルツハイマー型認知症のモデルマウスに運動をさせると脳の障害が少なくなることがスペインから、ある程度の強度をもった有酸素運動が、アルツハイマー型認知症を発症した方の生活を改善させることがデンマークから報告されています。
さらに面白いことに運動は、エピジェネティック的に認知症改善に役に立つかもしれません。普通、親が後天的に獲得した能力は子供には遺伝しませんが、親の代に獲得された特徴が遺伝子に刻まれ、子供に伝わることをエピジェネティックと呼びます。
不思議なことにマウスでは、運動によって変化した海馬の遺伝情報が子供に伝わるという報告がなされました。年をとってから慌てるよりも、若い時から運動する習慣を持つことは、やがてやってくる自分の子供の脳を守るかもしれません。
運動していたことが、自分だけではなく、子供のためになるなんてワクワクするお話です。(秋葉原駅クリニック院長 大和田潔/SANKEI EXPRESS)